幸せな人生を目指して

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第7章 Memory~二人の記憶~

9 秘密の関係

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私達は相も変わらず秘密で会い、他愛もない話をしては笑い合った。

私にとってこの時間はとても特別なもので、きっと彼にとってもそうなんだと思っている。
最近ではもっと一緒にいたいと思い始めてしまい、けれどそれが叶わない事を知っているため悲しくなってしまう。

私達が会えるのは夜、それも城の者が寝静まっている少しの間だけなのだ。


「そう言えばリリーシェ、君は珍しい容姿をしているよな?」

「急に何よ」

「いや、髪の色とか、特に瞳の色がな」

「今更ね。真っ白な髪はそこまで珍しくはないと思うわよ。まあこのアメジストの瞳は見た事がないから分からないけれど。それに私よりもアレス、貴方の方が余程珍しいと思うのだけれど?」

ちょっと面白くなってからかうようににや付いた笑みで彼に問いかけた。

「そうか?髪は黒だし、瞳は金だがそう珍しくないと思うけどな」

と、アレスは珍しくもないだろうと言い自分の容姿に全くと言う程興味がなさそうだ。
そうは言っても、本人が気にしていないだけで、本当は金色の瞳なんてそうはいないわ。

その瞳は人々を魅了する。少なくとも私はそうだったのだから。


……あの日。彼に告白されてから、私はまだアレスに思いを伝えられていない。
あの時は恥ずかしさが勝ってしまい、どうしても気持ちを口に出す事が出来ないまま別れての時間になってしまった。
それからと言うもの、こうして会う機会は度々あったと言うのに、未だに返事を返せていないと言った状態だ。
アレスもアレスで気にはなっているようだけれど、無理には聞いてこないし。
きっと私から言うのを待ってくれているんだと思うけれど……。
言わなきゃ言わなきゃ、と思いつつも中々言えずに困り果てているのよね……。


そんな気持ちと葛藤しながら日々が過ぎて行き、今夜も終わりの時が来てしまった。

「それじゃ、また来るよ、リリーシェ」

「ええ、また会いましょう、アレス」

「おやすみ」

「おやすみなさい」

別れの挨拶が済むと彼は早々にその場を立ち去ってしまう。
その背中を見つめながら私は、また言えなかったと唇を噛みしめ渋々自室へと戻って行くのだった。


……この私の唯一の幸せに暗い影が落とされる事となったのは翌日の事。



その日、いつも通り自室にいた私に侍女が言った事が事の始まりだった。

「……お父様が、私を?」

父である国王が私を呼んでいる、そう侍女に言われて私は驚きを隠せなかった。
ここ最近は私に興味すら抱いていない様子だった父が急に、何の連絡もなく私を呼び出すなんて……。
何かあるに違いないわ。

「……直ぐに行くわ」

内心緊張と、冷や汗が流れる。けれど、私はそれを悟られないようにと気丈に侍女に言葉を返し、そして侍女が出て行くと私は一人部屋で拳を固く握りしめたのだった。


いくら実の父親であろうとも一国の国王である父を待たせるわけにはいかない。
私は急ぎ足で父の待つ謁見の間へと向かった。



「……失礼いたします。リリーシェ、ただいま参りました」

「来たか」

そこへ足を踏み入れるとすぐに玉座に座りこちらを鋭く見据える国王の姿があった。
……相変わらず愛想のない人。
見た目は若くて整った顔をした人だけど、いつ見ても不愛想なため冷たい印象を受ける。

……昔はこんな人ではなかったのに。
昔と変わらないのは私とは似ても似つかない金髪碧眼の容姿だけ。

その国王が私を冷たく見下している。それに腹立たしく思いながらも顔には出さないようにしていた。
けれど次に告げられた言葉に、私は思わず動揺してしまった。

「リリーシェ、お前ここ最近誰かと秘密裏に会っているらしいな」

「……」

その言葉に身体が反応してしまい、しまったと思った時にはもう遅かった。
顔を上げれば、更に鋭くした眼光で国王が私を見ていて、その鋭さに目が逸らせなくなる。
気を抜けば足も震え出してしまいそうだった。

「だんまりか。だがその反応、確かなようだな」

言葉に詰まる私に国王はもう良いと言うように、しかし私から視線は外さずに告げた。

「連れて来い」

私ではない者に対して発せられた一言。それを合図に国王の背後、赤いカーテンレールのあるその場所から三人の人物が姿を現した。
三人の内二人は衛兵だったが、もう一人を見た瞬間、気が付いた時には私は彼の名前を叫んでいた。

「アレスっ!!」

二人の衛兵に連れてこられたのは、逃げられないように後ろ手に縛られ困ったように微笑むアレスだった。
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