【完結】SF世界に転生したら人類どころか人外で人類史の空白だった件~人間じゃないけど超優秀な配下を従えてます~

黴男

文字の大きさ
263 / 295
終章(3/3)-『決着』編

263-忠義の戦士たち

しおりを挟む
防衛ラインを突破したカル達は、その勢いのまま居住区へと踏み込んだ。
当然、居住区といえども広大である。
「庭園」があるエリアの前に、かつてのVe‘z人が利用していた都市の跡地がある。
そこで、全力の戦闘が繰り広げられていた。

『四十二機撃墜、リロードに入ります』
『ここは、私に!』

人型機体...リーンカーネーションによるシールド貫通弾の飽和射撃に加え、オクティアンによる制御システムの範囲無効化。

『ボクがいる限り、カル様には指一本触れさせない!』
『俺もだ、気が合うな!』

ビルの間を駆け巡り、触手でアトマイザーを破壊して回る特殊兵器テンタックラーと、アドアステラから遅れて合流した全身鎧の男が、共に戦っていた。
男が右腕を構えれば、集束された主力艦並みのエネルギー波が居住区を薙ぎ払う。

『旦那様は体力を温存されてください、ここは私どもが抑えます』
『ハディーマ、あんたが戦うのを見るのは初めてだね』
『本来執事とはそういうもの...ですよ』

先程までオクティアンの後部座席に相乗りしていた大柄の男が、粒子砲を構えて唸る。
そして、兎獣人と共に、包囲を突破してくる敵を相手取る。
大型の粒子砲をまるでメイスのように振り回し、デシメーターを威圧、粒子砲により吹き飛ばす。

『ふぅん...やるじゃん。じゃあ、私も...本気出そうかな』

徐々に改良型の生産が始まり、アップグレードされて行くデシメーター達。
それと相対し、兎獣人の片目にCの紋章が浮かぶ。
直後、ハディーマが相手していたデシメーターや、それより前で体を張っていた狼獣人の相手だったアトマイザーが、唐突に爆散する。
兎獣人が使った超高速化のキネスにより、シールドを突破されたのだ。
加速は過ぎれば時間停止と同じである。
所詮現象に過ぎないシールドなど、それが発生する原理を超えた速度で実行されれば意味を為さない。

『...こんな序盤で使って宜しいのですか?』
『序盤? 終盤だよ、敵の本拠地に入って、使わないで死ぬなんて...バカのする事でしょ?』

兎獣人は全く疲弊した様子を見せない。
当然だ、加速は現象回路による現象だが、彼女自身は少し速く動き、敵を軽く叩いた程度の労力しか使用していない。
彼女はガントレットで武装しているため、速度による殴打の負傷も無かった。

『ハァ...』

溜息を吐くのは、狼頭の獣人だった。
超高密度の材質で形成されたバトンで戦闘を行う彼は、シールドを無理やり突破してアトマイザーやデシメーターを吹っ飛ばしていた。

『...分かれ道か』

そして、順当に進軍した彼女達は。
このまま居住区を突っ切り、玉座の間へと向かうか。
居住区を迂回し、中央部へと向かうかの二択を迫られた。

『どうする? カル』
『...時間はない、シトリン、ノルス、エンテとケインは中央部を潰して。ラビ、ファイス、ハディーマは私とお兄ちゃんについて来て』

『リーンカーネーション』に搭乗するアンドロイドのシトリン、『オクティアン』に搭乗するクローリア星人のノルス、『テンタックラー』に乗るエンテ。
そして全身鎧の男であるケインが中央部へ。
狼頭の男...ファイスと兎獣人のラビ、カルとシン、ハディーマが居住区の奥深くへと踏み込むという手筈になった。

『...皆、生きて帰って』
『...』

中央部への突入組は、これが決死であることを理解していた。
だからこそ、沈黙で返した。
カルはそれを受け止め、兄の方を見た。
兄は何も言わず、ただ頷く。
そして二組に分かれた王国組は、それぞれの向かう方へと突き進み始めた。
敵は中央部への経路に集中しており、居住区には特大の戦力が配置されている。

『ここ...庭園?』
『適切に維持管理がされている、奴等にこんなものを維持するだけの価値があるということか?』

そして、居住区の奥深く...『庭園』へと一行は足を踏み入れた。
アロウトに住む数少ない人間のために設られたその一角は、千メートルをゆうに超える天井に空が投影され、風が吹き、柔らかな土の上で草木や花々が風に揺れる楽園であった。

『その通りです』

その時。
全員の脳裏に、直接声が響く。
精神感応を使い、話しかけたのは...メッティーラであった。
エクスティラノスに防衛を任せ、一人戻って来たのだ。

『ここは、我等にとっての宝物殿』
『これがか? 惑星を一つ庭園にすればいいようなお前達が、ここを黄金より価値のあるものだと言うのか?』

シンが驚いた様子で尋ねた。
だが、その答えが返ってくる前に、カルが唐突に、一番前に立っていたラビの前にシールドを張った。
直後、シールドが雷鳴のような破裂音と共に砕け散り、同時にカルの腕に付いていたバックラーが損壊する。

『!』

直後、シン以外の全員が何が起こったかを理解する。
音速で飛んできた触手が、ラビの命を奪うべく襲いかかり、シールドに衝突した事でシールドを破壊して引き戻されたのだ。

『お兄ちゃん!』
『分かっている』

シンは動体視力フィルターを起動する。
強化された彼の体は、薬物投与で瞬間的に人の枠を飛び越える事ができるからだ。

『(答えは不要)』

メッティーラは、自分に向かってくる愚者達を冷ややかな目で睥睨する。
そこに、苦戦するなどという考えは無かった。
直後、超加速したラビがメッティーラに迫る。
メッティーラはそれを見て、僅かに身を逸らして攻撃を回避。
背後に回り込んだファイスの蹴りを跳躍して躱し、両者に反撃を放とうとする。

『なっ...』

反撃の触手は、既に残されていなかった。
光が放たれたように見えたメッティーラは、その軌跡が向かう先を見た。
そこには、両手に光の剣を持ったカルが立っていた。

『人間の動作範囲を大きく超えている...何者だ』
『お前が知る必要は...無い』
『!』

直後、メッティーラの右腕が切断される。
剣によるものではない。
メッティーラがその現象を観測しようとする前に、その義体は完全に消失した。
シンによって消されたのだ。

『お兄ちゃん、もういいの?』
『ああ、それより...来るぞ』

出口が閉まり、空間そのものが遮断される。
それと同時に、四方八方からアトマイザーとデシメーターが現れ、一行に襲いかかるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...