15 / 179
一年生
天使の衣は桃のように……
しおりを挟む
「ふぅ……」
戦いを終えた俺は選手席に戻り、木製の椅子に座ると、
「お、お疲れ様でした……」
「リーナさん、ありがとう」
リーナがぎこちない様子で声をかけてくれた。
敗者は観客席へと回るので、こちらの席には勝者である俺とリーナのみとなる。
「「……」」
その結果、気まずい空気になってしまう。
「リーナさんの試合もとてもすごくていろいろと参考になったよ」
闘技場の整理を先生方が行ってくれている間は、ただ待つしかない。
そのためなんとか空気を和まそうと、話しかけてみたのだが……
「ありがとうございます……」
会話はそこで終わってしまい、再び沈黙の気まずい空気が流れる。
うーん、何を話そうか?
あっ、そういえば聞きたいことあったな。
「リーナさんはどうしてこの学園に来たの?こう言っては失礼だけど戦闘向きじゃないよね?」
かなりデリカシーのない聞き方ですね。
私なら平手打ちの一発はお見舞いしますが?
えっ……そんなにダメ?
当たり前でしょう。
初めて話をしたというのに闘いに向いてないとか言われたら、はぁ?ってなります。
「ご、ごめん!えっと!その本当に失礼なことを聞いてしまって!悪気はないんだ!」
慌てふためきながら、謝罪をすると、
「……ふふふ、弟たちにそっくりです」
リーナは優しく微笑んでくれていた。
慈愛溢れるその微笑み、そして華奢な体の後ろには穢れなき光の翼が見える……
……リーナ様が天使だったのか。
残念ながら人間です。
そんなことないもん!
目を覚ましてください!
ガツンッ!
「いだぁぁぁ!?」
「だ、大丈夫ですか!?今何かの腕が!?」
「だ、大丈夫……うちの召喚獣が驚かせてごめんね……」
「えっ……召喚獣が殴ってくるんですか?」
「そうなんだよ。なんていうかうるさい母親みたいな感じで……」
誰が母親ですか!
そこはせめて姉でしょう!
バシバシバシバシ!
「ほげぇぇぇ!?」
鉄甲の往復ビンタは痛すぎる!
「……ぷっ」
俺が腫れた頬を押さえていると、
「あははははは!」
リーナはこらえきれなくなったように笑い始めた。
「ど、どうひゅうこと……?」
ふふふ……しっかりと空気を暖めておきましたよ?
グッと親指を立てるファーナの腕。
噓つけぇぇぇ!
「あは、あはは……ごめんなさい……召喚獣に叩かれる人なんて、面白い人だって思っちゃって……」
涙を拭うほどに笑われてしまった。
まあ、いいけどね……
「きっとカイさんとリビングメイルさんは強い絆で結ばれているんですね。だからそうやって仲良くできるんだと思います」
まっすぐな瞳が俺を見つめてくる。
なんだ、やはり天使じゃないか。
「そう言われると、なんだか照れるな……」
だが、優しい微笑みは悲しい表情へと変わっていってしまう。
「私の闘う理由は……お金の為です」
どうやら最初の質問に答えてくれているようだ。
「お金?」
「はい、私は孤児院出身なんです。でも温かい私の家で家族もいます。でもその孤児院が運営費の問題で無くなってしまうかもしれないんです。だから私は早く召喚師になって、勝ってたくさんのお金を送るんです。だから負けません!」
リーナから強い意志を向けられた。
その瞳に宿るのは信念と決意。
「……」
「あ、あの……?」
「うっ……そうか、そういう理由がなぁ……軽々しく聞いてごめん。俺は本当に無神経だった」
俺は号泣しながら、リーナに謝った。
涙もろい性格というか、感動する話に俺はとことん弱い。
「い、いえ!?その、少し驚きましたが、話を聞いてくれて私も胸が軽くなりました。だから、泣かないでください」
そう言うと、困ったように笑ってハンカチを出してくれた。
なんという優しい子なんだ……よしっ!決めたぞ!
「今回、学年1位になったら報奨金がでるじゃない?もし俺が貰えたら君の孤児院に寄付するよ」
「えっ!そんな悪いです!」
「リーナさんとの勝負がどうなるか分からないけど、そういう話を聞いたら何かしてあげたくなるんだ。でもわざと負けたりはできないから真剣勝負はさせてもらうよ?」
「もちろんです!ですが、ありがとうございます……」
「あははは、なんだか照れるな」
「よ、よろしければ、お友達になってもらえますか?」
「もちろん。改めてよろしく、カイでいいよ」
「はい!私もリーナって呼んでください!」
可愛い女の子がお友達になってくれて良かったですね。
私のおかげですよ?
……ものすごい圧を感じるんだけど。
いえ?今から闘う相手のために集中しているだけですが?
そ、それは頼もしいなぁ……
ええ、血祭りにあげて差し上げます。
そこまではしないでもらえるかなぁ!?
「準備が整いましたので試合を開始します。カイ君とリーナさんは指定の位置についてください」
「じゃ、じゃあ行こうか……」
「はい!よろしくお願いします!」
指定の位置につく。
そうして向かい合うと、リーナの顔からは先ほどまでの笑顔は消え、真剣な表情で身構えている。
「試合開始!」
ファーナを呼び出すと同時に、リーナもキリンを召喚する。
改めて正面から見ると、観客席とは迫力が段違いだ。
神々しい白い身体からは身震いするような威圧感が放たれている。
しかし俺はファーナを信じ、命令を下す。
キリンを抑えてくれ。
はい、マスター。
何ごとでもないように返事をすると、ファーナはキリンへと向かっていった。
「雷撃です!」
リーナの命令通りに角から雷撃がファーナに向かって襲いかかる。
あれ?この位置ってファーナが避けたら俺に直撃するんじゃない?
だがその心配は杞憂だった。
速度を落とすことなくファーナは手を前に差し出すと、光り輝く盾が前方の空間に現れる。
バチィッ!
雷撃は盾に接触すると、お互いに消滅した。
「そんな!?」
「すごっ!?」
驚くリーナ。
ついでに俺も驚く。
ファーナはお返しとばかりに自分の周りに光の剣を五本ほど召喚し、キリンに向けて放つ。
「神よ、守護を!」
それに冷静に対応し、防御魔法を発動させるとキリンの周りに光の障壁が現れた。
ギィン!
大きな音とともに五本の剣がぶつかった。
剣は障壁にはじかれるかと思いきや、圧し負けずに貫こうとぶつかりあったままだ。
「くぅぅぅ……!」
リーナの悲痛な声が聞こえてくる。
……なんとも硬い障壁ですね。
ファーナは立ち止まり、右手を大きく開いて圧し続けている。
そしてキリンもリーナの障壁を強化しているようだ。
角が白く輝き、内側から支えている。
「まだまだ!」
負けん!
剣と盾がぶつかり合う中、完全に忘れられているのが俺という存在。
「炎の矢」
回り込んでいた俺の魔法が彼女の横腹に直撃する。
「きゃっ!」
不意の一撃のため、抵抗力を高めていなかったリーナは最大限の効果を受けてしまったようだ。
彼女のローブに火種がつき、身体を炎が包み込んでいく。
「あっ……」
その言葉と同時にリーナの身体は地面へと倒れこみ、キリンと障壁が消え去っていく。
どうやら魔力を維持することができず、コントロールを失ったらしい。
「リーナさんの魔力消失を確認!勝者カイ君!」
「リーナ!」
俺はすぐさま火のついたローブを脱がすと、放り捨てた。
「大丈夫……っ!?」
「ええ……ありがとうございます……目の前のリビングメイルさんに気を取られて、カイさんのことを忘れていました……」
えへへ……と俺の腕の中で力なく笑った。
「とりあえず、これ……」」
だが、俺には何も答える余裕がない。
黙ったまま俺は制服の上着を脱ぎ、渡した。
「えっと……?」
訳が分からないようにこちらを見てくるリーナ。
「見えてる……」
その、まあ、なんだ、ローブの下に着ていた制服が焼け焦げて、下着がちょっとだけ見えてる……
両方、ピンク。
「えっ……?ひゃぁ!?」
そこで自分の姿を確認したリーナは上着をひったくると胸元を隠す。
「見ましたよね……?」
そして口をとがらせ、責めるように俺を見る。
「あのぉ……ごめんなさい」
恥ずかしそうに、
「えっち……」
と言ってうつむいた。
かわいい!これはかわいい!
マスター!真剣勝負に横やりを入れ、挙句の果てにはわざと火の魔法を使いましたね!?
ちがぁぁぁう!一番得意な魔法が火属性なんだよ!
それに試合だから仕方ないだろ!?
ほぉぉぉ……そぉぉぉですかぁ……
もう少しで、破れそうだったのにぃ!
言い方にものすごい不満がにじみ出ているが、勘弁していただきたい。
ルナ先生が新しいローブを持って来てくれると、リーナはそれを羽織って更衣室へと向かった。
すると、それだけで察しがついたらしい会場の男子からブーイングが飛んでくる。
「自分だけリーナちゃんのエッチな格好見やがったな!?」
「ふざけんじゃねぇ!」
「何色だったんだよ!」
へん、誰が教えるか。
野郎に嫌われてもこっちにはダメージない。
リーナの姿は俺だけの思い出として覚えておこう。
マスターは恥ずかしくないのですか?
俺だって健全な男子だ。
何も恥じることはない。
全くいつの時代も変わりませんね、男というものは。
ファーナも綺麗だし、モテたんじゃない?
……綺麗かどうかは置いておきますが、私は自分より弱い男性には興味をもちませんでしたのでよくわかりませんね。ただ不快な目で見られたのはよくありましたね。
ファーナより強い男なんてそうはいないんじゃない?
それに視線も綺麗だとか、憧れとかもあったんじゃ……
もういいです……
何が?
照れるんですよ!そんなに……綺麗とか言わないでください!
……なんで褒めたのに怒られるんだ?
そうして本日の全ての闘いが終わり、教室に戻る。
「本日は大変お疲れさまでした。大きな怪我も無く嬉しく思います。明日は決勝戦ですので、負けた人はしっかり参考にし、勝った人は頑張ってください」
「では、本日は終了となります」
「「「ありがとうございました!」」」
さて、夕食の時間までゆっくりするとしよう。
ふぁぁぁ……
気だるげな身体を動かしながら、俺は自分の部屋へと戻っていった。
戦いを終えた俺は選手席に戻り、木製の椅子に座ると、
「お、お疲れ様でした……」
「リーナさん、ありがとう」
リーナがぎこちない様子で声をかけてくれた。
敗者は観客席へと回るので、こちらの席には勝者である俺とリーナのみとなる。
「「……」」
その結果、気まずい空気になってしまう。
「リーナさんの試合もとてもすごくていろいろと参考になったよ」
闘技場の整理を先生方が行ってくれている間は、ただ待つしかない。
そのためなんとか空気を和まそうと、話しかけてみたのだが……
「ありがとうございます……」
会話はそこで終わってしまい、再び沈黙の気まずい空気が流れる。
うーん、何を話そうか?
あっ、そういえば聞きたいことあったな。
「リーナさんはどうしてこの学園に来たの?こう言っては失礼だけど戦闘向きじゃないよね?」
かなりデリカシーのない聞き方ですね。
私なら平手打ちの一発はお見舞いしますが?
えっ……そんなにダメ?
当たり前でしょう。
初めて話をしたというのに闘いに向いてないとか言われたら、はぁ?ってなります。
「ご、ごめん!えっと!その本当に失礼なことを聞いてしまって!悪気はないんだ!」
慌てふためきながら、謝罪をすると、
「……ふふふ、弟たちにそっくりです」
リーナは優しく微笑んでくれていた。
慈愛溢れるその微笑み、そして華奢な体の後ろには穢れなき光の翼が見える……
……リーナ様が天使だったのか。
残念ながら人間です。
そんなことないもん!
目を覚ましてください!
ガツンッ!
「いだぁぁぁ!?」
「だ、大丈夫ですか!?今何かの腕が!?」
「だ、大丈夫……うちの召喚獣が驚かせてごめんね……」
「えっ……召喚獣が殴ってくるんですか?」
「そうなんだよ。なんていうかうるさい母親みたいな感じで……」
誰が母親ですか!
そこはせめて姉でしょう!
バシバシバシバシ!
「ほげぇぇぇ!?」
鉄甲の往復ビンタは痛すぎる!
「……ぷっ」
俺が腫れた頬を押さえていると、
「あははははは!」
リーナはこらえきれなくなったように笑い始めた。
「ど、どうひゅうこと……?」
ふふふ……しっかりと空気を暖めておきましたよ?
グッと親指を立てるファーナの腕。
噓つけぇぇぇ!
「あは、あはは……ごめんなさい……召喚獣に叩かれる人なんて、面白い人だって思っちゃって……」
涙を拭うほどに笑われてしまった。
まあ、いいけどね……
「きっとカイさんとリビングメイルさんは強い絆で結ばれているんですね。だからそうやって仲良くできるんだと思います」
まっすぐな瞳が俺を見つめてくる。
なんだ、やはり天使じゃないか。
「そう言われると、なんだか照れるな……」
だが、優しい微笑みは悲しい表情へと変わっていってしまう。
「私の闘う理由は……お金の為です」
どうやら最初の質問に答えてくれているようだ。
「お金?」
「はい、私は孤児院出身なんです。でも温かい私の家で家族もいます。でもその孤児院が運営費の問題で無くなってしまうかもしれないんです。だから私は早く召喚師になって、勝ってたくさんのお金を送るんです。だから負けません!」
リーナから強い意志を向けられた。
その瞳に宿るのは信念と決意。
「……」
「あ、あの……?」
「うっ……そうか、そういう理由がなぁ……軽々しく聞いてごめん。俺は本当に無神経だった」
俺は号泣しながら、リーナに謝った。
涙もろい性格というか、感動する話に俺はとことん弱い。
「い、いえ!?その、少し驚きましたが、話を聞いてくれて私も胸が軽くなりました。だから、泣かないでください」
そう言うと、困ったように笑ってハンカチを出してくれた。
なんという優しい子なんだ……よしっ!決めたぞ!
「今回、学年1位になったら報奨金がでるじゃない?もし俺が貰えたら君の孤児院に寄付するよ」
「えっ!そんな悪いです!」
「リーナさんとの勝負がどうなるか分からないけど、そういう話を聞いたら何かしてあげたくなるんだ。でもわざと負けたりはできないから真剣勝負はさせてもらうよ?」
「もちろんです!ですが、ありがとうございます……」
「あははは、なんだか照れるな」
「よ、よろしければ、お友達になってもらえますか?」
「もちろん。改めてよろしく、カイでいいよ」
「はい!私もリーナって呼んでください!」
可愛い女の子がお友達になってくれて良かったですね。
私のおかげですよ?
……ものすごい圧を感じるんだけど。
いえ?今から闘う相手のために集中しているだけですが?
そ、それは頼もしいなぁ……
ええ、血祭りにあげて差し上げます。
そこまではしないでもらえるかなぁ!?
「準備が整いましたので試合を開始します。カイ君とリーナさんは指定の位置についてください」
「じゃ、じゃあ行こうか……」
「はい!よろしくお願いします!」
指定の位置につく。
そうして向かい合うと、リーナの顔からは先ほどまでの笑顔は消え、真剣な表情で身構えている。
「試合開始!」
ファーナを呼び出すと同時に、リーナもキリンを召喚する。
改めて正面から見ると、観客席とは迫力が段違いだ。
神々しい白い身体からは身震いするような威圧感が放たれている。
しかし俺はファーナを信じ、命令を下す。
キリンを抑えてくれ。
はい、マスター。
何ごとでもないように返事をすると、ファーナはキリンへと向かっていった。
「雷撃です!」
リーナの命令通りに角から雷撃がファーナに向かって襲いかかる。
あれ?この位置ってファーナが避けたら俺に直撃するんじゃない?
だがその心配は杞憂だった。
速度を落とすことなくファーナは手を前に差し出すと、光り輝く盾が前方の空間に現れる。
バチィッ!
雷撃は盾に接触すると、お互いに消滅した。
「そんな!?」
「すごっ!?」
驚くリーナ。
ついでに俺も驚く。
ファーナはお返しとばかりに自分の周りに光の剣を五本ほど召喚し、キリンに向けて放つ。
「神よ、守護を!」
それに冷静に対応し、防御魔法を発動させるとキリンの周りに光の障壁が現れた。
ギィン!
大きな音とともに五本の剣がぶつかった。
剣は障壁にはじかれるかと思いきや、圧し負けずに貫こうとぶつかりあったままだ。
「くぅぅぅ……!」
リーナの悲痛な声が聞こえてくる。
……なんとも硬い障壁ですね。
ファーナは立ち止まり、右手を大きく開いて圧し続けている。
そしてキリンもリーナの障壁を強化しているようだ。
角が白く輝き、内側から支えている。
「まだまだ!」
負けん!
剣と盾がぶつかり合う中、完全に忘れられているのが俺という存在。
「炎の矢」
回り込んでいた俺の魔法が彼女の横腹に直撃する。
「きゃっ!」
不意の一撃のため、抵抗力を高めていなかったリーナは最大限の効果を受けてしまったようだ。
彼女のローブに火種がつき、身体を炎が包み込んでいく。
「あっ……」
その言葉と同時にリーナの身体は地面へと倒れこみ、キリンと障壁が消え去っていく。
どうやら魔力を維持することができず、コントロールを失ったらしい。
「リーナさんの魔力消失を確認!勝者カイ君!」
「リーナ!」
俺はすぐさま火のついたローブを脱がすと、放り捨てた。
「大丈夫……っ!?」
「ええ……ありがとうございます……目の前のリビングメイルさんに気を取られて、カイさんのことを忘れていました……」
えへへ……と俺の腕の中で力なく笑った。
「とりあえず、これ……」」
だが、俺には何も答える余裕がない。
黙ったまま俺は制服の上着を脱ぎ、渡した。
「えっと……?」
訳が分からないようにこちらを見てくるリーナ。
「見えてる……」
その、まあ、なんだ、ローブの下に着ていた制服が焼け焦げて、下着がちょっとだけ見えてる……
両方、ピンク。
「えっ……?ひゃぁ!?」
そこで自分の姿を確認したリーナは上着をひったくると胸元を隠す。
「見ましたよね……?」
そして口をとがらせ、責めるように俺を見る。
「あのぉ……ごめんなさい」
恥ずかしそうに、
「えっち……」
と言ってうつむいた。
かわいい!これはかわいい!
マスター!真剣勝負に横やりを入れ、挙句の果てにはわざと火の魔法を使いましたね!?
ちがぁぁぁう!一番得意な魔法が火属性なんだよ!
それに試合だから仕方ないだろ!?
ほぉぉぉ……そぉぉぉですかぁ……
もう少しで、破れそうだったのにぃ!
言い方にものすごい不満がにじみ出ているが、勘弁していただきたい。
ルナ先生が新しいローブを持って来てくれると、リーナはそれを羽織って更衣室へと向かった。
すると、それだけで察しがついたらしい会場の男子からブーイングが飛んでくる。
「自分だけリーナちゃんのエッチな格好見やがったな!?」
「ふざけんじゃねぇ!」
「何色だったんだよ!」
へん、誰が教えるか。
野郎に嫌われてもこっちにはダメージない。
リーナの姿は俺だけの思い出として覚えておこう。
マスターは恥ずかしくないのですか?
俺だって健全な男子だ。
何も恥じることはない。
全くいつの時代も変わりませんね、男というものは。
ファーナも綺麗だし、モテたんじゃない?
……綺麗かどうかは置いておきますが、私は自分より弱い男性には興味をもちませんでしたのでよくわかりませんね。ただ不快な目で見られたのはよくありましたね。
ファーナより強い男なんてそうはいないんじゃない?
それに視線も綺麗だとか、憧れとかもあったんじゃ……
もういいです……
何が?
照れるんですよ!そんなに……綺麗とか言わないでください!
……なんで褒めたのに怒られるんだ?
そうして本日の全ての闘いが終わり、教室に戻る。
「本日は大変お疲れさまでした。大きな怪我も無く嬉しく思います。明日は決勝戦ですので、負けた人はしっかり参考にし、勝った人は頑張ってください」
「では、本日は終了となります」
「「「ありがとうございました!」」」
さて、夕食の時間までゆっくりするとしよう。
ふぁぁぁ……
気だるげな身体を動かしながら、俺は自分の部屋へと戻っていった。
24
あなたにおすすめの小説
社畜だった俺、最弱のダンジョンマスターに転生したので、冒険者を癒やす喫茶店ダンジョンを経営します
☆ほしい
ファンタジー
過労死した俺が目を覚ますと、そこは異世界のダンジョンコアの前だった。
どうやら俺は、ダンジョンマスターとして転生したらしい。
だが、与えられた俺のダンジョンは最低ランクのF級。魔力を生み出す力は弱く、生み出せる魔物もスライムやゴブリンといった最弱クラスばかり。これでは、冒険者を呼び込んで魔力を得るなんて夢のまた夢だ。
絶望する俺だったが、ダンジョンの創造機能を使えば、内装を自由にデザインできることに気づく。
「……そうだ、喫茶店を開こう」
前世で叶えられなかった夢。俺は戦闘を放棄し、ダンジョンの入り口に木造の喫茶店『やすらぎの隠れ家』を作り上げた。メニューは、前世の知識を活かしたコーヒーと手作りケーキだけ。
ところが、そのコーヒーには異常なまでの疲労回復効果が、ケーキには一時的な能力向上効果が付与されていることが判明。噂を聞きつけた訳ありの冒険者たちが、俺のダンジョンに癒やしを求めて集い始めるのだった。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
異世界で目が覚めたら目の前で俺が死んでました。この世界でオリジナルの俺はとっくに死んでたみたいです
青山喜太
ファンタジー
主人公桜間トオル17歳は家族との旅行中、車の中ではなく突然なんの脈絡もなく遺跡の中で目が覚めてしまう。
混乱する桜間トオルの目の前にいたのは自分と瓜二つ、服装さえ一緒のもう一人の桜間トオルだった。
もう一人の桜間トオルは全身から出血し血を吐きながら、乞う。
「父さんと、母さん……妹をアカリを頼む……!!」
思わず、頷いた桜間トオルはもう一人の自分の最後を看取った。
その時、見知らぬ声が響く。
「私のことがわかるか? 13人の桜間トオル?」
これはただの高校生である桜間トオルが英雄たちとの戦争に巻き込まれていく物語
クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら
リヒト
ファンタジー
現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。
そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。
その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。
お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。
ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。
お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?
異世界へ転生した俺が最強のコピペ野郎になる件
おおりく
ファンタジー
高校生の桜木 悠人は、不慮の事故で命を落とすが、神のミスにより異世界『テラ・ルクス』で第二の生を得る。彼に与えられたスキルは、他者の能力を模倣する『コピーキャット』。
最初は最弱だった悠人だが、光・闇・炎・氷の属性と、防御・知識・物理の能力を次々とコピーし、誰も成し得なかった多重複合スキルを使いこなす究極のチートへと進化する!
しかし、その異常な強さは、悠人を巡る三人の美少女たちの激しい争奪戦を引き起こすことになる。
乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる
アミ100
ファンタジー
国立大学に通っていた理系大学生カナは、あることがきっかけで乙女ゲーム「Amour Tale(アムール テイル)」のヒロインとして転生する。
自由に生きようと決めたカナは、あえて本来のゲームのシナリオを無視し、実践的な魔法や剣が学べる魔術学院への入学を決意する。
魔術学院には、騎士団長の息子ジーク、王国の第2王子ラクア、クラスメイト唯一の女子マリー、剣術道場の息子アランなど、個性的な面々が在籍しており、楽しい日々を送っていた。
しかしそんな中、カナや友人たちの周りで不穏な事件が起こるようになる。
前世から持つ頭脳や科学の知識と、今世で手にした水属性・極闇傾向の魔法適性を駆使し、自身の過去と向き合うため、そして友人の未来を守るために奮闘する。
「今世では、自分の思うように生きよう。前世の二の舞にならないように。」
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~
虎柄トラ
ファンタジー
下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。
意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。
女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。
敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。
剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。
一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。
快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる