29 / 31
8、白日
6
しおりを挟む
陽子は俊嗣の部屋にいた。使用人たちが部屋の前に集まっているので一目でわかった。
一番やってはいけないことだ。広い屋敷のどこかで鉢合わせすることは偶然としてあるかもしれないが、俊嗣の部屋では絶対にないことである。
璃桜は群がっている使用人たちをかき分けて戸口に立ち、二人が向かい合っている様子を見た瞬間激しい嘔吐感を覚えた。
「旦那様が知らないはずはないでしょう!? だって破談ですよ!」
「知らないから知らないと言っているんだ。とにかく私の部屋から出なさい! 話ならリビングで聞く」
まだ「でも!」と抵抗する陽子に璃桜は激しい怒りを覚えた。ついさっき一緒に頑張ろうと話をし、約束したばかりではないか。
「やめて!」
「璃桜?」
陽子に駆け寄って腕を掴むと力任せに引っ張った。ふいを突かれてよろける陽子を無視しで引きずるように俊嗣の部屋から押し出すと、使用人たちに向かって部屋に連れていき、出ないように監視するように怒鳴る。それからまた部屋の中心に舞い戻って俊嗣に向け深く頭を下げた。
「ごめんなさい。約束を破ったこと、心から謝ります。申し訳ありません」
「よしなさい。お前のせいじゃない」
「いいえいいえ! 私がちゃんと言ってきかせられないからっ」
俯いているところからポタポタと雫が落ちている。それを見て俊嗣はいたたまれないといった表情を浮かべ、璃桜の肩に手を置いた。璃桜が顔を上げる。
「ちょっとそこにお座り」
「でも……」
「いいから、早く」
「……はい」
一人掛けのソファはローテーブルを挟んで二脚置かれている。俊嗣は膝に肘を置いて前かがみの体勢で座った。
「璃桜、お前が責任を感じる必要はない。悪いのは私だ」
「いいえ」
「聞きなさい」
「…………はい」
しゅんと肩を落とす璃桜を見て俊嗣は、うん、と頷いた。
「二十六年前、史乃は子どもができないことにとても苦しんでいた。なんとしても華原家の跡継ぎを産まないといけないというプレッシャーがひどくて見ていられなかった。不妊治療もうまくいかないし、肉体的にも疲労していたと思う。その頃の私は、事業が行き詰っている上に大きなトラブルに見舞われて大損失を出し、大変だった時期でね。責任問題も浮上していて疲労困憊で、史乃の不妊治療になかなか寄り添えなかった。そんな私たちを見て、中森さんも中森さんなりになんとかしようと思ったんだと考えている」
璃桜は顔を上げ、なにか言おうとしたが結局なにも言わずにまた俯いた。
「あの日は、疲れているところに苦手な酒を相当量飲んしまって、気持ち悪くなって急遽予定を変更して帰宅した。意識が朦朧としていて、なんだかよくわからないところに子ども欲しい言われて、てっきり史乃だと思った。確かに璃桜が思っている通り、間違いを起こしてしまった。史乃にも中森さんにも申し訳ないと思っている。だけど、璃桜が生まれたことは喜んでいる。史乃だってそうだ。どうか自分の出生を悪いことだと思わないでほしい」
「…………」
「お前が生まれて一番喜んだのは史乃なんだ。もちろん私もだが、今まで苦しんできたことから解放されて、史乃の顔にも笑みが戻って、どれほど私たちが救われたことか。だから中森さんにも感謝しているんだ。中森さんのことは私たちがちゃんと面倒を見る。璃桜、責任なんか感じる必要はない。自分の幸せを追求してほしい。史乃から聞いた。お前のことを好いてくれる人がいるだって?」
「え……あ、それは」
「お前はその人のことをどう思っているんだ?」
問われて和眞の顔を思い浮かべると、全身が羞恥でカッと熱くなった。もろわかりだったようで、俊嗣が微笑ましいといった具合に笑みを浮かべる。
「だったらその人と縁が結べるように頑張ればいい。坂戸さんとのことはお父さんが謝って破談にしてもらうから」
破談という言葉が璃桜を現実に引き戻した。
(そうだ、破談。それを聞こうと思ってた。だからお母さんも約束を破ってお父さんに聞きに来たんだ。私が不用意に話してしまったから)
自分の軽はずみな行動が悔やまれるが、今はそんなことを考えている場合ではない。璃桜はホテルがキャンセルになり、淳也が中止になったと担当者に言ったことを俊嗣に説明した。すると俊嗣も目を丸くして首を傾げた。
「そんな話は聞いていない。坂戸さんとも淳也君とも話をする機会はなかったよ」
「じゃあ……淳也さんの単独行動?」
「そうだと思うが……いずれにしてもお前は聞きにくいだろうし、そもそもお前が確認すべきことじゃない。この件は私が対応する。だけど、どういう話になっても、破談で進める。いいね?」
「……はい」
俊嗣は手を伸ばし、璃桜の膝頭に触れた。
「お前の言う通りにしてやれば、お前の気が済むかと思っていたが、それがよくなかったのかもしれない。坂戸さんのことも、中森さんのことも、お父さんがちゃんとするから任せてほしい。私と史乃を信じて、お前は好きなことをしなさい」
「はい。……ごめんなさい」
「謝らなくていいんだって。苦しめてしまってすまない」
「いいえ……いいえ」
何度も首を振り、否定する。
「中森さんのことも責任を感じなくいいから、やさしくしてあげてほしい。彼女も寂しいんだよ。アルコールに依存してしまうのも、寂しいからだと思う。病気の治療は私たちが請け負うから、璃桜はただただやさしく接してあげてほしい。きっとそれが一番の治療薬だ」
「わかりました」
璃桜はこらえきれず溢れてくる涙をぬぐうばかりだった。
だが――
陽子の部屋に入った途端、璃桜が激しい怒りに衝き動かされた。
「なにやってるの!」
「璃桜……あ、あの」
手にウイスキーの小瓶がある。ノーマルなタイプなら隠せないから小瓶を買っているのだろう。璃桜は怒りのままにその小瓶を奪った。
「どうして……」
「璃桜、あのね」
「どうしてこうなの……どうして?」
「だって、その……」
「だって、なに?」
「みんなが、冷たくするから……」
「こんなに大事にされてるのに、それがわからないの!?」
依存症は病気で、本人の意志だけではどうすることもできない。癌に向けてなぜ治らないのだと言ってもどうにもならないのと同じだ。それは頭ではわかっているのに、怒りを抑えることができなかった。
それはたった今、俊嗣がやさしい言葉をかけてくれたからだったのかもしれない。
あんなに心配され、気にかけてもらっているのに、という思いが心を焼きつけてくる。
なぜわからない。なぜ伝わらない。なぜ――
病気だとわかっている。簡単な問題ではないのだ。
わかっている。わかっている。わかっているけれど――
「璃桜、ごめんっ、ごめんなさい、もうやめるから」
何度も聞いた。何度も信じた。だが、そのたびに裏切られた。
「璃桜」
頭の中がぐるぐるする。目がまわる。吐き気がする。
「もう、や、だ」
「璃桜?」
「もういい。もう知らない。私には無理」
「璃桜? どうしたの?」
陽子が璃桜の腕を掴んで覗き込んできた。
目が合う。
「…………」
「え? なに? 聞こえなかった。璃桜?」
「もう、どうでもいい。好きにすればいい。もう私とお母さんは他人だから!」
「あ! 璃桜!」
璃桜は陽子の手を振り払い、駆け出した。そしてそのまま家を飛び出す。
呆けた陽子が我に返り、璃桜が出ていってしまったことを屋敷の者たちに訴えたのはそれからしばらく経ってからのことだった。
屋敷の者中で周辺を捜し、俊嗣は璃桜の携帯を鳴らし続けたがかからずで、北海道にいる史乃に連絡を入れた。史乃は以後の予定をキャンセルして急いで帰宅の途についた。また樹生も捜索に加わったのだが――
一番やってはいけないことだ。広い屋敷のどこかで鉢合わせすることは偶然としてあるかもしれないが、俊嗣の部屋では絶対にないことである。
璃桜は群がっている使用人たちをかき分けて戸口に立ち、二人が向かい合っている様子を見た瞬間激しい嘔吐感を覚えた。
「旦那様が知らないはずはないでしょう!? だって破談ですよ!」
「知らないから知らないと言っているんだ。とにかく私の部屋から出なさい! 話ならリビングで聞く」
まだ「でも!」と抵抗する陽子に璃桜は激しい怒りを覚えた。ついさっき一緒に頑張ろうと話をし、約束したばかりではないか。
「やめて!」
「璃桜?」
陽子に駆け寄って腕を掴むと力任せに引っ張った。ふいを突かれてよろける陽子を無視しで引きずるように俊嗣の部屋から押し出すと、使用人たちに向かって部屋に連れていき、出ないように監視するように怒鳴る。それからまた部屋の中心に舞い戻って俊嗣に向け深く頭を下げた。
「ごめんなさい。約束を破ったこと、心から謝ります。申し訳ありません」
「よしなさい。お前のせいじゃない」
「いいえいいえ! 私がちゃんと言ってきかせられないからっ」
俯いているところからポタポタと雫が落ちている。それを見て俊嗣はいたたまれないといった表情を浮かべ、璃桜の肩に手を置いた。璃桜が顔を上げる。
「ちょっとそこにお座り」
「でも……」
「いいから、早く」
「……はい」
一人掛けのソファはローテーブルを挟んで二脚置かれている。俊嗣は膝に肘を置いて前かがみの体勢で座った。
「璃桜、お前が責任を感じる必要はない。悪いのは私だ」
「いいえ」
「聞きなさい」
「…………はい」
しゅんと肩を落とす璃桜を見て俊嗣は、うん、と頷いた。
「二十六年前、史乃は子どもができないことにとても苦しんでいた。なんとしても華原家の跡継ぎを産まないといけないというプレッシャーがひどくて見ていられなかった。不妊治療もうまくいかないし、肉体的にも疲労していたと思う。その頃の私は、事業が行き詰っている上に大きなトラブルに見舞われて大損失を出し、大変だった時期でね。責任問題も浮上していて疲労困憊で、史乃の不妊治療になかなか寄り添えなかった。そんな私たちを見て、中森さんも中森さんなりになんとかしようと思ったんだと考えている」
璃桜は顔を上げ、なにか言おうとしたが結局なにも言わずにまた俯いた。
「あの日は、疲れているところに苦手な酒を相当量飲んしまって、気持ち悪くなって急遽予定を変更して帰宅した。意識が朦朧としていて、なんだかよくわからないところに子ども欲しい言われて、てっきり史乃だと思った。確かに璃桜が思っている通り、間違いを起こしてしまった。史乃にも中森さんにも申し訳ないと思っている。だけど、璃桜が生まれたことは喜んでいる。史乃だってそうだ。どうか自分の出生を悪いことだと思わないでほしい」
「…………」
「お前が生まれて一番喜んだのは史乃なんだ。もちろん私もだが、今まで苦しんできたことから解放されて、史乃の顔にも笑みが戻って、どれほど私たちが救われたことか。だから中森さんにも感謝しているんだ。中森さんのことは私たちがちゃんと面倒を見る。璃桜、責任なんか感じる必要はない。自分の幸せを追求してほしい。史乃から聞いた。お前のことを好いてくれる人がいるだって?」
「え……あ、それは」
「お前はその人のことをどう思っているんだ?」
問われて和眞の顔を思い浮かべると、全身が羞恥でカッと熱くなった。もろわかりだったようで、俊嗣が微笑ましいといった具合に笑みを浮かべる。
「だったらその人と縁が結べるように頑張ればいい。坂戸さんとのことはお父さんが謝って破談にしてもらうから」
破談という言葉が璃桜を現実に引き戻した。
(そうだ、破談。それを聞こうと思ってた。だからお母さんも約束を破ってお父さんに聞きに来たんだ。私が不用意に話してしまったから)
自分の軽はずみな行動が悔やまれるが、今はそんなことを考えている場合ではない。璃桜はホテルがキャンセルになり、淳也が中止になったと担当者に言ったことを俊嗣に説明した。すると俊嗣も目を丸くして首を傾げた。
「そんな話は聞いていない。坂戸さんとも淳也君とも話をする機会はなかったよ」
「じゃあ……淳也さんの単独行動?」
「そうだと思うが……いずれにしてもお前は聞きにくいだろうし、そもそもお前が確認すべきことじゃない。この件は私が対応する。だけど、どういう話になっても、破談で進める。いいね?」
「……はい」
俊嗣は手を伸ばし、璃桜の膝頭に触れた。
「お前の言う通りにしてやれば、お前の気が済むかと思っていたが、それがよくなかったのかもしれない。坂戸さんのことも、中森さんのことも、お父さんがちゃんとするから任せてほしい。私と史乃を信じて、お前は好きなことをしなさい」
「はい。……ごめんなさい」
「謝らなくていいんだって。苦しめてしまってすまない」
「いいえ……いいえ」
何度も首を振り、否定する。
「中森さんのことも責任を感じなくいいから、やさしくしてあげてほしい。彼女も寂しいんだよ。アルコールに依存してしまうのも、寂しいからだと思う。病気の治療は私たちが請け負うから、璃桜はただただやさしく接してあげてほしい。きっとそれが一番の治療薬だ」
「わかりました」
璃桜はこらえきれず溢れてくる涙をぬぐうばかりだった。
だが――
陽子の部屋に入った途端、璃桜が激しい怒りに衝き動かされた。
「なにやってるの!」
「璃桜……あ、あの」
手にウイスキーの小瓶がある。ノーマルなタイプなら隠せないから小瓶を買っているのだろう。璃桜は怒りのままにその小瓶を奪った。
「どうして……」
「璃桜、あのね」
「どうしてこうなの……どうして?」
「だって、その……」
「だって、なに?」
「みんなが、冷たくするから……」
「こんなに大事にされてるのに、それがわからないの!?」
依存症は病気で、本人の意志だけではどうすることもできない。癌に向けてなぜ治らないのだと言ってもどうにもならないのと同じだ。それは頭ではわかっているのに、怒りを抑えることができなかった。
それはたった今、俊嗣がやさしい言葉をかけてくれたからだったのかもしれない。
あんなに心配され、気にかけてもらっているのに、という思いが心を焼きつけてくる。
なぜわからない。なぜ伝わらない。なぜ――
病気だとわかっている。簡単な問題ではないのだ。
わかっている。わかっている。わかっているけれど――
「璃桜、ごめんっ、ごめんなさい、もうやめるから」
何度も聞いた。何度も信じた。だが、そのたびに裏切られた。
「璃桜」
頭の中がぐるぐるする。目がまわる。吐き気がする。
「もう、や、だ」
「璃桜?」
「もういい。もう知らない。私には無理」
「璃桜? どうしたの?」
陽子が璃桜の腕を掴んで覗き込んできた。
目が合う。
「…………」
「え? なに? 聞こえなかった。璃桜?」
「もう、どうでもいい。好きにすればいい。もう私とお母さんは他人だから!」
「あ! 璃桜!」
璃桜は陽子の手を振り払い、駆け出した。そしてそのまま家を飛び出す。
呆けた陽子が我に返り、璃桜が出ていってしまったことを屋敷の者たちに訴えたのはそれからしばらく経ってからのことだった。
屋敷の者中で周辺を捜し、俊嗣は璃桜の携帯を鳴らし続けたがかからずで、北海道にいる史乃に連絡を入れた。史乃は以後の予定をキャンセルして急いで帰宅の途についた。また樹生も捜索に加わったのだが――
11
あなたにおすすめの小説
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
【完結】身代わりの仮婚約者になったら、銀髪王子に人生丸ごと買い占められた件
ななせくるみ
恋愛
聖プレジール学園。
そこは、世界中の富豪の子息が集まる超名門校
特待生の庶民・花咲ひまりの目標は
目立たず平穏に卒業すること。
だがある日、学園の絶対君主であり、
完璧な「王子」と称えられる一条蓮から
衝撃の宣言をされる。
「今日から君が、俺の仮の婚約者だ」と。
冷徹な王子様だと思っていた蓮は
二人きりになるとまるで別人で――?
格差1億円の溺愛シンデレラストーリー
開幕です!!
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
【完結】クズ男と決別した私の未来は輝いている。
カシスサワー
恋愛
五年間、幸は彼を信じ、支え続けてきた。
「会社が成功したら、祖父に紹介するつもりだ。それまで俺を支えて待っていてほしい。必ず幸と結婚するから」
そう、圭吾は約束した。
けれど――すべてが順調に進んでいるはずの今、幸が目にしたのは、圭吾の婚約の報せ。
問い詰めた幸に、圭吾は冷たく言い放つ。
「結婚相手は、それなりの家柄じゃないと祖父が納得しない。だから幸とは結婚できない。でも……愛人としてなら、そばに置いてやってもいい」
その瞬間、幸の中で、なにかがプチッと切れた。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
私たちの離婚幸福論
桔梗
恋愛
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる