召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

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一年生

母は強しです!

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「いいおっさんがみっともないことしてんじゃねぇ!」

「父に向かっておっさんとは何事だ!このバカ息子が!」

友人の前だというのに恥ずかしい姿を見せる親父に俺はキレた。
だが、親父はまったく反省することなく逆ギレだ。

「なにおう!?」

「おっ!やるか!?」

俺と親父は額を突き合わせてにらみ合った。

「カイ君もお父様もそこまでに……」

そんな様子を見かねたルナ先生が止めに入ろうとするが、

「……おまんらいい加減にしぃや!人前でなに恥ずかしいことしゆがで!」

方言バリバリで母さんがキレた。
小さい身体で童顔だというのに、迫力十分である。
ぶっちゃけ試合中に相対するクリス先輩よりも怖い。

「ま、まっことごめんやき!」

「母さん許してや!」

俺が即座に謝り、親父もそれに続く。
母さんの怒りの恐怖はすっかりと身体に刷り込まれているようで、俺も親父もつい方言で返してしまう。

「うちの男どもはすぐにこれやきね!ちったぁ大人になりや!……あら?」

俺たちに説教をした後に、母さんは気づいた。
すっかりと自身が注目の的になっていることに。

「カイの母親でリュウカと申します。皆様よろしくお願いいたしますね」

即座によそいきの声色と笑顔でルナ先生やクラスメイトたちに挨拶をした。
その変わりようにみんなは驚きだろうが、俺と親父にとっては見慣れたものだ。

……なんというか、強いお母様のようですね。

ああ、俺は本能的に逆らえないのだ……

なるほど、獅子の前の小動物のような存在ということですか。

的確なたとえで素晴らしいと思うぞ……

「あらあら、可愛い女の子もいるじゃない。息子が迷惑かけてないかしら?」

「か、母さん!?」

俺の呼びかけを気にも留めないで、母さんはフレアたちに話しかけていく。

「い、いいえ!カイ……君にはお世話になっております!」

「はい!いろいろと教えてもらったり、助けてくれて感謝しています!」

「私はサリアです。お義母さん、よろしくお願いいたします」

「サリア貴様!?」

「ズルいですよサリアちゃん!」

「先手必勝」

なにやら揉め始めたが、フレアとリーナはサリアのただの挨拶に何を怒っているんだ?

「おやぁ?あなたたちもしかして……」

俺は疑問に思ったが、母さんにはその理由が分かっているようだ。
なにやら良い笑顔を浮かべている。

「な、なんでしょうか!?」

「わ、私たちはなんでもないですよ!?」

「なんだかドキドキする……」

「苦労するわよ?父親に似て八方美人の上、にぶいっていう困った子なんだから」

「親父、言われてるぞ」

「お前のことだ!お前の!」

ははは、何を言っている。
そんなことあるわけが……

「身をもって味わっております……」

「苦労されたのですね……」

「すごく大変」

おや?なぜうんうんと頷いているのだろう。
まるで同意しているみたいじゃないか。

まるでもなにも完全に同意しているのでしょう。

なぜだ!?俺が八方美人でにぶくて困った奴だというのか!?

まさしくそのものだと思いますが?

そんなバカな!
親父ならまだしも俺がそんなわけがない!

マスター?自信を客観的に見ることも大事ですよ?

心にくるからガチで説教しないでくれぇぇぇ!

「そちらも先生たちかしら?息子がお世話になっております」

母さんは次にガレフ先生とサフィール先生に目を向けて話しかける。

「こちらこそ。私はサフィールと申します」

優雅に挨拶を返すサフィール先生だが、

「ガハハハッ!初めましてお母さん!自分はガレフです!それにしてもずいぶんとお若いですな!いくつなんですか!?」

ガレフ先生は豪快に失礼なことを聞く。

この筋肉バカ!なんて質問するんだ!

隣にいる親父も血の気が引いている。

確かにデリカシーがありませんね!
初対面で女性に年齢を聞くなど言語道断です!

ファーナもプンプンとお怒りだが、俺たちの心配事はそうではない。

いや違うんだ!
母さんは歳を聞かれると……

「はい♪十七になります♪」

とんでもないことを言いやがるんだぁぁぁぁぁぁ!
いくらなんでも息子と歳が変わらんはずがないだろう!?

母さんの一言でその場が静まり返った。
それはそうだ。
どうツッコんでいいのかわからないからな。

「いやあご冗談が過ぎますな!その倍はあるでしょうに!」

この混沌とした空気を作り出したガレフ先生はさらに油を注いだ上に火を点けた。

「あら、何か文句でもあるの?私が十七と言ったら十七なのだけど?」

ゴゴゴゴゴゴゴ……

「ひぃ!?」

母さんの威圧感に、歴戦の元召喚師であるガレフ先生が怖気づいてしまう。

否定してしまったらそうなるのだ。

(ねぇねぇ……実際はいくつなの?)

ルースが小声で問いかけてきた。
近くにはフレアたちもおり、興味深そうに聞き耳を立てている。

(……知らないんだ)

(えっ?)

(母さんの年齢は、息子の俺も知らん……物心ついたときに聞いてみたが、今みたいに十七と答えるんだ。そこで俺は聞くのをやめた。知っているとすれば……)

俺は親父に目を向ける。

(親父、母さんっていくつなんだ?)

(……か、母さんの年齢は……)

ぐるり。

親父がもらしかけた瞬間、母さんの首が回る。

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!?
ほぼ真後ろに首が回ってるぅぅぅぅぅぅ!?

こ、こわいです!
それに満面の笑みじゃないですか!?

「あなたぁ……?」

「かあさんはじゅうななさい。ずっとかわらない」

「はい、よくできました」

これはダメだ。
どうやら俺は母さんの年齢を一生知ることはないようである……
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