20 / 31
7、経始
1
しおりを挟む
和眞は品川にある高級ホテルの前に到着し、見上げた。この街は再開発が進み、ただでさえ高いビルが多いのに、世界的人気のショップやレストラン、最先端のテクノロジーを売りにしたアミューズメント施設が新たに軒を連ね、近未来的なムードを深めている。
フッと小さく息を吐くと、ロビーを通ってカフェラウンジに向かった。
樹生の訪問から二週間が過ぎた。
その間、特になにかをしたわけではないので進展はなかったが、和眞の手元には一通の報告書が届けられていた。京が手配したものだ。調査は簡単であったようで、数日で終わったのだが、仕事が忙しくてそれどころではなかったのだ。
ようやく少し落ち着き、報告書に目を通し、行動に移すことになった。
約束した相手はまだ来ていない。スタッフに案内されてテラス窓の傍のテーブルに着席し、手入れされた中庭を眺める
(ネイリスト、か)
元キャバ嬢。坂戸淳也とつきあい始めてネイリストの学校に通い、現在ショップに勤務。
周囲にも交際相手がいることを話し、結婚のために節約生活を送って貯金しているとのこと。
(そのカレシに婚約者がいるってわかったらどう思うんだろうな。まぁ、ずっとキャバ嬢もできないんだから、早めに路線変更できたことはいいだろうけど)
キャバ嬢の仕事を見下げるつもりはないものの、やはり水商売は敬遠される。たとえ足を洗ったとしても、一度背負った看板が致命的になる世界もある。彼女はまさしく、その一度が許されない相手と恋に落ちたということだ。淳也の身内はもちろんだが、なによりも後援会の連中が許しはしないだろう。
(可哀相だが愛人止まりだ。まぁ、坂戸はそのつもりなんだろうけど。あいつがどれだけこの女に入れ込んでるか、今日、わかればいいが……バカじゃなければ、女のために将来を捨てるとは思えない)
期待薄だが、説得するしかない。時間は待ってくれない。もう二人の結婚式の日取りは五か月後に迫っている。
(問題はどう振り出すか、だ。話が流れ出したら顔色を見ながら臨機応変にすればいい。が、振り出し方を誤ったら軌道修正は難しいだろう。主導権は握られたくないから下手には出られない。かといって他にオンナがいるだろうと攻めては態度を硬化させるだけだし、こっちもヤっちまってるだけにバレたら一気に形勢逆転してしまう。難しいよなぁ)
報告書に添付されていた栗原明理なる女の写真に思い浮かべる。キャバ嬢だっただけに確かに可愛い女だった。クリッとした大きな目に鼻筋が通っているし、唇は小さめでぽてっとしていて、吸いつきたくなる感じだ。淳也が入れ込んで足しげく通ったというのもわかる。
さらに報告書には奢った感じのない素直で明るく、一生懸命な性格で客にもスタッフにも好かれていると書かれていた。二人を応援したい、というモードで進めるしかないだろう。
(俺がキューピット役? 必死だな。フン、笑える)
口元が嘲笑で緩む。指をやって口元を隠すが、笑みまでうまく誤魔化せているかどうか不明だ。
和眞はふと気配を感じて顔を上げた。そして今度は明確に口角を上げ、立ち上がった。
「すみません、ご足労いただいて」
「いえ、こちらこそ」
坂戸淳也は不信感を面いっぱいに浮かべつつ、軽く会釈をした。
「どうぞおかけください。なににされますか?」
「ホットコーヒーで」
和眞が軽く手を挙げるとスタッフがやってくる。彼に「ホットコーヒー二つ」と告げれば、淳也に向き直り、座ったままでもう一度丁寧に頭を下げた。
「それで、お話とは?」
「ええ、そうなんですが」
語尾を濁せば、ちょうど先ほどのスタッフが戻ってきた。テーブルにカップを起き、そこにコーヒーを注ぎ入れた。さらにクリームを置くと、もともとテーブルに設置されているシュガーポットの蓋を開けてセッティングし、去っていく。それを見送れば、淳也に視線を合わせて微笑んだ。
「華原璃桜さんのことで、ご相談がありまして」
「僕の婚約者がなにか?」
いきなりけん制されて少々驚いたものの、和眞は彼もそう言わざるを得ないのかと思い直した。
「大変失礼だと承知しています。ですが、そこをお許しいただき、聞かせてほしいのですが、彼女のこと、想っていらっしゃいますか?」
「どういう意味ですか?」
「破談にしてほしいと僕が言ったら、呑んでもらえるかなって思いまして」
「彼女があなたにそれを頼んだのですか?」
「いえ」
「松阪さんは元上司ですよね。平と社長でしょうけど。彼女、自分から言い出せないから、会社の上司に頼んだってことなんでしょうか?」
「いえ、違います。そういうことは家族に相談すると思います」
「じゃあ、どうしてあなたが僕に話をするんです?」
苛立ったように噛みついてくるところを見ると、己のやましさに動揺しているのだろう。和眞は一度視線を逸らして中庭にやり、二拍ほど時間を取ってからまた戻した。
「彼女、立場上ノーが言えないみたいで、僕としては非常にまだるいんです。失礼ながらこの縁談、両家のお家の事情からでしょう? 想い合ってのことではないと察しています」
「そんなことは――」
「ないんですか?」
「…………」
淳也が顔を逸らした。
「重ね重ね恐縮ですが、坂戸さん、おつきあいされている女性がいらっしゃるでしょう?」
淳也の肩があからさまにビクリと跳ねた。手元を見れば微かに震えているようにも取れるが、視線を感じたのか刹那にギュッと拳を握り込んだ。
「調べさせていただきました。どうしても彼女を解放してあげたくて。ですが、彼女に頼まれたわけでは決してありません。僕の横恋慕です」
「――――え?」
緯線が合い、ぶつかる。和眞は眉間にしわが寄らないよう、穏やかさをキープしようと努める。
「彼女の働きぶりを見ていて惹かれていました。退職の理由は自己都合でしたが、ひょんなことから結婚すると言われて、さすがにあきらめないとな、と思いました。でも、彼女の表情がなんだか浮かないので……すみません、追及したら見合いとのことで、虫の知らせというか、居ても立ってもいられなくなったんです」
うれしそうでないのは見合いからもしやと思った――と言外に匂わせれば、淳也は情けないほどわかりやすい表情になっていた。
「彼女は自分からはとても嫌だとは言えない立場なんです。助けてもらえないでしょうか。そのかわり、僕にできることはなんでもします」
「できること? なんでも?」
「はい」
すると淳也がギリッと唇を噛み、声を殺しながらも吐き捨てるように言い始めた。
「よく言う。あんたになにができるんだよ。その言い方だったら、明理のことはしっかり調べたんだろ? どう足掻いても、明理と結婚はできないんだ」
「元キャバ嬢だから?」
「――――」
「それで婚約したことを黙ってつきあい続けて、結婚したら、お前は今日から愛人に降格だが面倒はみるから一緒にいてくれって言うのか?」
淳也の素の反論に、和眞もかぶっていた猫を脱ぎ捨てた。最後まで丁寧にいこうと考えてはいたものの、第一印象で抱いた嫌悪はそれを許してはくれなかった。和眞はずっと、煮え切らない淳也にムカついていたのだ。
それでも今までは抑えていたものだが、本人を目の前にし、本人の生の態度を目の当たりにすれば、我慢ができなかった。
「そうだと言ったら?」
「決めるのは愛人だから俺には関係ない。けど、可哀相だろ。惚れたカレシのためにまっとうに生きようとネイリストになったんだろうが。それをあんたは家のせいにして裏切るのか?」
「――――ウチは普通の家じゃないんだ」
「政治家先生だもんなぁ。親父と同じ道を進みたいんだ。へぇ。俺だったらイヤだね。ここ日本は、人権と結婚と職業選択の自由が保障された法治国家なんだ。あんたの兄貴はその権利をしっかり謳歌してるじゃないか。どうしてあんたにそれができない?」
黙れ、と消えそうな言葉が聞こえたが、和眞は無視した。
「父親と後援会から手を切ったらやっていけないってのか? それは東京でか? それとも日本でか? だったらアメリカに行けよ。俺のツテで向こうで働けるようにしてやる」
「アメリカ?」
「さすがに手が届かないだろ? カノジョだって技術があれば向こうで店を出せばいいんだ。それも手伝う。俺は大学時代を向こうで過ごしたし、相棒はそもそもあっちで生まれ育ったアメリカ国籍だ。なんとでもできる。あんたの覚悟次第の話だ」
淳也は「でも」ともらしたが、それも無視する。
「璃桜をあきらめてくれたら最大限バックアップする」
「……彼女はあんたのこと?」
「さぁ……それはなんとも」
微妙な空気が流れるが、和眞は苦笑で遣り過ごした。
淳也は逡巡しているかのように唇を噛みしめている。うまくいったか? と思った矢先、真っ直ぐこちらを凝視してきた。
「断る」
「――――」
「好きとか嫌いとか、そういう次元の話じゃない。俺の一存でなんとかなるなら、もうとっくにしている。華原璃桜は坂戸家に貢献してもらう」
淳也は憎々しげに言えば、すっと立ち上がった。
「俺たちに関わらないでもらおう」
言い捨て、歩き去ってしまった。
その背を見送る。
失敗した――とは思うものの、なぜだか敗北感はなかった。
(キレたのはマズかったが、今日は水面に石を投げるのが目的だ。今のあいつの心は波紋が起こって揺れてる状態だろう。思い直す余地はこれから生まれる)
コーヒーカップに手を伸ばし、一口二口、口にする。ふと見れば、淳也の前に置かれたコーヒーはまったく減っていなかった。
(勝負は結果がすべてだ。けど、俺って青いなぁ。最後まで冷静でいられないなんてさ。それに……)
口元にふと笑みが浮かんだ。嘲笑だ。
(ここに京がいなくてよかった。また窘められてバカにされるところだった)
フッと小さく息を吐くと、ロビーを通ってカフェラウンジに向かった。
樹生の訪問から二週間が過ぎた。
その間、特になにかをしたわけではないので進展はなかったが、和眞の手元には一通の報告書が届けられていた。京が手配したものだ。調査は簡単であったようで、数日で終わったのだが、仕事が忙しくてそれどころではなかったのだ。
ようやく少し落ち着き、報告書に目を通し、行動に移すことになった。
約束した相手はまだ来ていない。スタッフに案内されてテラス窓の傍のテーブルに着席し、手入れされた中庭を眺める
(ネイリスト、か)
元キャバ嬢。坂戸淳也とつきあい始めてネイリストの学校に通い、現在ショップに勤務。
周囲にも交際相手がいることを話し、結婚のために節約生活を送って貯金しているとのこと。
(そのカレシに婚約者がいるってわかったらどう思うんだろうな。まぁ、ずっとキャバ嬢もできないんだから、早めに路線変更できたことはいいだろうけど)
キャバ嬢の仕事を見下げるつもりはないものの、やはり水商売は敬遠される。たとえ足を洗ったとしても、一度背負った看板が致命的になる世界もある。彼女はまさしく、その一度が許されない相手と恋に落ちたということだ。淳也の身内はもちろんだが、なによりも後援会の連中が許しはしないだろう。
(可哀相だが愛人止まりだ。まぁ、坂戸はそのつもりなんだろうけど。あいつがどれだけこの女に入れ込んでるか、今日、わかればいいが……バカじゃなければ、女のために将来を捨てるとは思えない)
期待薄だが、説得するしかない。時間は待ってくれない。もう二人の結婚式の日取りは五か月後に迫っている。
(問題はどう振り出すか、だ。話が流れ出したら顔色を見ながら臨機応変にすればいい。が、振り出し方を誤ったら軌道修正は難しいだろう。主導権は握られたくないから下手には出られない。かといって他にオンナがいるだろうと攻めては態度を硬化させるだけだし、こっちもヤっちまってるだけにバレたら一気に形勢逆転してしまう。難しいよなぁ)
報告書に添付されていた栗原明理なる女の写真に思い浮かべる。キャバ嬢だっただけに確かに可愛い女だった。クリッとした大きな目に鼻筋が通っているし、唇は小さめでぽてっとしていて、吸いつきたくなる感じだ。淳也が入れ込んで足しげく通ったというのもわかる。
さらに報告書には奢った感じのない素直で明るく、一生懸命な性格で客にもスタッフにも好かれていると書かれていた。二人を応援したい、というモードで進めるしかないだろう。
(俺がキューピット役? 必死だな。フン、笑える)
口元が嘲笑で緩む。指をやって口元を隠すが、笑みまでうまく誤魔化せているかどうか不明だ。
和眞はふと気配を感じて顔を上げた。そして今度は明確に口角を上げ、立ち上がった。
「すみません、ご足労いただいて」
「いえ、こちらこそ」
坂戸淳也は不信感を面いっぱいに浮かべつつ、軽く会釈をした。
「どうぞおかけください。なににされますか?」
「ホットコーヒーで」
和眞が軽く手を挙げるとスタッフがやってくる。彼に「ホットコーヒー二つ」と告げれば、淳也に向き直り、座ったままでもう一度丁寧に頭を下げた。
「それで、お話とは?」
「ええ、そうなんですが」
語尾を濁せば、ちょうど先ほどのスタッフが戻ってきた。テーブルにカップを起き、そこにコーヒーを注ぎ入れた。さらにクリームを置くと、もともとテーブルに設置されているシュガーポットの蓋を開けてセッティングし、去っていく。それを見送れば、淳也に視線を合わせて微笑んだ。
「華原璃桜さんのことで、ご相談がありまして」
「僕の婚約者がなにか?」
いきなりけん制されて少々驚いたものの、和眞は彼もそう言わざるを得ないのかと思い直した。
「大変失礼だと承知しています。ですが、そこをお許しいただき、聞かせてほしいのですが、彼女のこと、想っていらっしゃいますか?」
「どういう意味ですか?」
「破談にしてほしいと僕が言ったら、呑んでもらえるかなって思いまして」
「彼女があなたにそれを頼んだのですか?」
「いえ」
「松阪さんは元上司ですよね。平と社長でしょうけど。彼女、自分から言い出せないから、会社の上司に頼んだってことなんでしょうか?」
「いえ、違います。そういうことは家族に相談すると思います」
「じゃあ、どうしてあなたが僕に話をするんです?」
苛立ったように噛みついてくるところを見ると、己のやましさに動揺しているのだろう。和眞は一度視線を逸らして中庭にやり、二拍ほど時間を取ってからまた戻した。
「彼女、立場上ノーが言えないみたいで、僕としては非常にまだるいんです。失礼ながらこの縁談、両家のお家の事情からでしょう? 想い合ってのことではないと察しています」
「そんなことは――」
「ないんですか?」
「…………」
淳也が顔を逸らした。
「重ね重ね恐縮ですが、坂戸さん、おつきあいされている女性がいらっしゃるでしょう?」
淳也の肩があからさまにビクリと跳ねた。手元を見れば微かに震えているようにも取れるが、視線を感じたのか刹那にギュッと拳を握り込んだ。
「調べさせていただきました。どうしても彼女を解放してあげたくて。ですが、彼女に頼まれたわけでは決してありません。僕の横恋慕です」
「――――え?」
緯線が合い、ぶつかる。和眞は眉間にしわが寄らないよう、穏やかさをキープしようと努める。
「彼女の働きぶりを見ていて惹かれていました。退職の理由は自己都合でしたが、ひょんなことから結婚すると言われて、さすがにあきらめないとな、と思いました。でも、彼女の表情がなんだか浮かないので……すみません、追及したら見合いとのことで、虫の知らせというか、居ても立ってもいられなくなったんです」
うれしそうでないのは見合いからもしやと思った――と言外に匂わせれば、淳也は情けないほどわかりやすい表情になっていた。
「彼女は自分からはとても嫌だとは言えない立場なんです。助けてもらえないでしょうか。そのかわり、僕にできることはなんでもします」
「できること? なんでも?」
「はい」
すると淳也がギリッと唇を噛み、声を殺しながらも吐き捨てるように言い始めた。
「よく言う。あんたになにができるんだよ。その言い方だったら、明理のことはしっかり調べたんだろ? どう足掻いても、明理と結婚はできないんだ」
「元キャバ嬢だから?」
「――――」
「それで婚約したことを黙ってつきあい続けて、結婚したら、お前は今日から愛人に降格だが面倒はみるから一緒にいてくれって言うのか?」
淳也の素の反論に、和眞もかぶっていた猫を脱ぎ捨てた。最後まで丁寧にいこうと考えてはいたものの、第一印象で抱いた嫌悪はそれを許してはくれなかった。和眞はずっと、煮え切らない淳也にムカついていたのだ。
それでも今までは抑えていたものだが、本人を目の前にし、本人の生の態度を目の当たりにすれば、我慢ができなかった。
「そうだと言ったら?」
「決めるのは愛人だから俺には関係ない。けど、可哀相だろ。惚れたカレシのためにまっとうに生きようとネイリストになったんだろうが。それをあんたは家のせいにして裏切るのか?」
「――――ウチは普通の家じゃないんだ」
「政治家先生だもんなぁ。親父と同じ道を進みたいんだ。へぇ。俺だったらイヤだね。ここ日本は、人権と結婚と職業選択の自由が保障された法治国家なんだ。あんたの兄貴はその権利をしっかり謳歌してるじゃないか。どうしてあんたにそれができない?」
黙れ、と消えそうな言葉が聞こえたが、和眞は無視した。
「父親と後援会から手を切ったらやっていけないってのか? それは東京でか? それとも日本でか? だったらアメリカに行けよ。俺のツテで向こうで働けるようにしてやる」
「アメリカ?」
「さすがに手が届かないだろ? カノジョだって技術があれば向こうで店を出せばいいんだ。それも手伝う。俺は大学時代を向こうで過ごしたし、相棒はそもそもあっちで生まれ育ったアメリカ国籍だ。なんとでもできる。あんたの覚悟次第の話だ」
淳也は「でも」ともらしたが、それも無視する。
「璃桜をあきらめてくれたら最大限バックアップする」
「……彼女はあんたのこと?」
「さぁ……それはなんとも」
微妙な空気が流れるが、和眞は苦笑で遣り過ごした。
淳也は逡巡しているかのように唇を噛みしめている。うまくいったか? と思った矢先、真っ直ぐこちらを凝視してきた。
「断る」
「――――」
「好きとか嫌いとか、そういう次元の話じゃない。俺の一存でなんとかなるなら、もうとっくにしている。華原璃桜は坂戸家に貢献してもらう」
淳也は憎々しげに言えば、すっと立ち上がった。
「俺たちに関わらないでもらおう」
言い捨て、歩き去ってしまった。
その背を見送る。
失敗した――とは思うものの、なぜだか敗北感はなかった。
(キレたのはマズかったが、今日は水面に石を投げるのが目的だ。今のあいつの心は波紋が起こって揺れてる状態だろう。思い直す余地はこれから生まれる)
コーヒーカップに手を伸ばし、一口二口、口にする。ふと見れば、淳也の前に置かれたコーヒーはまったく減っていなかった。
(勝負は結果がすべてだ。けど、俺って青いなぁ。最後まで冷静でいられないなんてさ。それに……)
口元にふと笑みが浮かんだ。嘲笑だ。
(ここに京がいなくてよかった。また窘められてバカにされるところだった)
19
あなたにおすすめの小説
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
【完結】身代わりの仮婚約者になったら、銀髪王子に人生丸ごと買い占められた件
ななせくるみ
恋愛
聖プレジール学園。
そこは、世界中の富豪の子息が集まる超名門校
特待生の庶民・花咲ひまりの目標は
目立たず平穏に卒業すること。
だがある日、学園の絶対君主であり、
完璧な「王子」と称えられる一条蓮から
衝撃の宣言をされる。
「今日から君が、俺の仮の婚約者だ」と。
冷徹な王子様だと思っていた蓮は
二人きりになるとまるで別人で――?
格差1億円の溺愛シンデレラストーリー
開幕です!!
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
【完結】クズ男と決別した私の未来は輝いている。
カシスサワー
恋愛
五年間、幸は彼を信じ、支え続けてきた。
「会社が成功したら、祖父に紹介するつもりだ。それまで俺を支えて待っていてほしい。必ず幸と結婚するから」
そう、圭吾は約束した。
けれど――すべてが順調に進んでいるはずの今、幸が目にしたのは、圭吾の婚約の報せ。
問い詰めた幸に、圭吾は冷たく言い放つ。
「結婚相手は、それなりの家柄じゃないと祖父が納得しない。だから幸とは結婚できない。でも……愛人としてなら、そばに置いてやってもいい」
その瞬間、幸の中で、なにかがプチッと切れた。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
私たちの離婚幸福論
桔梗
恋愛
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる