召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

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一年生

虚実です!

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アリシアは召喚したペガサスに騎乗すると、前回と同じく上空へと舞い上がった。
ルースもアリシアの動きに対応するように、グリフィンに騎乗して空へと追いかけていく。
どうやら空中戦の展開になりそうだ。

「緊張感漂う空中戦場!最初に動いたのはアリシア選手だ!」

アリシアは剣を構えるとペガサスの腹を軽く蹴り、ルースへと突進を開始した。
だが速さはない。

「炎の矢!」

複数の炎がルースの周囲を円のように囲って現れると、向かってくるアリシアへ一直線に放った。
そしてそれに呼応するかのごとく、グリフィンが翼を羽ばたかせて風を起こすと炎の矢は吹き荒れる風を受け、その速度を上げていく。

「……」

向かってくる炎の矢に対して、アリシアは剣を無造作に振るう。
その瞬間、全ての炎の矢たちが吹き飛ばされてしまう。
俺は目の前で起こった現象に見覚えがあった。

「あははは!それぇ!」

クリス先輩が笑いながら振るった剣が俺の炎の矢を霧散させたのと似ている。
消し飛ばすのと吹き飛ばすのでは相当な力量差があるとは思うが、それでも比べる相手が規格外なだけだ。

剣の腕はフレアと同等か?

どうやらそのようですね。
下半身が安定しない騎乗している状態であの振りはなかなかできることではありませんので。

「雷槍撃!」

派手に初撃を散らされたルースだったが、冷静に二の矢を放つ。
ルースが放った雷の槍は、剣を振るった後のアリシアの隙を狙って高速で飛行していく。

だが、アリシアは焦るそぶりすら見せずにその槍をかわす。
その場で羽ばたいていたペガサスが翼を止め、その馬体を落とすようにして避けたのだ。
俺はそんな見事な動きを見た結果、はっきりと分かったことがある。

あんなかわし方ができるのは命令型じゃない。
ファーナたちと同じ自律型だ。
しかしアルグランド学園では一年生は命令型のまま召喚獣の扱い方を教わるはず。
実際、次席のダクドも命令型だった。
なぜ彼女は自律型で闘えているのだろう?

「あっと!?アリシア選手!これは早いですね!」

そんな疑問を解決する暇もないまま、戦場は激しく動き出そうとしている。

一回戦や先ほどまでの動きとは全然違う!!

ペガサスは落ちようとする馬体を一瞬で上昇に転じさせると、あっという間にルースとの距離を縮めていく。

彼女、なかなかの戦上手ですね。
虚の使い方が見事です。

きょ?

はい。
相手に誤った判断をさせることや驚かせるといったことを虚と表現します。
その逆は実と言い、これは自身の力を大いに発揮させることを言います。
そして戦闘というものは虚実を織り交ぜることで自身の力は存分に、相手の力は最小限にさせることが勝利へと導いていくのです。

……なるほど?

わかっていませんね?

も、もう少し簡単にならない?

マスター!後ろでフレアさんのパンツが見えそうです!

なにぃ!?

俺はファーナの言葉を聞いて急いで振り返った。

「急になんだ?」

だが、フレアの足はしっかりと閉じていて見える気配は全くない。

「パンツが……あれ?」

「……下らんことを言っていないでしっかりと応援せんか!」

「ぐはぁ!?」

俺はフレアから渾身の手刀を頭頂部に頂いた。

これが虚です。
要するに相手を騙し、かく乱させることですね。
おわかりいただけましたか?

身に染みてわかりました……

そして実というのは……まさに今の彼女の姿です。

俺が視線を戦場へと向けると、アリシアの噓偽りのない剣の一撃がグリフィンの腹を捉えようとしていた。

だが、

「ルース選手!下から突き上げるような急襲を見事にかわしました!」

「見事!戦場を冷静に見ておる!空中戦は下からの攻撃があることを忘れてはならないということをよく理解しているな!流石わしの孫じゃ……だといわざるを得ません」

「ヴィオラさんも冷静になっていただいてほしいものですね」

ルースもちょっとやそっとのことで慌てるようなやつじゃない。
予想外のことが起きてもすぐに修正し、対応してくる。

なにせマスターとお友達なのですから、生半可なことじゃ驚きませんよね。

そうだ……ん?どういう意味だ?

俺は頷きかけたが、遠回しにバカにされたような気がする。

マスターに振り回され過ぎて慣れたのでしょう?
大変ですからね、マスターのお相手するのは。

なぁに言ってんだ?この大回転お姫様は?

誰が大回転姫ですか!?

訓練だと言って剣をブンブン振り回したついでに俺たちを振り回すのがファーナだろう!?
そりゃあ並大抵のことじゃあ冷静になるわ!

なんですってぇぇぇ!?

この時までは俺たちにもこんなやり取りができるくらいの余裕があった。

「……ルース・ファクトの戦闘力を上方修正します」

だが、ここからの戦闘はそんな余裕は無くなるのだった。
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