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第36話タタリって怖い
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「タタリ? タタリって……ホラー映画なんかに出てくるあれ?」
「まぁだいたい合ってる。悪いモノをため込みすぎて限界を超えた妖怪………そんな感じ?」
驚いた様子の神木さんに僕は頷いた。
「そ、そんなのいるんだ」
「滅多にいないけどね………」
早々いるものじゃないが、いたら大騒ぎになるやつである。
凶悪な心霊スポットなんかに行くと出てくるような飛び切り質の悪い妖怪や、それよりもっと恐ろしい何か、とにかく危険な妖怪の総称がタタリとも言える。
暴れているうちに悪いモノをため込み、そのうち理性もなくなっているものが多く、妖怪すらも恐れている。
更に手が付けられなくなると周辺の土地に影響を及ぼし、災害や病を引き起こす場合もある、人間にだってやばい存在だった。
「程度の差はあるけど……ヤバいのは本気でヤバい」
「なんでそんな危険なものにわざわざ……」
神木さんの当然の疑問に、僕はゆっくりと首を振った。
「出来れば僕も関わり合いになりたくない。けど……性質上野放しにさせておくのもよろしくないから。それは妖怪にとっても人間にとっても同じでね」
ただこう言うのはおおよそ妖怪達の領分ではあった。
「あんまりヤバそうなら本当なら山神様辺りが近々祓う予定だったんじゃないかなぁ。それを僕に譲ったわけだよ。そんでもって……調伏しろと」
だがそう言った瞬間、神木さんは身を乗り出した。
「……ちょうぶく! それはなんだか……すごく―――それっぽい気がする……」
あっ。神木さんのテンションがちょこっと上がった。
いや、わかるけどね?
ただ、僕の方は気が進まないというだけである。
例えるなら動物園からライオンが逃げたから捕まえて調教したらいい護衛になるんじゃない? って言われてるようなもんだ。
まして相手が鬼なんて、ティラノサウルス捕ってこいと言われているのと変わらない気がした。
「でも、捕まえられたからってそんなに簡単に守ってもらえるものかな?」
「まぁ。そういう方法がないわけじゃないかなぁ」
マシなことがあるとすれば妖怪相手なら都合の良い捕獲方法も存在しなくもないということだろう。
神木さんは僕の返答によろめき、震える声で尋ねてくる。
「……と、いうことは。これから鬼退治―――をするってこと? そして調伏して護衛をしてもらうと」
「そ、そうね……」
「やれば出来るんだね楠君!」
「………なんだろう? ニュアンスがそこそこ失礼では?」
「いや……ちょっと今まで想像してたのとかなり違ったものだからつい」
神木さんは真顔で言っているあたりマジっぽいのが嫌である。
そんなこと言ったって僕の方はいつだっていたって真面目だった。
「うおっほん。まぁ専門外だけどもうやるしかないかなとは思ってる。難しいとは思うけどさ」
「そう? 楠君が何か作ればどうにかなると思うけど?」
あんまりにもあっさりと言っちゃう神木さんに、僕は思わず渋い表情が浮かんだ。
それは僕の模型全般の性能を加味して言っているのが透けて見えたからだ。
「いや、戦うとかはしない」
「そうなの?」
「……作品が壊れるから」
「……あぁ。まぁ」
完成品は白が壊した未完成品ほどもろくはないが、戦ったりなんてすれば高確率で傷がつく。
そして傷一つで価値がガツンと下がるのが模型というモノなのだ。
「だから今回は……助っ人を頼むことにします」
「助っ人って……また妖怪に?」
「いや。先輩に」
だがそう言った僕に、神木さんの目が点になった。
そして頭の回り始めた神木さんは相当に戸惑っていた。
「えぇ? いや、相手は妖怪でしょう? 見える人じゃないと……」
「? ああ、言ってなかったっけ? この学校、僕の他にも見えてる人いるんだ」
「…………」
「えぇ!?」
神木さんは時間差でめっちゃ驚いていた。
だが僕に言わせれば驚くのはまだ早い。
この先輩のアクの強さはこの学園でも指折りである。
「ど、どういうことなの!? どういう人なの!?」
「うーん……一言で言える人ではないけれど、ちょっとすごいよ?」
「楠君が言うほどに……!」
「まま失礼では?」
その驚き方は、どうかと思う。
いやしかし、そもそもリアクションが大きめの神木さんには前もって少しばかり説明した方がいいかもしれない。
驚きのあまり詰め寄る神木さんを僕は押し留め、僕ですら初見で驚愕した先輩の秘密を一つ明かした。
「実は先輩は……転生者なんだ」
「……へー」
するとあんなにテンションが高かったのに、スンって感じに一瞬で神木さんの表情が無くなってしまった。
「え? 驚きじゃない!? 何がダメなの!」
ちょっと予想外の反応に僕の方が逆に狼狽えさせられてしまった。
しかし神木さんはむしろ若干不愉快そうに視線を逸らす。
「いやー……いくら何でもなんかこう………私を馬鹿にしてるのかな? みたいな」
「違うからね!? してない、してない!」
なんとも心外な評価に僕は訝しんだ。
「まぁだいたい合ってる。悪いモノをため込みすぎて限界を超えた妖怪………そんな感じ?」
驚いた様子の神木さんに僕は頷いた。
「そ、そんなのいるんだ」
「滅多にいないけどね………」
早々いるものじゃないが、いたら大騒ぎになるやつである。
凶悪な心霊スポットなんかに行くと出てくるような飛び切り質の悪い妖怪や、それよりもっと恐ろしい何か、とにかく危険な妖怪の総称がタタリとも言える。
暴れているうちに悪いモノをため込み、そのうち理性もなくなっているものが多く、妖怪すらも恐れている。
更に手が付けられなくなると周辺の土地に影響を及ぼし、災害や病を引き起こす場合もある、人間にだってやばい存在だった。
「程度の差はあるけど……ヤバいのは本気でヤバい」
「なんでそんな危険なものにわざわざ……」
神木さんの当然の疑問に、僕はゆっくりと首を振った。
「出来れば僕も関わり合いになりたくない。けど……性質上野放しにさせておくのもよろしくないから。それは妖怪にとっても人間にとっても同じでね」
ただこう言うのはおおよそ妖怪達の領分ではあった。
「あんまりヤバそうなら本当なら山神様辺りが近々祓う予定だったんじゃないかなぁ。それを僕に譲ったわけだよ。そんでもって……調伏しろと」
だがそう言った瞬間、神木さんは身を乗り出した。
「……ちょうぶく! それはなんだか……すごく―――それっぽい気がする……」
あっ。神木さんのテンションがちょこっと上がった。
いや、わかるけどね?
ただ、僕の方は気が進まないというだけである。
例えるなら動物園からライオンが逃げたから捕まえて調教したらいい護衛になるんじゃない? って言われてるようなもんだ。
まして相手が鬼なんて、ティラノサウルス捕ってこいと言われているのと変わらない気がした。
「でも、捕まえられたからってそんなに簡単に守ってもらえるものかな?」
「まぁ。そういう方法がないわけじゃないかなぁ」
マシなことがあるとすれば妖怪相手なら都合の良い捕獲方法も存在しなくもないということだろう。
神木さんは僕の返答によろめき、震える声で尋ねてくる。
「……と、いうことは。これから鬼退治―――をするってこと? そして調伏して護衛をしてもらうと」
「そ、そうね……」
「やれば出来るんだね楠君!」
「………なんだろう? ニュアンスがそこそこ失礼では?」
「いや……ちょっと今まで想像してたのとかなり違ったものだからつい」
神木さんは真顔で言っているあたりマジっぽいのが嫌である。
そんなこと言ったって僕の方はいつだっていたって真面目だった。
「うおっほん。まぁ専門外だけどもうやるしかないかなとは思ってる。難しいとは思うけどさ」
「そう? 楠君が何か作ればどうにかなると思うけど?」
あんまりにもあっさりと言っちゃう神木さんに、僕は思わず渋い表情が浮かんだ。
それは僕の模型全般の性能を加味して言っているのが透けて見えたからだ。
「いや、戦うとかはしない」
「そうなの?」
「……作品が壊れるから」
「……あぁ。まぁ」
完成品は白が壊した未完成品ほどもろくはないが、戦ったりなんてすれば高確率で傷がつく。
そして傷一つで価値がガツンと下がるのが模型というモノなのだ。
「だから今回は……助っ人を頼むことにします」
「助っ人って……また妖怪に?」
「いや。先輩に」
だがそう言った僕に、神木さんの目が点になった。
そして頭の回り始めた神木さんは相当に戸惑っていた。
「えぇ? いや、相手は妖怪でしょう? 見える人じゃないと……」
「? ああ、言ってなかったっけ? この学校、僕の他にも見えてる人いるんだ」
「…………」
「えぇ!?」
神木さんは時間差でめっちゃ驚いていた。
だが僕に言わせれば驚くのはまだ早い。
この先輩のアクの強さはこの学園でも指折りである。
「ど、どういうことなの!? どういう人なの!?」
「うーん……一言で言える人ではないけれど、ちょっとすごいよ?」
「楠君が言うほどに……!」
「まま失礼では?」
その驚き方は、どうかと思う。
いやしかし、そもそもリアクションが大きめの神木さんには前もって少しばかり説明した方がいいかもしれない。
驚きのあまり詰め寄る神木さんを僕は押し留め、僕ですら初見で驚愕した先輩の秘密を一つ明かした。
「実は先輩は……転生者なんだ」
「……へー」
するとあんなにテンションが高かったのに、スンって感じに一瞬で神木さんの表情が無くなってしまった。
「え? 驚きじゃない!? 何がダメなの!」
ちょっと予想外の反応に僕の方が逆に狼狽えさせられてしまった。
しかし神木さんはむしろ若干不愉快そうに視線を逸らす。
「いやー……いくら何でもなんかこう………私を馬鹿にしてるのかな? みたいな」
「違うからね!? してない、してない!」
なんとも心外な評価に僕は訝しんだ。
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