甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:80 愛おし過ぎる彼女の全て

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ユニはあの女性ひとと外見の系統は似ていたが中身はまるで違った。正反対と言ってもいい。

あの女性は外見こそおとなしそうに見えるが、誰に対しても自分の意見をはっきり言ったというかむしろ強引だったし、一切の隙がなかった。でも今思うと兄貴にだけは隙を見せていたのだろうと思う。

ユニがあの女性の代わり、なんてことはないけれど、長年の恋を失ったばかりの俺は、想い続けていた人と正反対だからユニに惹かれているのかもしれないと思っているところもあった。

何せ来年三十路に突入するにも関わらず、自分から人を好きになったことが人生で一度しかないため、彼女への気持ちが本当に恋なのか自信がなかったのだ。恥ずかしいことに俺の恋愛レベルは10代の頃からほとんど成長していなかった。

無駄になってしまうと思っていた水族館ツアーの当選券。ユニと一緒に行きたいと思って思いきって誘ったが、彼女が複雑な表情をしていて、やってしまった、と思った。彼女は俺に心を許してはくれているけれど、それは恋愛感情ではないのだと思った。けれど、行きたいと言ってくれてただただ嬉しかった。

しかし突然のあの女性の登場に対するユニの反応はとてもじゃないが、ビジネスパートナーの知り合いに偶然会った、というものではなかった。大した恋愛経験をしてきていない俺でも、彼女も俺に特別な感情を抱いてくれているのだということを感じずにはいられなかった。

あの女性への失恋は誰にも話したことがなかった。15年も想いを伝えられずそのまま失恋なんて情けな過ぎて言えなかったのだ。

でもユニにだったら話せると思った。そして話してみたら、アメーバのように体に絡まる辛い想いから抜け出せたような気分になれたのだ。