幸せな人生を目指して

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第3章 魔法の世界

5 心強い付添人

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「では行ってきますね」

「はい、お気をつけて。くれぐれも無茶をなさらないように」

「分かってますよ~」

屋敷の前でルカ、父様、母様が見送りのために来てくれた。

実は今日から泊りがけで隣国へ行くのです!

前に言っていた授業の一環で隣国に行くと言うものです。

まぁ社会科見学みたいな感じかな?楽しみにしていた日がついにやってきたのですよ。


毎日顔を合わせる家族とも少しの間会えなくなる。

それは寂しいけどそれと同時にワクワクしている自分がいる。

隣国なんて未知の領域ですからね。胸が高鳴るのも無理はない。授業と分かってはいても気分は遠足前の子どもです。

でもそんな私を一番心配する人物が……。

「本当に分かってますか?」

「分かってますよ。大丈夫!」

「更に心配になります」

そう言ったルカは呆れたようにため息を付いた。

ルカは心配性なところがあるから、自分が傍に居られない数日がいつも以上に不安でならないんでしょうね。

悲しくなるからあまり言いたくないんだけど、私って抜けてるところあるからね……。

自覚ちゃんとあるんですよね。



「ルカ、大丈夫よ」

「そうだよ。私の娘なのだから心配は要らない」

ルカを励ますように母様と父様が声を掛けた。


と言うか、父様。そう言ってるけど、いつもは父様がルカみたいに、いえ、ルカ以上に心配してきてるんですからね。

正直引いてしまうレベルで……。

他の人が居るところではそうやって良い態度取るんですから。

父様って偶に子どもみたいだったり、溺愛に拍車がかかったりするんですから。


「では行ってきますね」

これ以上いるとまた何かを言われそうだったので早急に話を終わらせ、もう何も言わないで下さいと言う意味を込めた笑顔を浮かべてそう返した。

そしてずっと待っていてくれた馬車に急いで乗り込むとホッと息を付いた。


「大変そうねエルちゃん」

誰も居なかったはずの馬車の中で美しい声が響いた。

前を見ると一人の幼女がちょこんと座りこちらを見ていた。

光の精霊で、今は私の守護精霊になってくれたウルティナです。

「最近見かけないと思っていたんですよ。どこに居たんですか?」

人差し指を口へ当て思い返している様子。

「そうね。エルちゃんがいるときは見つからないようにこっそりと様子を伺っていたり、何となく外へ出てみたりかしら」

「そうだったんですか。姿が見えないから心配してたんですよ。見えたと思ったらすぐにどこかに行ってしまうんですから」

「ごめんなさい。でも心配してくれて嬉しいわ。エルちゃんは優しいのね」

口調は大人っぽいのに、ニッコリと笑った顔が幼く可愛いためつい許してしまう。

本人は自分の可愛さに気付いているのかいないのか、毎回この可愛さにやられてしまうのですよね私。


「そう言えばまだ言っていなかったけどね。今回はルカに代わって私がエルちゃんの傍で護衛をすることになったわ」

「えっ」

突然の話につい声を上げてしまう。それにウルはドッキリが成功した時のような、無邪気な笑みを浮かべてこちらを見ていた。

「驚いた?」

「驚きましたよ。でもどうして?」

「隣国に行くのにルカは一緒に行けないって言うのを聞いて、それなら人間に姿を見られない私なら一緒に行っても問題はないと思ったからよ。それにエルちゃんとこうして二人きりでお話が出来ると思ったら楽しくなってきちゃって」

そう言ったウルは本当に楽しそうにしていた。こうして見ると普通の子どもみたい。

他の子と変わらない、小さな楽しみに心躍らせるただの女の子に見える。

私はその様子を微笑ましく見守っていた。

「私も嬉しいですよ。こうして久しぶりにウルとお話が出来て。それにウルが居てくれれば凄く心強いです」

「そうでしょう。エルちゃんは私がちゃんと守るから安心して楽しんでちょうだいね」

「ありがとう、ウル」

授業で行くから楽しむと言うのはちょっと違うけどね……。

楽しそうなウルに申し訳ないのでそれは言わないでおくことにした。


なんだかんだ会話が盛り上がり少し賑やかになりつつある間も、私達を乗せた馬車は集合場所である学院へと向かって走り続けていた。
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