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第3章 魔法の世界

4 薬草探し

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「では皆さんが持っている紙に書かれた情報を頼りに目的のものを探し出してください。分からなければペアの人と協力して出来る翳り自分達で頑張るようにして下さいね。では解散」

私達のクラスの担任、エレイン先生がそう言うとペアを組んだ生徒達はそれぞれ行動を開始した。


私達は今外での授業中。学院の敷地内にある草が生い茂った場所。奥には樹木がたくさん生えた林も見える。

一瞬ここが学院だと言うことを忘れてしまいます。


普段は机に向かって勉強をしているけど、今日はその知識が備わっているか確認も兼ねての、外であるものを探す勉強です。

あるものとは【薬草】の事です。

薬草とは薬用に使われる植物のことで、そのまま使うこともあるけど、大体は加工したりして使うことが多い。

怪我した時の傷に効いたり、風や熱が出た時などは解熱剤のような効果を発揮したりと薬草によって効果は様々。

この世界の薬草は魔法が使える人にとっては補助的な役割、反対に魔法が使えない人には生活の必需品と言える私達の生活を支えてくれるものなのです。

そう言う理由でこうして授業で薬草について学ぶわけです。



「最初は何から探そうかしら」

「う~ん、あっ、これこの辺りで前に見たことがありますよ」

今回の授業は二人の組を作り、その人と協力して薬草を探すのが目的で、私はユキとペアを組みました。

そして渡された紙を見て相談中。

紙には三つの薬草の名前、効果、特徴などが書かれていて、でもイラストなどは載っていなくてそれは自力で探し出しなさいと言う事でしょうね。


書かれている薬草は、【夜久寿草やくじゅそう】、【珀寿草ひゃくじゅそう】、【浅寿草せんじゅそう】の三種類。

似た名前の三種だけど、効果はそれぞれ違う。

夜久寿草やくじゅそうは、主に風などをひいた時に飲むと咳が止まったり、早く治ったりして、熱があるときには熱を下げてくれる効果もある。

そして副作用と言うほどでもないけど、飲むと眠くなってくる作用もあって、でも体調が悪い時には休むことが大事だからこの効果は願ったり叶ったりと思う人が多い。寝つきの悪い人にも効果があるからね。

特徴は、葉の色が青くて小さな白い花が咲いていることかな。これは見つけやすい部類だと思うね。

次の珀寿草ひゃくじゅそうは、一言で言うと傷薬。怪我をしたところに使うと痛みがひいて、直りが早くなる効果を持つ。

痛み止めにも使われたりもしている優れもの。

特徴が確か、前世で見たヒイラギの葉のように対生たいせい、つまり葉が二枚向かい合って付いている形をしていて、葉縁ようえんの形が波状、言葉の通り葉の縁が波のような形をしていて、葉の色は緑なのが特徴かな。

そして最後の浅寿草せんじゅそうは、簡単に言うと鎮静薬です。

不安なときに飲んで気持ちを落ち着けたり、後は睡眠薬としての効果もあって、使う人が多い薬草の一つ。

特徴はオレンジ色の葉と束生そくせい、束のように葉が一か所に集まっていることで分かりやすい。

この三つの薬草は日常生活でよく使うもので草むらにも生えているから誰でも取りやすい。

けれどその中でも特に最後の浅寿草せんじゅそうは本当に見分けやすくて、正しく使うのが普通だけど効果が効果だから悪用する人もいるからメリットばかりじゃない。

しかも私が誘拐された時に使われたのがこの薬だったし。

あの時は加工をしていなくて直だったから凄いにおいで、強烈過ぎてすぐに意識を失ってしまったけど。

そう人達にも見つけやすいものなのでそこのところは本当に嫌なんですけどね……。

嫌な思い出が蘇ってくるのでやめにしましょう。今は薬草採取です。


「エルこの辺りに来たことがあるの?授業以外で?」

「はい、休み時間とかに。緑は癒しの効果があるのでこの辺りに来ると気持ちが落ち着くんですよ」

「確かにそうね」

そう言ってユキは周りを見回した。

暖かい日差しが差し込む草むらに時折吹く風が気持ちいい。

たまにしか来ないけどこの場所は結構お気に入りの場所です。

「それでどの薬草なの、見たことがあるっていうのは」

「あ、えっとこの夜久寿草やくじゅそうです。葉っぱが青くて、小さい花が咲いていて可愛いなって思ったんですよ。確かこの辺に」

そう言って地面を見下ろして探してみる。

「あっ、ありましたよ。これです」

早速見つけてそっと採取したものをユキに見せる。

「本当ね。随分と可愛らしい見た目なのね」

「ふふ、薬草には見えませんよね」

「そうね。これでまず一つ目ね」

「はい、それじゃあ今度はもう少し奥の方へ行ってみましょう」

そう言って私達は奥の樹木が生い茂った林の手前までやってくると、情報を頼りに二人で手分けして薬草を探していった。


「あったわよ。これが珀寿草ひゃくじゅそうね」

手に持っていたものを私に見せてくる。見てみるとそれは確かに葉は対生たいせい葉縁ようえんは波状で緑色の珀寿草ひゃくじゅそうだった。

「そうですね、流石はユキです」

「私だってこれくらいの知識はあるわ」

そう言って当然と言う風に胸を張るユキ。頭の良いユキがいると頼りになるし、心強いです。

「私も見つけましたよ、浅寿草せんじゅそう

私も見つけたばかりの薬草を見せる。オレンジ色の特徴的な薬草だったからすぐに見つかると思っていたら結局見つけたのは最後だったけど。

無事見つけることが出来て目的達成ですね。

「これで三つ見つけたわね。それじゃ戻りましょうか」

「はい、そうですね」

採取した薬草を持って元来た道を戻ろうとしたとき――

……?

樹木の根元に生えている花に目が留まった。

あれは、ダリアの花?

そこには真っ白な花弁を付けた一輪のダリアの花が咲いていた。

何色にも染まっていない真っ白な花。

別にそれが珍しいと言う訳ではないけど、何故かその花から目が離せない。

何だか懐かしいような、昔見たことがあるような……。


「エル?どうしたの?」

「あ、いえ、何でもないです」

ユキに呼ばれてはっと我に返った。

不思議そうな顔のユキに何でもないと言って止めていた足を進めた。



解散した場所までついて皆が集まるのを待っている間もさっきの花のことが気になって仕方がなかった。

う~ん、あの花に何かあるのかな?思い当たらないけど……。


薬草採取の授業が終わっても結局気になって、その日一日はずっとそのことが頭から離れない時間が続いたのでした。





その時感じた違和感の正体が分かったのは、今より少し先の話―――
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