凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造

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第三章 魔王討伐という名の試練

八人パーティーだと楽勝です

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 魔王城一階の廊下は、階下から左右に伸びているが、階段側から見て右側は、硬質ガラスの様な透明結界で進めなくなっていて、左側の廊下を進むしかなかった。
 
 八人が一団となってその左側の廊下を歩いていると、廊下は右に折れていて、左右に部屋があった。無視して、その廊下を先に進むと、またも通過できない透明結界が施されていた。
 目の前に、奥へと続く廊下が見えているのに、進めない。
 その廊下の左右にも部屋があるので、手前にあった部屋の中を通って迂回して進めと誘導されている。おそらく、室内では魔人が待ち構えているのだろう。
 そう思ったが、敵の誘導通りに、進むことに決め、念のため、万能リジェネを掛けることにしたが、八人もいるので大変だ。フレイアは、今日は疾風の歌から唄い始めた。
 勇気の歌のバフは、まだだったが、疾風の歌が終わった時点で、先ずは左の部屋にはいることにした。

 予想通りに、一人の魔人と眷属六匹が待ち構えていたが、室内に出入口は一つしかない外れ部屋だった。なら、戦闘しないで、逃げた方がいいと思ったが、トルスタンの三人が既に戦闘を開始していて、戦わざるを得なくなった。フレイアも、仕方なく勇気の歌を唄い始める。
 眷属は、大型ガーゴイルが二体と、小型ガーゴイル四体で、魔人はダニエル以上に巨漢のスキンヘッドの大男だ。
 小型ガーゴイルは素早く、手古摺ると思ったが、次々と倒していき、三分程で敵を一掃してしまっていた。
 スキルが使えないので心配していたが、八人パーティーなのでとんでもなく強く、ノーダメージで、敵を一掃した。リジェネが無駄だったと思えるほどの快勝だった。
 特に、ダニエルのパワー格闘はすさまじい。巨漢の魔人は、巨漢のダニエルが相手したのだが、瞬殺に近かった。歌のバフが掛かっていたこともあり、巨漢が高速で飛び込み繰り出すパンチは、ぺセププすら凌ぐ破壊力で、吹き飛ばして殴るを三回程繰り返しただけで、魔人をやっつけてしまったのだ。
「相性のいい支援魔法士がいて良かったな」とブリットがダニエルの背中を思いっきり平手打ちしていた。

 廊下に戻り、逆側の部屋に進むと、こちらの部屋には、隣の部屋に通じる扉があった。勿論、ここにも魔人と眷属が六体いたが、やはり圧勝だった。
 奥の扉を開けると、隣の部屋で、そこの魔人と眷属も瞬殺して、扉を開けて廊下へとでた。
 当たり部屋の二人の魔人は、メイド服を着た若い女魔人で、この魔王城の使用人らしい。ゴキブリの様な素早い虫型魔物や、蔦の鞭で攻撃する植物系魔物を従えていた。

 この廊下を進み、突き当りを右に曲がると、奥の間らしき部屋の扉が見えてきた。だが、またも透明結界で封鎖されていた。
 そんなわけで、またも、行き止まりのはずれ部屋と、扉のある当たり部屋とを彷徨う事になった。
 はずれ部屋は、木の魔物を使役し、巨大バサミを武器にする庭師の様な魔人だったが、大したことはなかった。だが、ここの当たり部屋の魔人は、なかなかの強敵だった。
 最初の部屋は、魔法を駆使する熟年女魔人で、人形を操り、人形を身代わりに攻撃を防ぎつつ、各種攻撃魔法を発動してきて、苦戦した。その奥扉の先の部屋も、執事の様な老魔人しかいなかったのだが、攻撃力は大したことないが、高速移動で攻撃回避する強敵だった。ぺセププ程高速ではなく、重力魔法で動きを押さえることができたので、楽勝ではあったが、この一階の魔人では最強だった。
 それでも十分もかからず簡単に撃破したほど、この八人パーティーはとんでもなく強い。

 そして、漸く、奥の間の扉の前までたどり着くことができた。
 その奥の間の扉をあけると、そこは三階まで吹き抜けのダンスホールの様な大広間になっていた。
 奥に宝箱があるが、五メートル以上ある赤い竜が、その宝を守っている。パレンティオンの皆と倒したラスボスの竜と同じ種類だが、それよりも一回り大きい巨竜だ。

「首の逆鱗が急所」
 ユリが直ぐに指摘したが、逆鱗は四メートル以上も高い位置にある。ユリもアーロンも僕もトルスタンの三人も、高い位置では届かない。ユリは高い位置でも攻撃できるスキルをもっているが、スキル無効結界内なので、攻撃できないのだ。
 竜の方も、防御力を爆上げするスキルを発動できない筈なので、あの時ほどの防御力ではない筈だが、攻撃できるのが、フレイアとローラの二人だけでは、苦戦しそうだ。
 事実、二人の攻撃は、ほとんど効果がなかった。ローラが爆裂魔法を当て、フレイアが弓で矢を射って攻撃しているのだが、固い鱗に阻まれ、大したダメージを与えられている様には思えない。
 痛がって暴れるので、効いているのは確かだが、悲鳴を上げる程の大きなダメージは与えられていない。鱗を剥がして、黒い肌を剥き出しにしないと、大きなダメージは与えられないのだ。
 前回は、僕が逆鱗にダメージを与えていたので、比較的簡単に逆鱗を壊せたのだが、鱗が無傷では逆鱗を剥がせない。

 それでも、フレイアとローラは、ひたすら逆鱗への攻撃を続け、僕、ユリ、アーロンの三人は、前衛で、竜の足を攻撃して、敵視を取って、フレイアとローラが攻撃されないよう努めた。
 トルスタンの三人は、無駄だとでも思っているのか、後方で、静観を決め込んでいる。

 三分程、そんな戦いを続けていた時だった。
「しかたねぇな。ボルドー、ダニエル、あれを出すぞ」
 後方で、竜と僕らの戦いを眺めていたブリッドがそう言って、トルスタン国の三人は、鞄から何かを取り出し、組み立て始めた。
 その時、ユリがアーロンに目で合図して、アーロンが組んだ手を足場に高くジャンプし、聖剣で逆鱗を切り、鱗を二つに割った。すかさず、ローラとフレイアが遠距離攻撃を発動する。
「ギャオゥン」 竜が大声を上げて絶叫し、竜の鱗が完全に剥がれ落ちた。
「追い込まれると、口から火炎を吐くから注意して」
 僕はそう言って、全員に順番に、火傷用のリジェネを掛けていく。
「よし、俺らも行くぞ」
 彼らが組み立てていたのは、なんとロケット砲だった。そのロケット砲をダニエルが担ぎ、黒く剥き出しになった逆鱗の箇所に、ミサイルを放った。
 その威力は、ローラの爆裂魔法以上で、竜は悲鳴を上げて、そのまま転倒した。

 こんな遠距離攻撃可能な秘密兵器まで隠し持っていたのかと呆れたが、僕らの目の前で、秘密兵器まで出して攻撃参加してくれた事に感謝した。
 トルスタン国の三人のことは、まだ信用しているわけではないが、この時漸く本当の仲間になれた気がした。

 フレイアは、すかさず倒れた竜の頭上に飛び込んで、拘束トラップで竜の口をふさぐ。蔦系植物による拘束なので、光のリング程の強度は期待できないが、これで焼かれる心配もない。

 残りの全員が逆鱗目掛けて、総攻撃して、僅か六分程で、その竜を討伐した。しかも、リジェネだけで十分で、ヒールすら発動していないので、ノーダメージに近い勝利だった。
 スキル無効化結界内なので、少しビビってしまっていたが、三人の強い仲間まで加わった今の八人パーティーは、無敵と呼んでいい程に強い。

 早速、フレイアが宝箱の開錠を始めたが、ローラはファイアボールを上空に向け放ち始めた。
 少し前なら、その意図が分からずにいたが、僕も成長したので、その意図がわかった。
 ここは、吹き抜けになっているので、ショートカットして、魔王のいる三階までいけないかと、確認しているのだ。
 だが、この大広間全体が、透明結界で封じられているみたいで、ファイアボールは透明な壁に弾かれた。やはり、正面玄関まで戻って、階段で進むしか手がないらしい。

 フレイアが宝箱を開けると、また少し小さな宝箱がでてきた。
 その後も、マトリョーシカ状態で八個もの宝箱を開錠することになったが、漸く、結界解除用の魔法の鍵を手に入れた。
 帰りは、フレイアが、正面右廊下の透明結界の右傍奥にも、制御装置があったという言葉を信じて、更に時計回りに廊下を進んだ。こちらの廊下は、透明結界で遮られておらず、階段横の透明結界に直ぐにたどり着け、その魔法の鍵で、ちゃんと結界も解除でき、正面玄関へと最短で戻ることができた。

 二階へと続く階段途中の結界も、同様にその鍵で解除できた。
 階段は中央の踊り場から左右に折り返し、二階へ上がれるが、全員、右側の階段で二階に上がった。
 三階に行ける階段は、そこにはなく、おそらく反対側の奥だと思われたが、この調子なら、この階も楽にクリアできる筈で、いよいよ魔王との対決だと、少し有頂天になっていた。

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