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一年生
クリス先輩ってどんな人ですか?
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食堂でのクリス先輩による乱入から一夜明け、窓の外を見てみるとあいにくの雨模様だ。
湿気で鎧が錆びやすいので今日は召喚しないでくださいね?
この前錆止めのオイルをたんまり塗らせたくせに!?
父上からもらった大切な鎧なんです!
それにこの鎧は乙女の柔肌のようなもの……大切に扱うのは男性の義務でしょう!
め、めんどくせぇぇぇ!
はぁぁぁぁぁぁ!?
時間だし教室行くからな!
二人の様子を見ていると、昨日の口ケンカがまだ尾を引いているようだが、仲の良い姉弟のように見えてならない。
こう言うと二人は口をそろえて、
「誰が仲良しだ!ですか!」
と言うのだろうが。
ファーナとの口ケンカに終止符を打ち、教室へと向かう。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
「おはようございます。今日は雨が降りそうで、憂鬱です……」
「リーナの髪、ぴょんぴょんしててかわいい」
「言わないでください……」
リーナは髪が気になるようで手櫛で何度も直しているのだが、その度にぴょんと癖毛が立ち上がる。
「リーナの髪なら俺も分かるんだけどなぁ……」
「どういう意味ですか?」
「いや、ファーナの奴が鎧が錆びるかもしれないから外に出たくないとか言うんだよ。意味わからないだろ?」
俺は先ほどのやり取りを簡単に三人に説明したのだが、
「意味が分からないのは貴様だが?」
「そうですよ!女の子なんだから外見を気にするのは当たり前じゃないですか!」
「わたしはそういうのよくわからないけど、二人がそう言ってるからカイが悪い」
俺に味方はいなかった。
ほぉらどうですか!?女の子は私の味方ですが!?
めちゃくちゃ機嫌よくなったな!?
さっきまで黙ったまんまだったのに!
ふふふ!援軍が来たら元気も出ますよ!
勝機ですからね!
俺に援軍はないのか!?
「おはよう、みんな」
むっ!?背後からルースの声!?
「ルースは俺の味方だよな!?」
いいえ!ルース君も乙女同盟の味方に決まっているでしょう!
なんだよその同盟って!
「は、話が全然分からないんだけど……」
ガクガクと揺らしたせいでフラフラしているルースにまた同じ説明をした。
「うーん……」
「ルースなら分かってくれるだろう!?このめんどくさい感じが!」
何をおっしゃいますか!
「あはは、なんだか恋人同士のケンカみたいだね?ならちゃんとお互いに歩み寄らないとダメだよ?」
「こ、恋人じゃないし!?」
そ、そうですよ!何を言っているんですか!?
「……オーレリア様と恋人関係だと?」
「ちょっと待ってください……?鎧がファーナさんの身体だとしたら二人はすでに愛の営みをしているのでは!?」
「あいのいとなみって?」
「……こうしてこうしてこういうことです」
「……カイのえっち」
「なんでそうなるかなぁ!?」
も、もういやです!
私は聖霊界に引きこもりますので!
探さないでください!
「ちょっと待って!?」
ガラガラ。
「はい、授業を始め……カイ君?奥さんに逃げられた旦那さんみたいな顔をしてますね?」
教室へと入ってきたルナ先生の言葉により、クラス中に笑いが広がってしまった。
わ、笑うんじゃねぇ!
そんな大恥をかいた授業も終わり、休み時間になる。
俺はこの時間を使ってルナ先生にクリス先輩のことを聞くことにした。
「ルナ先生、ちょっといいですか?」
「はい、なんでしょう?」
「三年生のクリス先輩について聞きたいんですが?」
「クリスさんですか?別に構いませんが、なぜクリスさんのことを?」
「昨日、食堂に急に現れたんですが、そのときに模擬戦に誘われまして……」
「全くあの子の行動の早さには恐れ入りますね……」
「そうなんですか?」
「ええ、クリスさんは闘うことが大好きなのです。これはと思った人に積極的に話しかけるのですが、闘うと必ず勝利してきました。それも圧倒的な強さで。そうしたことを繰り返す内に、学年だけではなく学園でもランク一位になったのです。そして彼女に挑むものはいなくなりました」
誰も相手がいないんだ。
クリス先輩の言葉を思い返すと、確かにそうなるのも仕方ない話だった。
「彼女の逸話にこのような話もあります。それは二年前の交流戦のときのこと。この前のように総当たり戦ではなく、勝ち抜き戦で行われました。最初の二年生に四人抜きされまして、最後の一人になりました。ですが、そこから四人抜きをし返しまして、最後の一戦になったのです。そして互角に闘い、後一歩というところでクリスさんの魔力切れで召喚獣を失ったことで敗北となりました」
二年生に俺たちが勝ったとはいえ、二人抜きも出来たかと言えばほぼ不可能だったと思う。
そんなイレギュラーをザコバ先生が見越して、勝ち抜き戦から総当たり戦に変更したのだろうか。
「……クリス先輩は、どういう闘い方をするんですか?」
「一言で表現するのならば近接型の騎士ですね。召喚獣のユニコーンに跨がり、圧倒的速さで戦場を駆け抜けていく。しかもその一体のみで勝ってしまうので、私も他の二体は見たことがありません。担当の先生なら知ってると思いますが、あまり交流があるわけではないので」
ユニコーンはCランクで回復と補助が得意だが、あまり近接戦闘には向いていない。
それなのに圧倒的な戦闘力を誇ると言うのなら、クリス先輩自身が強いのだろう。
それともう一つ、ユニコーンは乙女としか契約せず、その背に乗せるのも乙女だけだという。
ふむふむ。やはり乙女ですか……
マスター……?
うわ!ファーナ!?いつの間に帰ってきたんだよ!?
邪な思念を感じましたので駆けつけました。
……そんなことよりも聞いてくれ!闘ってみたい相手を見つけたんだ!
乙女なクリス先輩ですか?
乙女は関係ないってぇぇぇ!
「クリスさんとの模擬戦を受けるのですか?」
「そ、そうですね!闘ってみたいと思います!」
「カイ君の実力は認めていますが、彼女は別格ですよ?」
「だからこそです!お願いします!」
「……分かりました。結界の強化など、万全に安全対策をさせてもらいます。ですので模擬戦まで少々お時間を頂きますね」
「はい!」
思うことはあるが、カイの輝く瞳を信じたルナが呟く。
「彼女のためにも、そして貴方のためにも決して折られないことを願います。挑戦心という剣を……」
その言葉が舞い上がるカイの耳に届くことはなく、雨音によって静かに消されていった。
湿気で鎧が錆びやすいので今日は召喚しないでくださいね?
この前錆止めのオイルをたんまり塗らせたくせに!?
父上からもらった大切な鎧なんです!
それにこの鎧は乙女の柔肌のようなもの……大切に扱うのは男性の義務でしょう!
め、めんどくせぇぇぇ!
はぁぁぁぁぁぁ!?
時間だし教室行くからな!
二人の様子を見ていると、昨日の口ケンカがまだ尾を引いているようだが、仲の良い姉弟のように見えてならない。
こう言うと二人は口をそろえて、
「誰が仲良しだ!ですか!」
と言うのだろうが。
ファーナとの口ケンカに終止符を打ち、教室へと向かう。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
「おはようございます。今日は雨が降りそうで、憂鬱です……」
「リーナの髪、ぴょんぴょんしててかわいい」
「言わないでください……」
リーナは髪が気になるようで手櫛で何度も直しているのだが、その度にぴょんと癖毛が立ち上がる。
「リーナの髪なら俺も分かるんだけどなぁ……」
「どういう意味ですか?」
「いや、ファーナの奴が鎧が錆びるかもしれないから外に出たくないとか言うんだよ。意味わからないだろ?」
俺は先ほどのやり取りを簡単に三人に説明したのだが、
「意味が分からないのは貴様だが?」
「そうですよ!女の子なんだから外見を気にするのは当たり前じゃないですか!」
「わたしはそういうのよくわからないけど、二人がそう言ってるからカイが悪い」
俺に味方はいなかった。
ほぉらどうですか!?女の子は私の味方ですが!?
めちゃくちゃ機嫌よくなったな!?
さっきまで黙ったまんまだったのに!
ふふふ!援軍が来たら元気も出ますよ!
勝機ですからね!
俺に援軍はないのか!?
「おはよう、みんな」
むっ!?背後からルースの声!?
「ルースは俺の味方だよな!?」
いいえ!ルース君も乙女同盟の味方に決まっているでしょう!
なんだよその同盟って!
「は、話が全然分からないんだけど……」
ガクガクと揺らしたせいでフラフラしているルースにまた同じ説明をした。
「うーん……」
「ルースなら分かってくれるだろう!?このめんどくさい感じが!」
何をおっしゃいますか!
「あはは、なんだか恋人同士のケンカみたいだね?ならちゃんとお互いに歩み寄らないとダメだよ?」
「こ、恋人じゃないし!?」
そ、そうですよ!何を言っているんですか!?
「……オーレリア様と恋人関係だと?」
「ちょっと待ってください……?鎧がファーナさんの身体だとしたら二人はすでに愛の営みをしているのでは!?」
「あいのいとなみって?」
「……こうしてこうしてこういうことです」
「……カイのえっち」
「なんでそうなるかなぁ!?」
も、もういやです!
私は聖霊界に引きこもりますので!
探さないでください!
「ちょっと待って!?」
ガラガラ。
「はい、授業を始め……カイ君?奥さんに逃げられた旦那さんみたいな顔をしてますね?」
教室へと入ってきたルナ先生の言葉により、クラス中に笑いが広がってしまった。
わ、笑うんじゃねぇ!
そんな大恥をかいた授業も終わり、休み時間になる。
俺はこの時間を使ってルナ先生にクリス先輩のことを聞くことにした。
「ルナ先生、ちょっといいですか?」
「はい、なんでしょう?」
「三年生のクリス先輩について聞きたいんですが?」
「クリスさんですか?別に構いませんが、なぜクリスさんのことを?」
「昨日、食堂に急に現れたんですが、そのときに模擬戦に誘われまして……」
「全くあの子の行動の早さには恐れ入りますね……」
「そうなんですか?」
「ええ、クリスさんは闘うことが大好きなのです。これはと思った人に積極的に話しかけるのですが、闘うと必ず勝利してきました。それも圧倒的な強さで。そうしたことを繰り返す内に、学年だけではなく学園でもランク一位になったのです。そして彼女に挑むものはいなくなりました」
誰も相手がいないんだ。
クリス先輩の言葉を思い返すと、確かにそうなるのも仕方ない話だった。
「彼女の逸話にこのような話もあります。それは二年前の交流戦のときのこと。この前のように総当たり戦ではなく、勝ち抜き戦で行われました。最初の二年生に四人抜きされまして、最後の一人になりました。ですが、そこから四人抜きをし返しまして、最後の一戦になったのです。そして互角に闘い、後一歩というところでクリスさんの魔力切れで召喚獣を失ったことで敗北となりました」
二年生に俺たちが勝ったとはいえ、二人抜きも出来たかと言えばほぼ不可能だったと思う。
そんなイレギュラーをザコバ先生が見越して、勝ち抜き戦から総当たり戦に変更したのだろうか。
「……クリス先輩は、どういう闘い方をするんですか?」
「一言で表現するのならば近接型の騎士ですね。召喚獣のユニコーンに跨がり、圧倒的速さで戦場を駆け抜けていく。しかもその一体のみで勝ってしまうので、私も他の二体は見たことがありません。担当の先生なら知ってると思いますが、あまり交流があるわけではないので」
ユニコーンはCランクで回復と補助が得意だが、あまり近接戦闘には向いていない。
それなのに圧倒的な戦闘力を誇ると言うのなら、クリス先輩自身が強いのだろう。
それともう一つ、ユニコーンは乙女としか契約せず、その背に乗せるのも乙女だけだという。
ふむふむ。やはり乙女ですか……
マスター……?
うわ!ファーナ!?いつの間に帰ってきたんだよ!?
邪な思念を感じましたので駆けつけました。
……そんなことよりも聞いてくれ!闘ってみたい相手を見つけたんだ!
乙女なクリス先輩ですか?
乙女は関係ないってぇぇぇ!
「クリスさんとの模擬戦を受けるのですか?」
「そ、そうですね!闘ってみたいと思います!」
「カイ君の実力は認めていますが、彼女は別格ですよ?」
「だからこそです!お願いします!」
「……分かりました。結界の強化など、万全に安全対策をさせてもらいます。ですので模擬戦まで少々お時間を頂きますね」
「はい!」
思うことはあるが、カイの輝く瞳を信じたルナが呟く。
「彼女のためにも、そして貴方のためにも決して折られないことを願います。挑戦心という剣を……」
その言葉が舞い上がるカイの耳に届くことはなく、雨音によって静かに消されていった。
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