甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:50 近過ぎる距離

＊11＊

深夜、目が覚めると目の前にトキの美し過ぎる寝顔があった。それに捕らえられたようにしばらく動けずにいるとなんだか鼻がむずむずしてきた。

───どうしよう、このまま見てたら鼻血出そうかも。裸とかじゃないのに刺激が強過ぎてなんて危険な寝顔なの。

なんとか早く目を逸らさないとまずいと思い、スマホで時間と電気が復旧したことを確認する。トイレに行く為起き上がろうとすると肩を掴まれて彼の腕の中にすっぽりと納められてしまった。

「あっ、お、おはよ。起きてたの？」

「・・・今、寝顔見てたろ。」

「み、見てたっていうか、目を奪われてたっていうか・・・その、ごめんなさい。」

「謝ることないけど・・・俺、初めてだ。」

「え？」

「寝顔、家族以外に見られるの。寝顔って無意識だからどんな顔かわからないし見られるの嫌でさ。修学旅行とかでも皆より遅く寝て早く起きてた。」

「そ、そうなんだ。仕事、根詰めてたし疲れてるんじゃないかな。もうちょっと寝てたら？復旧したみたいだけど始発までまだ時間あるし。」

ドキドキする気持ちをなんとか隠すように言うと、トキは自分のスマホに手を伸ばし画面を確認してから『・・・いや、復旧したならもう帰ろう。タクシーで。』と私を解放して起き上がった。

彼はとにかく早く帰りたいような感じだった。やはりベッドの方が寝やすいからか、それとも仕事をしたいからか。この時間が終わってしまうことを寂しく思う気持ちを振り払うように勢いよく起き上がった。