好きだと伝えたい!!

えの

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「ルッ、ルイ!!泣かないでくれッ!!あぁ、どうすれば…泣かせる気など…」



枕越しに珍しくオーランド様の焦った声が聞こえた。様子を伺おうと枕から少しだけ顔を覗かせる。先程の態度とは打って変わって、オロオロと狼狽えるオーランド様が見えた。ちょっと可愛い…。


「オーランド様…?」


堪らず声をかけてしまった。どうしたと言うのだろう。あんなにも殺気をはらんで怒りに染っていたのに…。


「ルイ…。すまない」


オーランド様の突然の謝罪…。余計に訳が分からない。何に謝っているのだろう?枕を胸に抱きしめ、オーランド様を穴が空くほど見詰める。気まづそうに顔を逸らしオーランド様がポツリ、ポツリと話してくれた。


「最初は…鬱陶しいだけだった…からかっているのだろうと…放っておけば飽きるだろうと好きにさせていた…」


だが、俺は毎日の様に告白しに来たと。そして、いつの間にやらお弁当まで…。段々と気になり始め、いつも来る時間より遅れたりすると心配するようになり、気づけば俺が告白してお弁当をもってくる事を当たり前の様に受け入れていたと。知らない間に好きになっていたらしい…。


「だが、俺は不器用で…。ルイに気の利いた言葉も言えない。ましてや好きだなんて…。だからお前が来なくなって…飽きられたのかと…怖くて…だが心配の方が勝り、会いに行ったがルイは居なかった。後で蜜月の館で働いていると知り、嫉妬で気が触れそうになった」


何それ…。めっちゃ嬉しいんですけど…。


「オーランド様?それって…」


「そう…だな。告白だな…」


顔を俯かせ、大きな体に似合わず肩は下がり、普段の様な威圧的な雰囲気とはかけ離れた姿に愛おしさが込み上げてくる。あぁ、やっぱり好きだな。


気持ちが昂り、勢いよく宙に枕を放り投げた。体を起こしオーランド様の逞しいもふもふに飛び込む。一枚の薄い布を隔てても伝わるもふもふの海。俺みたいな小さな体はもふもふの波に埋もれてしまうだろう。はぁ…気持ちいい。もふもふ最高…。オーランド様最高です…。直に触りたい。味わいたい。


急に抱き着いたにも関わらず、力強く落ちないように抱き止めてくれた。太い首に腕を回してギュウギュウと離れんばかりにしがみつき、オーランド様の首筋に顔を埋める。頬に当たるふさふさが擽ったい。幸せ…。俺、今、ちょー幸せです!!


「オーランド様…好きです!!大好きです!!」


いつもより近い距離での告白。こんなにもオーランド様の凛々しい顔が近くに…。ついうっとりと見とれてしまう。はぁー目が幸せ…。


オーランド様はグルッっと唸り固く目を瞑り、何かを耐えるような顔をしている。


「ルイ…煽らないでくれ…。俺は…他の者よりも、嫉妬心も独占欲も何倍も強い…ルイを縛り付け、窮屈な思いをさせるかもしれない。逃げるなら今のうちだ。今ならまだ抑えが効く…」


オーランド様はそう言って更に強く目を瞑り、毛を逆立てている。オーランド様…。はぁ…好き。そんなにも俺の事を…。その強すぎる独占欲さえ嬉しく心が弾んでしまう俺はおかしいのだろうか?俺がオーランド様の心を全て独占しているみたい。


しっぽを背中に回っているオーランド様の腕にシュルシュルと絡め、指先で口周りをなぞる。驚き見開くオーランド様の目と目が合った。欲しい。この人の心も体も…全て欲しい。


発情した時のように体全体をオーランド様に擦り付け、腰を揺らす。俺の本能が体がオーランド様を欲しがっている。


「オーランド様…俺…こんな事…はしたないのに…体が言うこと聞かなくて…」


自慢の大きな瞳が潤むのがわかる…最低だ…。いくら好き過ぎるからって…。なんて浅ましい体なんだ…。オーランド様に嫌われてしまう…。


「ルイ…。俺のルイ…。そうだな。はしたない。なんてはしたない体なんだ。本当に客を取っていなかったのか体の隅々まで、奥の奥まで調べないといけないな」


そう言って、もう一度ベッドに押し倒された。オーランド様の猛獣の様な獲物を狙う鋭い目。食べられる…ってか食べて欲しい!!


「オーランド様、調べて下さい。俺の体の隅々まで、余すことなく調べて欲しいです…」


オーランド様が優しく俺の口を大きな舌で舐めてくれる。ザラりとした感覚が気持ちいい。少し擽ったくて、クスッっと笑うと隙間からオーランド様の舌がゆっくりと入ってきた。そのまま大きな舌を受け入れる。


オーランド様に犯され続ける口からは、どちらのとも分からない唾液が顎に垂れ、俺の胸にまで伝っている。少し苦しくてオーランド様の胸を軽く手で押し、止まって欲しいと訴えてみた。


思いの外すぐに離れてくれたオーランド様を見詰める。自分のシャツのボタンを手際良く外していく。そこには想像通りのもふもふの海が…あーこれ。これです!!俺が待ち望んだもふもふ!!堪らず手を埋め堪能する。この触り心地。


「最高…抱かれたい…」


フッ、目の前から短い笑いが聞こえた。へっ?オーランド様が愛おしそうな目で俺の事を見ている…。なんだろう…。


「ルイ。心の声が口に出ていたぞ。本当にお前は可愛い…そして俺を煽るのが上手いな」


えっ?!声に出しちゃってたの?!恥ずかしい…。


「オーランド様!!あのッ、そのですね…別に常日頃から抱かれたいと思っている訳ではなくてですね…いや!!抱かれたいんですけど…えっと…そうじゃなくて…」



しどろもどろになり、自分でも何を言っているのか頭の中がごちゃごちゃになり、上手く話す事が出来ない。


「ルイ。好きだ。抱きたい」


はわぁ…。反則…。今のセリフ反則です!!嬉しすぎて体中がゾクゾクする。言い様のない感情が胸に込み上げてきて胸が詰まる。苦しい…幸せ過ぎで死ぬ…。今度はオーランド様に自分からキスをする。
軽い口に触れるだけのキス。


「オーランド様。俺の全てをあなたに…」


ベットが軋み、オーランド様の下敷きになるが、全然重さを感じない。俺に対しての優しさを感じさせる。これからされる行為に期待と興奮が入り交じりうっとりとした目付きで、オーランド様の頬にそっと手を添える。"愛してます"小さく呟きそっと目を閉じた。






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