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第10章 アマビリスの乙女
5 デート大作戦
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さてアクシデントはあったものの、こちらもやられたままでは終われない性分。それも大好きな姉様の為とあれば尚更に。
という事で私の頭をフル回転させて考えたデート大作戦。それを本日決行に移そうと思う。
とは言え、実際に動くのは姉様なわけで、私はただ見守るしか出来ない。それに私が考えたのはこうしたらどうか?と言った曖昧なものだが、それでも少しでも二人が楽しそうに過ごしてくれれば良いなと思い考えたのだ。
姉様達の邪魔はしない、けれど応援はしたい。
先日フランさんに絡んでいた女子生徒達。
彼女達の事を調べたが、読み通り子爵の位を持つ貴族の令嬢だった。
一番フランさんに近づいていた彼女の名前はベラ・クーバー。
クーバー子爵家の一人娘であり、調べた限り貴族の催しものとして開かれるパーティーの場では、必ずと言って良い程男性に声をかけに行き、特に彼女が気に入った男性には目がなく、更に自身から強引に近づこうとするらしい。
この事から先日の教室での件も確かにと納得するしかない。
確かに容姿は整っているし、黙っていれば可愛らしい令嬢そのものだ。
快活としている姉様とはまた違う魅力を秘めている。背中に流れる茶色の長髪は強く波打っており、それとは対照的に丸くぱっちりとした瞳。しかしその眼差しは凛々しく、本当に黙っていれば深層の令嬢のようなのだ。
男性に目がない令嬢は多いだろうが、それでも大抵は大人しく出方を伺っているものだし、それが礼儀でもある。しかし彼女の行動は品がないどころが人の目を気にしない大胆なもの。後先考えないとはまさにこの事だが、ある意味では行動力があるとも言える。
そして彼女の傍で取り巻きのようについていた二人の女子生徒。
一人は黒目黒髪、特に髪を肩程で綺麗に揃えており、いかにも私の前世日本人っぽい容姿をしている少女。名前をジェシカ・マーティンと言い、更にもう一人の黒目に、金に近い茶髪を緩く二つに結い、お下げにしている少女はマーリン・モリス。
彼女達もベラと同じく子爵家の一人娘で、その境遇からか何処に行くにも三人一緒にいるようで、ベラを筆頭にパーティーでも好き勝手やっているようだった。
いくら貴族とは言え、これだけやりたい放題では何かしら苦情が耳に入るものだが、それでも変わらない横暴っぷりは言いたくないが、最早家の問題があるのかもしれない。
つまりはどれだけ甘やかされてきたのかが窺えるという事。
一人娘は可愛くて甘やかされて育ってしまうと良く言うし、彼女達がまさにそうなのだろう。
とは言え学生としては同級生でも一歩外に出ればまた立場も変わる。
貴族としては姉様の方が彼女達よりも立場は上になるが、それを分かった上で挑発とも取れる言動をしてくるのだ。流石に看過できないものがある。
穏やかに過ごすがモットーの私でもやる時はやるのだ。
という事で、当事者である姉様よりもあの一件で火が付いた私は彼女達に対抗する為の案を講じたのだった。
それが本日の作戦。休日を使ったお買い物と言う名のデートなのだ。
折角の休日、無駄に過ごすのはもったいない。
なので休日に彼を誘って一緒に出かけるのはどうか、と提案をしたところ姉様は大賛成してくれて、早速フランさんに声をかけて誘ったらしい。その結果デートの日取りも直ぐに決まり今のところ作戦通りと言う訳だ。
姉様は彼と二人きりのお出かけは初めてのようで、緊張でそわそわしていたがその反面とても嬉しそうでもあった。
ちなみにデート場所は初めてという事もあり、些か通いなれている近場が良いのでは?となり、私も良く通っているカレンさんのお店もある王都、城下町になった。
そして当日、姉様に許可を貰った私は本日一日、二人の様子を隠れて見守る事に。
勿論一人ではなく付き添いにルカを伴い、早速二人の待ち合わせ場所である場所の近くで待機をしていた。
目の先には水飛沫を上げる美しい彫刻が施された噴水がある。待ち合わせ場所では良くこの噴水前が選ばれる印象があるが、それ程この辺りではシンボルとなっているのだ。
その為人も多い。
だからと言って二人とばったり遭遇なんて出来ない為、私達は噴水から少し離れた建物の影からそっと様子を伺っていた。
…とは言え傍から見たら見るからに怪しいよね……。
不意にそう思ったが今日はそんな事気にしている余裕はない。気にしたら終わりだと私は思考を切り替える。
あ、そう言えば今回ルカが同行したのは私の従者であるから、お目付け役だからと言った理由も勿論あるが、それだけではなかった。
実は姉様の恋愛事情を話してもいないのに何故かルカは既に知っていて。
いくら敏いルカでも一体どこから?と驚いたのだが、同時にそれなら今日一日一緒に付き合ってもらうのにはちょうど良いのでは?と考え直し共に動く事になったのだった。
と、そこまで思い返していた私は噴水前で佇む自身の姉に再度視線を向けた。
それにしても――。
既に噴水前でフランさんの事を待っている姉様は、綺麗に整えられている髪を触ったり、服装を確認したりとそわそわ落ち着かない様子で、そんな姉様は恐らく気がついていないだろうけれど、同じく待ち合わせで待っている人達や、通りすがった人達男女問わずから熱い視線を送られていた。
デートコーデでいつも以上に磨きがかかっている姉様に周囲の人達は見惚れている。
確かに今日の姉様は一段と可愛らしく美しい為、その気持ちは良く分かる。
姉様にしては珍しいフリルのついた真っ白なワンピースに、いつもは下ろしている髪の一部を耳の上あたりで軽くアップにし、そこに瞳と同じオレンジ色のリボンを施し、いかにも何処か良いところのお嬢様と言った仕上がりとなっている姉様。実に可愛らしい。
ちなみにあのコーデを考えたのは私と母様で、考えている時の母様はルンルンととても嬉しそうで、まるで小さな少女のようにはしゃいでいたものだ。
そして流石に父様にも今回の姉様の件は耳に入っているのだが、父様は父様で凄く落ち込んでいるし、いや、最早虫の息と言っても間違いではない、そんな状態で宥めるのが大変だった為、途中から父様の事は母様に任せて私は今日の為の準備を整えたのだった。
「エル様」
「あっ、来ましたね」
私も例に漏れず思わず姉様に見惚れてしまっていた中、ルカに名前を呼ばれた事ではっと我に返り、視線を姉様から少し動かすと背の高り一人の男性が目に入った。フランさんだ。
…おお、彼も結構決めて来たようだね。
彼の格好に私は一人心中で感心する。
フランさんも今日は勿論私服なのだが、白いシャツにグレーのベスト、黒のズボン、そしてその上から膝丈の長さの紺のコートを羽織っており、紳士然としたコーデを見事に着こなしていた。こちらも良いところのお坊ちゃんと言ったオーラを醸し出している。
「おお…」
「エル様、声に出ていますよ」
「すみません、つい」
思わず声に出してしまうくらい二人がお似合いだったのだから仕方がない。
ルカに軽く相槌をして再度視線を二人に向けると、何やら姉様の頬が朱に染まっているのが見える。
フランさんに何か嬉しい事でも言われたのだろうか。だとすると恐らく服装とかの事だろうけれど。
褒められるのは素直に嬉しいし、それが好きな人となると尚更に。
仲睦まじい二人を見ていると自分の事のように私も嬉しくなるのだった。
「エル様、二人共移動するみたいですよ。追いかけましょう」
「はいっ」
暫く様子を伺っているとどうやら二人も動くようだ。
私達は顔を見合わせるとバレないように、でも見失わないように細心の注意を払いながら二人の後を追った。
という事で私の頭をフル回転させて考えたデート大作戦。それを本日決行に移そうと思う。
とは言え、実際に動くのは姉様なわけで、私はただ見守るしか出来ない。それに私が考えたのはこうしたらどうか?と言った曖昧なものだが、それでも少しでも二人が楽しそうに過ごしてくれれば良いなと思い考えたのだ。
姉様達の邪魔はしない、けれど応援はしたい。
先日フランさんに絡んでいた女子生徒達。
彼女達の事を調べたが、読み通り子爵の位を持つ貴族の令嬢だった。
一番フランさんに近づいていた彼女の名前はベラ・クーバー。
クーバー子爵家の一人娘であり、調べた限り貴族の催しものとして開かれるパーティーの場では、必ずと言って良い程男性に声をかけに行き、特に彼女が気に入った男性には目がなく、更に自身から強引に近づこうとするらしい。
この事から先日の教室での件も確かにと納得するしかない。
確かに容姿は整っているし、黙っていれば可愛らしい令嬢そのものだ。
快活としている姉様とはまた違う魅力を秘めている。背中に流れる茶色の長髪は強く波打っており、それとは対照的に丸くぱっちりとした瞳。しかしその眼差しは凛々しく、本当に黙っていれば深層の令嬢のようなのだ。
男性に目がない令嬢は多いだろうが、それでも大抵は大人しく出方を伺っているものだし、それが礼儀でもある。しかし彼女の行動は品がないどころが人の目を気にしない大胆なもの。後先考えないとはまさにこの事だが、ある意味では行動力があるとも言える。
そして彼女の傍で取り巻きのようについていた二人の女子生徒。
一人は黒目黒髪、特に髪を肩程で綺麗に揃えており、いかにも私の前世日本人っぽい容姿をしている少女。名前をジェシカ・マーティンと言い、更にもう一人の黒目に、金に近い茶髪を緩く二つに結い、お下げにしている少女はマーリン・モリス。
彼女達もベラと同じく子爵家の一人娘で、その境遇からか何処に行くにも三人一緒にいるようで、ベラを筆頭にパーティーでも好き勝手やっているようだった。
いくら貴族とは言え、これだけやりたい放題では何かしら苦情が耳に入るものだが、それでも変わらない横暴っぷりは言いたくないが、最早家の問題があるのかもしれない。
つまりはどれだけ甘やかされてきたのかが窺えるという事。
一人娘は可愛くて甘やかされて育ってしまうと良く言うし、彼女達がまさにそうなのだろう。
とは言え学生としては同級生でも一歩外に出ればまた立場も変わる。
貴族としては姉様の方が彼女達よりも立場は上になるが、それを分かった上で挑発とも取れる言動をしてくるのだ。流石に看過できないものがある。
穏やかに過ごすがモットーの私でもやる時はやるのだ。
という事で、当事者である姉様よりもあの一件で火が付いた私は彼女達に対抗する為の案を講じたのだった。
それが本日の作戦。休日を使ったお買い物と言う名のデートなのだ。
折角の休日、無駄に過ごすのはもったいない。
なので休日に彼を誘って一緒に出かけるのはどうか、と提案をしたところ姉様は大賛成してくれて、早速フランさんに声をかけて誘ったらしい。その結果デートの日取りも直ぐに決まり今のところ作戦通りと言う訳だ。
姉様は彼と二人きりのお出かけは初めてのようで、緊張でそわそわしていたがその反面とても嬉しそうでもあった。
ちなみにデート場所は初めてという事もあり、些か通いなれている近場が良いのでは?となり、私も良く通っているカレンさんのお店もある王都、城下町になった。
そして当日、姉様に許可を貰った私は本日一日、二人の様子を隠れて見守る事に。
勿論一人ではなく付き添いにルカを伴い、早速二人の待ち合わせ場所である場所の近くで待機をしていた。
目の先には水飛沫を上げる美しい彫刻が施された噴水がある。待ち合わせ場所では良くこの噴水前が選ばれる印象があるが、それ程この辺りではシンボルとなっているのだ。
その為人も多い。
だからと言って二人とばったり遭遇なんて出来ない為、私達は噴水から少し離れた建物の影からそっと様子を伺っていた。
…とは言え傍から見たら見るからに怪しいよね……。
不意にそう思ったが今日はそんな事気にしている余裕はない。気にしたら終わりだと私は思考を切り替える。
あ、そう言えば今回ルカが同行したのは私の従者であるから、お目付け役だからと言った理由も勿論あるが、それだけではなかった。
実は姉様の恋愛事情を話してもいないのに何故かルカは既に知っていて。
いくら敏いルカでも一体どこから?と驚いたのだが、同時にそれなら今日一日一緒に付き合ってもらうのにはちょうど良いのでは?と考え直し共に動く事になったのだった。
と、そこまで思い返していた私は噴水前で佇む自身の姉に再度視線を向けた。
それにしても――。
既に噴水前でフランさんの事を待っている姉様は、綺麗に整えられている髪を触ったり、服装を確認したりとそわそわ落ち着かない様子で、そんな姉様は恐らく気がついていないだろうけれど、同じく待ち合わせで待っている人達や、通りすがった人達男女問わずから熱い視線を送られていた。
デートコーデでいつも以上に磨きがかかっている姉様に周囲の人達は見惚れている。
確かに今日の姉様は一段と可愛らしく美しい為、その気持ちは良く分かる。
姉様にしては珍しいフリルのついた真っ白なワンピースに、いつもは下ろしている髪の一部を耳の上あたりで軽くアップにし、そこに瞳と同じオレンジ色のリボンを施し、いかにも何処か良いところのお嬢様と言った仕上がりとなっている姉様。実に可愛らしい。
ちなみにあのコーデを考えたのは私と母様で、考えている時の母様はルンルンととても嬉しそうで、まるで小さな少女のようにはしゃいでいたものだ。
そして流石に父様にも今回の姉様の件は耳に入っているのだが、父様は父様で凄く落ち込んでいるし、いや、最早虫の息と言っても間違いではない、そんな状態で宥めるのが大変だった為、途中から父様の事は母様に任せて私は今日の為の準備を整えたのだった。
「エル様」
「あっ、来ましたね」
私も例に漏れず思わず姉様に見惚れてしまっていた中、ルカに名前を呼ばれた事ではっと我に返り、視線を姉様から少し動かすと背の高り一人の男性が目に入った。フランさんだ。
…おお、彼も結構決めて来たようだね。
彼の格好に私は一人心中で感心する。
フランさんも今日は勿論私服なのだが、白いシャツにグレーのベスト、黒のズボン、そしてその上から膝丈の長さの紺のコートを羽織っており、紳士然としたコーデを見事に着こなしていた。こちらも良いところのお坊ちゃんと言ったオーラを醸し出している。
「おお…」
「エル様、声に出ていますよ」
「すみません、つい」
思わず声に出してしまうくらい二人がお似合いだったのだから仕方がない。
ルカに軽く相槌をして再度視線を二人に向けると、何やら姉様の頬が朱に染まっているのが見える。
フランさんに何か嬉しい事でも言われたのだろうか。だとすると恐らく服装とかの事だろうけれど。
褒められるのは素直に嬉しいし、それが好きな人となると尚更に。
仲睦まじい二人を見ていると自分の事のように私も嬉しくなるのだった。
「エル様、二人共移動するみたいですよ。追いかけましょう」
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