甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:110 突然過ぎる別れ

＊3＊

離れたことでより想いが募っていき、自宅に戻ってから毎晩泣いていた。

「若様とうまくいけばいいな～と思ってたのにね。私もおせんべ食べる。わぁ、美味しそ。どれにしようかな。あ、これがいい。」

先輩はおせんべいが詰まっている銀色の缶の中から色々な種類の小さなおせんべいが入っている袋を取った。

「え？そんなこと考えてたんですか？」

「そうよ。だから二人で楽しく飲めるように色々送ったのよ。ね、ボス。私達、人呼んで『おせっかいおばちゃんズ』だもんね。」

「そうそう。もちろん同じ家に缶詰になってもらったのは仕事の為だけどね。詳しくは聞いちゃダメだなと思ったけど、ユニちゃん前の会社で恋愛でつらいことあったんでしょ？若様だったら人間的にも信頼できるし、いいんじゃないかと思って。ユニちゃんとお似合いだし。」

そう言いながら社長は2枚目のおせんべいに手を伸ばした。彼女はザラメせんべいに目がないので、先程はノーマルザラメを食べていて次は梅ザラメだ。

そう言えば社長が前にいた大手翻訳会社とトキが働いていた外資系ゲーム会社は取引関係にあって、飲み会をすることも多かったと言っていたのを思い出す。

「あ、はは、残念ながらお仕事以上の関係にはならなかったですよ。ご期待に添えずすみません。私もおせんべい頂こうかな。」

無理に明るく笑って一番小さなおせんべいに手を伸ばす。

「ユニちゃんてさ、ごまかす時その笑い方するよね。」

先輩に鋭く言われ、思わずむせてしまう。慌てて水を飲むもまだむせていると電話が鳴ったので社長と先輩の視線から逃げるように手を伸ばす。

「ゴホ・・・お電話ありがとうございます。株式会社・・・」
「ユニ？」

その声に全身が震える。電話主は翻訳者の若泉透葵わかいずみときさん・・・トキだった。