甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:30 楽し過ぎる夜

＊10＊

シューティングにアクション、格闘にパズルなど、たくさんの種類が入っているゲームだったのだが、私は軒並み下手くそで圧倒的な差で全部トキに負けていた。

「ぷっ・・・。」

私のあまりの下手さについにトキが吹き出した。顔をくしゃっとさせて笑いを抑えるように肩を震わせてくっくっと笑う彼を見ていると、心の奥で線香花火がパチパチと弾けているようでなんだか焦ってしまう。

「も、もう、笑わないでください・・・。」

「いや、全部のゲームもれなく下手なのもそうだけど、必死な顔がおかしくて・・・仕事の時より真剣だし。」

「！？私の顔なんて見てないで画面を見ててください。もーそんな余裕でいられるのなんか嫌です・・・。」

コントローラーを握りしめたままへこむ私の頬をトキが指でつん、とした。これは翻訳中のゲームにあったスキンシップだ。ちょっとすねたヒロインを後輩が『先輩って本当に可愛いですね。』とつつくシーン。

───もしかしてこれもさっきのハグと同じで、トキ自身の気持ちで行われていること・・・なの？自意識過剰？

真意を確かめたいけれど、彼の答えを聞きたくない気もした。このままこの穏やかなのに心がそわそわするような雰囲気に浸っていたかった。

無言で見つめあっていると線香花火のパチパチが激しくなってくる。花火を持つ手に当たりそうでちょっと怖い、でも花火の玉を落として終わらせたくないから手を動かせない、まさにあの状態だ。