甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:50 近過ぎる距離

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隣の県までは歩いて30分ほどだった。昼間灼熱の太陽に熱せられて匂いたったコンクリートの残り香をかすかに感じる。

川を渡って街に入ると通常通り電気がついているのがわかる。途中で見つけたバス停からバスに乗り駅前まで移動して調べてあったネットカフェに入った。

カップルシート・・・部屋に二人きりなのはいつものことだけれど、部屋というよりブースであるそこはいつもより狭く距離も近い。どぎまぎしている私と裏腹にトキは入室してすぐに脇目もふらず持参したノートパソコンで作業を始めた。

「・・・あの、飲み物飲み放題だから何か持ってきましょうか？私も取りに行くので。」

「・・・ああ、スポーツドリンクがあったら頼む。歩いてきたから暑かったし。なかったら麦茶とか水でいいから。」

「はい。」

備え付けのスリッパを履いて扉を締めながら彼の後ろ姿を見る。汗で少ししっとりした髪、細身ではあるが男性らしい骨格の背中、疲れが滲んでいる雰囲気。何故だかすごく色気を感じてしまって慌てて扉を締めた。