幸せな人生を目指して

える

文字の大きさ
90 / 229
第6章 魔法乱舞

8 お手並み拝見…アメリアside

しおりを挟む
「良い皆、初めの内は私達は一切攻撃をしない。とにかく防御するの。相手の力量を図るのと、油断を誘うためにね。反撃のタイミングは私がするわ」

「分かったわ」

「分かりました」

「お任せ下さい」

私が指示を出すと皆は相手から目を逸らさずに返事を返す。

「じゃあ行くわよ!」

気合を入れるように声を上げると、それに反応するように男子チームから早速攻撃が飛んで来るのが目に映る。
初手で使いやすく魔力もそこまで使わずに発動出来る火属性魔法、ファイアーボール。

少し威力は強いようだけど――

「シールド」

相手の攻撃に一早く動いたのはチームメイトのマリン。高く結い上げた長い髪が靡く様が凛としていて美しいわ。

「アメリア様、お怪我はありませんか?」

「ええ、大丈夫よ。ありがとう、マリン」

傷一つない事、そして守ってもらった事に対してのお礼を述べると、普段はポーカーフェイスな彼女の頬がぽっと赤く染まる。
基本人の前では無表情でクールな彼女なんだけど、私の前でだけ色々な顔を見せてくれるからついその可愛い顔が見たくてからかってしまう。
もう、マリンったら本当に可愛いんだから。

「アメリア様!遅れてすみません、私もお守りします」

まるで妹を思わせるマリンの可愛さに癒されていると、一つ年下のオリバーが元気な声を上げて駆け寄って来た。

「遅いわよオリバー」

「ごめんなさいマリン先輩」

本気ではないけれど遅れてやって来たオリバーに注意をするマリン。それにオリバーは気を悪くする事なく素直に謝る。
何だか姉妹みたいね。二人のやり取りを見ていていつも思う。

と言うか、オリバーは私以外のメンバーを先輩、って呼ぶのにどうして私だけ様なの?
この疑問は呼ばれるたびに思っていた事で、聞いてみた事があるけど、オリバー曰く「アメリア様のような高貴な方を他の人と同じ呼び方なんて出来ません」と言う事らしい。
高貴?私が?侯爵家だからって事?
そう聞くとそれだけじゃありません、って言うからますます分からなくなって、まあオリバーが良いならいっか、って自己解決した事があったわね。深く考えるのは面倒だもの。

私を慕ってくれるチームメイトがいてくれるだけで幸せだと思っているし。

「二人とも駆け付けてくれてありがとう。防御は任せるわ」

「「はい!」」

二人の自信満々な返事を聞いて思わず笑みが零れる。

「アメリア様は私達の事は気にせず、相手チームの様子を偵察して下さい」

「ありがとう。そうさせてもらうわ」

マリンの気遣いに感謝しながら言われた通り相手の様子を伺う事に専念する。

「それじゃ私は二人でも防げないような攻撃が来た時に手助けに入れば良いのね」

私の隣で同じく様子を伺っていたエイミィがぽつりと呟く。

「ええ、それでお願いエイミィ。その時は二人を助けてあげて」

「分かったわ」

私の申し出にエイミィは穏やかに頷いた。

さてと。
思考を切り替えて相手の観察を行う。

視線を相手に移せば新たに魔法を放つところだった。
今度は水属性魔法、アクアカノン。放たれた水の球が一直線にこちらに向かって来る。

「「シールド」」

だけどそれをいとも簡単に防ぐ二人。それを見て若干相手に焦りが見え始めている事を私は見逃さなかった。
あれだけの大口を叩いておいて、二度も攻撃を防がれたのだから恥ずかしくもなるわよね。
本当に世間を知らないお坊ちゃんだ事。
貴方達が思っているよりずっと、この世界の女は強いのよ。

女だからって今まで馬鹿にされた事はない。それは私が侯爵家の娘だから。
でも世の中には女だからって言う理由だけで馬鹿にされたり、見下される事が残念ながらあるのよね。
そしてそれを言うのは大抵男。そう言う紳士ぶっている奴が私は一番嫌いで、本当に腹立たしい。
私の性格が負けず嫌いって言うのもあるんでしょうけど。

話が逸れちゃったわね。まあ、とにかく女は強いのよって事を身を持って知りなさいって事。

さあ次の攻撃はどんな魔法を使ってくるのかしら。

「お前らあんな女だけのチームに負けるなよ。次はアレを発動するぞ!」

相手チームの一人が何やら叫んでいる。それに対して周りの三人は驚いた顔をしているけど、何かを決意するように真剣な表情になり頷きあった。

あら、さっきまでの表情とは別物ね。やっと手加減して勝てないって気づいたのかしら。
さあ次は何を繰り出してくるのかしら。

「アレはまだ完成したばかりで一人だとコントロールが難しい。全員でやるぞ!」

リーダー格の男子生徒がそう叫ぶと、他の三人がリーダーの男子を囲むように移動をする。
大技、奥の手って事ね。

急に雰囲気の変わった男子達に前衛に立つオリバーとマリンも気を引き締める。
隣のエイミィは相変わらずおっとりした表情だけど。
この空気に呑まれないエイミィには感心するけど逆に怖いわ。

そんな事を思っていると会場の空気が急に変わったのを感じて、はっとして見ると男子達の凄まじい集中力、そして全員分が集まった大きな塊のような魔力を感じとり、その大きさに一瞬鳥肌が立った。

これは中々に凄いものが来そうね。

こちらまで流れてくる魔力がその威力を物語っている。ここにいるのが私達じゃなかったら怖気づいているかもしれない。それ程までに凄い魔力と集中力。

でも私達も負けてはいない。それに怯む事なくこちらも身構える。
そしてそれとほぼ同時に相手チーム全員が手を突き出し、巡らせた魔力を一気に開放させた。

来る!

「「「「エクスプロード・アクティベート!!」」」」

叫ぶようにして唱えた魔法は火属性魔法。そして上位に極めて近く強力な中位魔法で、確か大爆発を起こす魔法だったわよね。
これが隠し持っていた奥の手ね。偉そうな事を言うだけのお坊ちゃんかと思っていたけど、少しだけ見直したわ。

……でもね、悪いけど私のチームメイトも優秀なのよ。

「オリバー!マリン!」

前衛の二人の名前を呼ぶと、それだけで察した二人は強く頷くと呪文を唱える。

「「プロテクション!」」

シールドよりも強固な防御力を発揮するプロテクションを壁のように作るのではなく、半円型で四方からの攻撃にも対応できる形へと変化させ、尚且つ私達全員を囲める程の大きさのものを発動させる。

防御魔法は基本的に今のように変形させて使う事が難しい。決して無理なわけではないけど繊細な作業で、長時間の使用は相当な集中力を要する。
大きさは変えられるけど、シールドの基本形態は長方形の形をした壁。目の前の攻撃はそれで勿論防げる。
でも相手が応用を加え、魔法の軌道を直線から左右へと変えてしまったとしたら、左右から来る攻撃に対処出来なくなってしまう恐れがある。
それを防ぐために応用で防御魔法を様々な形に作り替える事が出来る、と言うのは凄いメリットなわけで。

それを証明するかのように、二人の展開した魔法が今まさに攻撃を受けているところ、だけどひびもなく壊れそうもない。
それに相手の放った魔法は防御の膜に当たると同時に大爆発を起こすけど、今その衝撃にもしっかりと耐えている。
ただ灼熱の炎だから熱気でサウナにいるような状態になってて暑いんだけどね。


凄い魔法だったわ、中々やるじゃない。

でもね、ここまでよ。大体分かったから、反撃開始と行こうじゃない!

「エイミィ!」

「ついに反撃開始ね。任せて」

未だ炎が消えず前衛の二人は魔法を展開中。だから私は隣に立っているエイミィを呼んだ。
察しの良い彼女の事だ、私の言いたい事が分かっているでしょうから。

エイミィは待ってました、とばかりに自信満々の笑みを浮かべると手を前に突き出した。
やる気満々ね。そう思った私は彼女に釣られて気づけば笑みを浮かべていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...