ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第92話背負い物は後継機にありがち

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『ではまず鉄巨人を倒そうか』

「はいはい」

 久々の10階層では、ハメ技ではなく正面から鉄巨人を迎え撃つ。

 かなりの巨体は僕なんか片腕でぺちゃんこになりそうだが、動きが遅いのはこいつの大弱点である。

 そして今や相手をぺちゃんこに出来るのは僕も同じ事だった。

「よいしょ!」

 射程ギリギリから一気に跳躍。

 頭部だけを狙い、スレッジハンマーを叩きつけると頭部は程よく潰れて鉄巨人の身体はグランと揺れた。

『足もいい。動かれても困る』

「はいはい」

 着地からの足払いで、ひっくり返す。

 いよいよ鉄巨人は盛大にバランスを崩して倒れ込み、バタバタ動いているが腕に気を付けておけば、ひとまず大丈夫そうだった。

 しかし……こんなに簡単な奴だっただろうか?

 そりゃあ裏技を使ったらビックリするほど簡単だったが、正面から戦ってもとは正直衝撃ではある。

 ただ感動してばかりもいられないらしく、攻略君は妙に僕を急かした。

『じゃあ背中に取り付いたら始めよう。無機物系のモンスターの加工は時間との勝負だ、機能停止すると崩れてくるからね。このモンスターは背中の文字の右斜め上10センチの所にコアがある。そこに錬金スキルで干渉してみてくれ』

「錬金スキルで干渉……ああ、うん。行けそう」

 ホントに一旦停止させることくらいならすぐにできそう。

 これって、実戦でも場合によっては使えそうなスキルなんじゃないだろうか?

『ああ、だがコアを見極めないと難しいね。じゃあ停止させたら組み変えていこうか。さっき手に入れた泥を使ってくれ。コア全体にコーティングするみたいにまんべんなく塗ってね』

「泥でコーティングしてどうするの?」

『ゴーレムの材料の一つなんだよ。君の魔力が浸透しやすくなって、造形もいじりやすくなる』

「そんなの泥を塗しただけでいけるの?」

『少しコツがいるがやれるよ。知識面は私がフォローする。これこそまさに攻略ではないかな?』

「……攻略君は仮で付けたあだ名だろう? ずいぶん定着してきたじゃないか」

『そうだった……』

 僕は笑いながらアイテムボックスにしまっていた泥をぶちまけて、動きを止めた鉄巨人の形を攻略君の指示に従ってどんどん変えてゆく。

 鉄巨人はその構造の大部分を失って腕だけになったが、攻略君曰くゴーレムは3Dのモデリングのように、コアから魔力の骨が伸びていれば、腕は腕として機能するとのことだ。

 そして腕とコアを僕の体に合わせて調整。

 すると最終的に僕の意思で自在に動くロボットアームのようなものが完成していた。

 魔術文字を刻み、コアを再起動すると浮遊してバックパックのように追随するデカい腕に僕は思わず感嘆の声を上げた。

「おお! ……こいつ、動くぞ?」

『よし! 君との連動に成功したね! いやあ器用だよやっぱり! さぁ一旦引き上げて、次の工程に取り掛かろうか』

「次の工程があるのか……」

 でかい腕がくっついているだけで結構強そうなのだが、攻略君はまだまだ不満そうだった。

『おいおい……忘れてもらっちゃ困るよ。こんなのいわば前座だろう? 盾を構える腕を手に入れたんだから次は盾じゃないか』

「いやしかし……いるかな? 盾?」

 だってこの元鉄巨人の腕、相当丈夫そうだよ?

 わざわざ盾という名の薄く伸ばした金属板を持たなくても、こいつを振り回せば大抵はガードできそうなのだが?

 そんな疑問をそのまま口にするが、攻略君は断固として主張した。

『そりゃあいる! 絶対いるよ!』

「そうかなぁ……まぁそうかぁ。なら仕方がないなぁ?」

『そうだとも。こんなに楽しい事、手を抜いたら罰が当たるよ、まったく』

「なるほど……確かにそうだ」

 断言されると、そうしなければならないとは思う。

 そりゃあそうだ、まぁ浪漫が刺さるという事はもちろんあるが、ここはダンジョン。

 そしてダンジョンを生き延びるためには攻略君の助言は絶対である。



「「なにそれ!」」

「フフフッ。かっこええやろー?」

 とはいえ? いったん拠点に帰って調整を施した背負い物装備を自慢しない手はない。

 こう……パワーアップした感はでっかいバックパックを背負うとひとしおだった。
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