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SS おもちとだいふく
しおりを挟む今回は息抜きの番外SSです。
◇
「がううう…………」
ダンジョンの中に、ひどく怯えた子狼がいた。
狼はダンジョンのすみに、縮こまっている。
それを追い詰めるように、迫りかかっているのは、巨大なオーガだった。
狼は眠っていたオーガを踏んずけてしまい、オーガの怒りを買ったのだった。
怒ったオーガは、狼を追いかけまわした。
狼は必死に逃げた。
そして今、ダンジョンの隅に追いやられていた。
「うぐぅ…………」
「オガ―――!!!!」
「がるぅ……!」
狼はオーガの足の間を通って、すり抜ける。
そして一心不乱に逃げる……!
ここはダンジョンの下層だった。
狼は群れからはぐれてしまっていた。
頼れる仲間もいない。
このままでは、オーガに殺されてしまう。
恐怖を感じながらも、狼は生きるために必死に走った。
狼は中層へと通じる道を見つけた。
さすがに階層を超えてまで、オーガも追ってこないだろう。
そう思って、狼は中層へと足を踏み入れる。
この先にいったら、未知の領域だ。
もう二度ともとの群れには合流できないかもしれない。
だけれど、生き延びるためには、まずは逃げないと!
「オガ……!!!!」
だけど、中層にまでオーガは追ってきた。
たまらず、狼はさらに逃げる。
中層にオーガがやってきたことで、中層にいた他のモンスターたちも逃げ惑う。
狼はついに、上層へ通じる道を見つけた。
そして上層へ。
これでなんとかなるかと思ったが、オーガは上層までも追ってきた。
とうとう追い詰められる狼。
「うぐぅ…………」
あまりもの恐怖と絶望に、狼は涙が出そうだった。
「オガアア!!!!」
オーガの攻撃!
オーガのするどい爪が、狼の足に直撃してしまう。
「があ……!」
小さな狼は、それで吹き飛ばされる。
吹き飛ばされ、壁にぶち当たる。
狼の足からは、傷がぱかっとひらいて、血がだらだらとしたたりおちていた。
痛い。
「うぐぅ…………」
あまりにもの痛さと恐怖で、狼はもう心が壊れそうだった。
このままだと死んでしまう。
「オガアア!!!!」
動けなくなった狼に、オーガが迫る。
狼が死を覚悟したそのときだった。
「ぴきぃいいいいいい!!!!」
どこからともなく、一匹のスライムが現れた。
スライムは、狼を自分の上にのせると、ものすごいスピードでその場を離脱した。
「ぐるぅ……!?」
「ぴきゅい!」
オーガはあっけにとられてしまった。
スライムはすごいはやさでオーガから逃げる。
なんとか二匹はオーガをまくことができたようだ。
だけど、狼は怪我をしている。
血が流れていて、今にも死にそうだ。
苦しそうだ。
スライムは、狼が心配だった。
なんとかしないと、そう思った。
そんなときだった。
スライムがみつけたのは、一人の人間だった。
その人間は、他の人間を回復魔法で癒していた。
そうだ、この人なら、狼を治せるかもしれない。
スライムは、おそるおそる、その人間のあとをつけていくのであった――。
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