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85 交際
しおりを挟む――ちゅんちゅんちゅん。
朝ちゅん。
朝、俺は目覚める。
うーーーーん。
なんだか寝苦しい。
寝返りをうつ。
あれ、隣に人がいるぞ……!?
目を開けると、そこには素っ裸のサリナがいた。
「うお……!?」
「ハヤテくん? おはよ」
「お、おはよう…………」
そうか……思い出したぞ……。
酔っ払ってたからな……頭が痛い……。
それに、腰も。
俺は昨日、サリナとデートしたあと、ホテルに入ったんだった……。
そして今、こうしてベッドに一緒に寝てるってことは……。
つまり、そういうことなんだよなぁ……。
俺、やっちゃったな……。
ついに……。
「えへへ……私たち、やっちゃったね……」
「ああ……やっちゃったな……」
これ、つまり付き合うってことなのか……?
くぅ……こういう大人の関係はよくわからない……!
確かにサリナは美人だし、俺によくしてくれるし、俺も好きだけど……!
でも、これってそういうことなのか……!?
うん。俺も男だ。
責任はちゃんととらないとだよな。
俺が考え込んでいる横で、サリナはスマホをいじっていた。
急に、サリナが声を上げる。
「わ……! 大変なことになってる……。ハヤテくん、これ見て……!」
「え……?」
俺はサリナにスマホの画面を見せられる。
そこにはなんと、昨夜ホテルに入ろうとする俺とサリナの後ろ姿が映っていた。
「マジか……これ……」
「すっぱ抜かれちゃったみたい……」
これがいわゆるスキャンダルとかいうやつなのだろうか。
どうやら俺たちは、パパラッチに狙われていたみたいだ。
それにしても、昨日の今日でもう記事になるなんてはやいな……。
それだけ俺が有名になりすぎたということだろうか……。
もっと気をつけないといけなかった。
記事には、
【辻風ハヤテ、有名配信者さりーにゃと熱愛か……!?】
と書かれていた。
「ど、どうしよう……。どうする……?」
「そうだな……まあ、記事になってしまったのは仕方ない……」
これは、いろいろと言われるだろうな。
ファンや野次馬から、いろいろあることないこと言われそうだ。
そして、こうなってしまった以上、俺が考えるべきことはひとつだけだ。
あらぬ疑いをかけられて、サリナが傷つかないようにすることだ。
俺に遊ばれてただとかそういう噂がたったら、サリナの名誉にもかかわる。
それに、こうなってしまったのだから、俺も男として覚悟を決めるべきだ。
「よし……! サリナ、俺と正式に付き合ってくれるか……?」
「も、もちろん……! うれしい、ハヤテくん!」
俺はサリナともう一度キスをした。
身体の関係を持ってしまった以上、曖昧な関係を続けるのも不誠実だろう。
俺にはほかに縁のある女性もいないしな。
俺もサリナのことは好きだし、好きだからこそこうなった。
だから、サリナの気持ちにこたえて、正式に付き合うことに決めた。
それに関係が世間にばれた以上、隠すこともできないしな。
世間にも、これがふしだらな関係だと思われたくない。
俺は世間に、きちんと交際を宣言することにした。
「よし、二人で交際を認めよう。世間に宣言しよう。俺たちがつきあってるって、世間に知らしめるんだ」
「そ、そうだね。うれしい。さっそく投稿しよっか」
記事が出て、すでに俺とサリナのSNSには、いろいろなコメントがついていた。
ふたりの関係を質問してきたり、いろいろ煽るようなコメントだ。
俺たちはあることないこと言われる前に、世間に公表することにした。
二人で同時に、SNSを更新する。
【出回っている記事について、お騒がせしています。記事の内容は本当のことです。私、辻風ハヤテはさりーにゃさんとお付き合いしています。それを今日みなさんに公表します。彼女をこれからも大切にしていきたいと思います】
俺がそう投稿すると、すぐにおめでとうと、祝福のメッセージが届いた。
【くそう辻おじついにか……!】
【うらやましいぜ……!】
【俺のさりーにゃが……】
【さりーにゃとかうらやましすぎる……!】
【いつのまに……!?】
【おにあいですね!】
【おめでとうございます!】
これにて記事の噂も、一晩もたてば治まるだろう。
そう思って、俺たちはホテルをあとにした。
◆
昼間。
しばらくして、LINEに、カレンからの既読がつかないことに気づく。
あれ……?
なんでだろう、いつもならすぐに返事がくるのに……。
そして、ひかるんからメッセージが来ていることに気づいた。
【ハヤテさん? あれはどういうことですか……?】
あれ……?
なんのことだろうか。
心当たりがない。
【あれ……? なんのことだ?】
俺がそう返事すると、
【ハヤテさんのことなんかもう知りません!】
と返ってきた。
えぇ……なんだ急に……。
俺が返事しても既読にならないし……。
ひかるんは怒ってしまったみたいだ。
俺……なにかしたか……?
ひかるんといいカレンといい、それから日をまたいでも既読がつかなかった。
どういうことだ……。
◆
あとがき
新連載をはじめました!
ぜひこちらも読んでみてください
転生したら世界樹だった件~これが本物のスローライフ~
https://www.alphapolis.co.jp/novel/835036897/712767423
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