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第九話 たった一言に込める想い
scene40 告白
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-眞白-
電光掲示板を見上げると、大知くんが乗る電車が来るまで十分くらい時間があった。
列に並ぶ人の姿はほとんどない。乗り場の立ち位置から少し離れたところで立ち止まる。さっき見たばかりの時計をまた確かめた。
あと八分、と思っていたら大知くんがスマホの画面を見せてきた。
いつもの音声アプリの画面ではなかった。赤と緑がメインの、ポップなデザインのサイトが表示されている。何かと思ったら、『star.b』のクリスマスライブの特設サイトだった。
大知くんは、俺が画面を見たことを確かめてから音声アプリに切り替えて何か話し、再び画面を見せてきた。
『クリスマスイブにライブがあるんだ』
知っていた。クリスマスライブがある事は、ハルから聞いている。
続きを読んだ。
『今度は俺がスタッフパス用意するから、また楽屋にも遊びに来てね』
画面から顔を上げ、大知くんの顔を見た。
ゆっくり、首を横に振る。
俺の反応が予想外だったのか、大知くんの目に困惑の色が浮かんだ。
『もしかして予定ある?』
続けて聞いてくる。首を横に振り、大知くんのスマホを借りて短く返事を打った。
『行かない』
『何で?』
聞き返され、脳裏に様々な光景が蘇ってくる。
大知くんの写真をリュックに下げていた女子高生。神社で見たライブ当選祈願の絵馬。
そして、ショーケースで見たステージが脳裏を駆け巡った。
観客席とステージの距離を思い浮かべる。
……きっとあれがそのまま、大知くんと自分との距離なんや。
何にも面白くないのに、勝手に口元に笑みが浮かんだ。多分、泣きたくなかったからだと思う。
少し潤んだ視界の中で、大知くんと目を合わせる。
「……寂しくなるもん」
思わず発した声は、たぶん震えた。
大知くんの表情が真顔になる。
段々とホームに人が増えてきて、電車到着の時間が近づいている事に気がついた。
さっきまでがら空きだったのに、乗り場の立ち位置の辺りが混み始めている。列に並んでもらおうと、大知くんの背中を押そうとした。
その手を、取られた。
時刻表のある物陰へ引っ張られる。さっき人混みをかき分けて歩いた時より、ずっと強い力で手首を握られた。
痛いくらいの強さだった。
大知くんの手が離れる。顔を見ると、見たことが無いような真剣な表情をしていた。
「(眞白に言いたい事がもう一個ある)」
「……?」
突然手話で話し始めた大知くんに戸惑っていると、電車がホームに入ってくる風の気配を感じた。
振り返ろうとしたら、それを阻む様に腕を強く掴まれて引かれた。
「(ちゃんと見ていて)」
強い眼差しで訴えられる。
俺は、と、手の動きと共に大知くんの唇が動いた。
「(俺は、眞白が、好き)」
「……え?」
何を言われたのかすぐに理解が追いつかず、頭の奥がぼうっとなる。
大知くんは一瞬俺の背後へ視線を遣ると、急いでスマホに文字を打った。俺のポケットでスマホが震える。
大知くんは荷物を背負い直すと、急いでホームに入ってきた電車に駆け込んだ。
扉が閉まる直前、大知くんが振り返る。
「……っ、大知くん!」
思わず叫んだ。聞こえたかどうかは分からない。
電車が走り去った後も呆然とホームに立ちすくむ俺を、怪訝そうに人々が見て行く。
震える手をポケットに入れ、スマホの画面を確認した。思った通り、大知くんからメッセージが来ていた。
『ちゃんと返事をちょうだい』
―何も、返せなかった。
電光掲示板を見上げると、大知くんが乗る電車が来るまで十分くらい時間があった。
列に並ぶ人の姿はほとんどない。乗り場の立ち位置から少し離れたところで立ち止まる。さっき見たばかりの時計をまた確かめた。
あと八分、と思っていたら大知くんがスマホの画面を見せてきた。
いつもの音声アプリの画面ではなかった。赤と緑がメインの、ポップなデザインのサイトが表示されている。何かと思ったら、『star.b』のクリスマスライブの特設サイトだった。
大知くんは、俺が画面を見たことを確かめてから音声アプリに切り替えて何か話し、再び画面を見せてきた。
『クリスマスイブにライブがあるんだ』
知っていた。クリスマスライブがある事は、ハルから聞いている。
続きを読んだ。
『今度は俺がスタッフパス用意するから、また楽屋にも遊びに来てね』
画面から顔を上げ、大知くんの顔を見た。
ゆっくり、首を横に振る。
俺の反応が予想外だったのか、大知くんの目に困惑の色が浮かんだ。
『もしかして予定ある?』
続けて聞いてくる。首を横に振り、大知くんのスマホを借りて短く返事を打った。
『行かない』
『何で?』
聞き返され、脳裏に様々な光景が蘇ってくる。
大知くんの写真をリュックに下げていた女子高生。神社で見たライブ当選祈願の絵馬。
そして、ショーケースで見たステージが脳裏を駆け巡った。
観客席とステージの距離を思い浮かべる。
……きっとあれがそのまま、大知くんと自分との距離なんや。
何にも面白くないのに、勝手に口元に笑みが浮かんだ。多分、泣きたくなかったからだと思う。
少し潤んだ視界の中で、大知くんと目を合わせる。
「……寂しくなるもん」
思わず発した声は、たぶん震えた。
大知くんの表情が真顔になる。
段々とホームに人が増えてきて、電車到着の時間が近づいている事に気がついた。
さっきまでがら空きだったのに、乗り場の立ち位置の辺りが混み始めている。列に並んでもらおうと、大知くんの背中を押そうとした。
その手を、取られた。
時刻表のある物陰へ引っ張られる。さっき人混みをかき分けて歩いた時より、ずっと強い力で手首を握られた。
痛いくらいの強さだった。
大知くんの手が離れる。顔を見ると、見たことが無いような真剣な表情をしていた。
「(眞白に言いたい事がもう一個ある)」
「……?」
突然手話で話し始めた大知くんに戸惑っていると、電車がホームに入ってくる風の気配を感じた。
振り返ろうとしたら、それを阻む様に腕を強く掴まれて引かれた。
「(ちゃんと見ていて)」
強い眼差しで訴えられる。
俺は、と、手の動きと共に大知くんの唇が動いた。
「(俺は、眞白が、好き)」
「……え?」
何を言われたのかすぐに理解が追いつかず、頭の奥がぼうっとなる。
大知くんは一瞬俺の背後へ視線を遣ると、急いでスマホに文字を打った。俺のポケットでスマホが震える。
大知くんは荷物を背負い直すと、急いでホームに入ってきた電車に駆け込んだ。
扉が閉まる直前、大知くんが振り返る。
「……っ、大知くん!」
思わず叫んだ。聞こえたかどうかは分からない。
電車が走り去った後も呆然とホームに立ちすくむ俺を、怪訝そうに人々が見て行く。
震える手をポケットに入れ、スマホの画面を確認した。思った通り、大知くんからメッセージが来ていた。
『ちゃんと返事をちょうだい』
―何も、返せなかった。
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