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第10章 アマビリスの乙女
7 カフェテラス「メリーナ」…アメリアside
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こうして本日私達は街へ繰り出したのだけれど、決してノープランと言う訳ではなく、私が良く友人と赴くカフェテラスへと向かっていた。
そこは貴族の令嬢達の間でも話題で、食べ物は美味しくて外観店内共にお洒落で大変な人気店となっている。
「いらっしゃいませ。あらアメリア様。また来てくださったんですね、ありがとうございます」
カフェテラス「メリーナ」。それがこのお店の名前で、いつでも店内は人が多い。
今日も今日とて大盛況みたい。
そんな中お店に来店すれば私に気付いた一人の女性が笑みを浮かべて話しかけてくる。
彼女はこの人気店、カフェテラス「メリーナ」の店主であるカーラさん。
茶髪の髪と瞳、セミロング程の長さの髪はそのままに肩に流していて、いつ来てもニコニコと人当たりの良い微笑みに丁寧な対応をしてくれる接客の鏡のような女性だ。
「もう様は付けなくて良いっていつも言っているのに…。
カーラさんこんにちは。今日もお邪魔させてもらうわね」
「ふふふ。名前はもうくせになってしまっているので気にしないで下さい。
それより今日は素敵な殿方をお連れなのね」
カーラさんは後から入って来た彼、フランに目を向けるとその小顔な頬に手を添えて柔和に笑む。
その視線に私は一気に顔が熱くなった。
「カ、カーラさんッ…。やめて下さいよ。
…彼は学院のクラスメイトのフランよ。今日は私がいつも通っているこのお店に一緒に遊びに来ただけで…」
「あらまあ。素直じゃないんですね。
まあ良いわ。そう言う事にしておいてあげますから。
さあずっと立たせているのも申し訳ないわ。お席にご案内しますね」
「アメリア、顔が赤いけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫っ、大丈夫よ!さあ行きましょう」
私達のやり取りを見ていたフランが不意に私の顔を覗いてきて、その不意打ちにも驚いてしまい更に顔の熱が急上昇。
私は誤魔化すように咄嗟に彼から顔を逸らすと、大丈夫大丈夫と手を振り、自分にも落ち着かせるように暗示をかけつつ、こちらにどうぞと促すカーラさんの後に続いて店内を進むのだった。
「こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
「いえいえ。それではごゆっくりどうぞ」
私達は案内された席に向かい合う形で座り、ごゆっくりと言って何やら含みのある笑みを浮かべたカーラさんに、何となく気恥ずかしい気持ちになり、私はまた顔を逸らしてしまう。そんな私の代わりにフランが彼女にお礼の言葉を述べれば、それを聞いたカーラさんはそれ以上の詮索は止めてくれたようで、軽く会釈をしその場を去って行った。
そこで漸く私は一息つき、肩の力を抜いたのだった。
それはそうと――。
「静かな席だな」
「カーラさん気を使ってくれたみたいね」
ポロリとフランが素直な感想を零す。しかし彼の言う通り、案内されたその席周辺はお客さんがあまりいなくて、店内に流れる音楽以外物静かだった。
比較的広いお店だけど、普段から人気で人も多いのにも関わらず、私達の案内された席はいつもはあまり使われていないのだろうか、と思われる場所で。
ここって常連さんとかお得意様とか、そう言った人達に進めている席なのかしら?
そっと見回せば何人かいるお客さんの中には、私にも見覚えのある人がちらほらといるし。
カーラさんってばそんなに気を使わなくても良いのに。
私が初めて男の子を連れて来たから、そういう意味だと思って彼女は気を使ってくれたのだろう。
恥ずかしさもあるけど、折角だから今日はその気遣いに甘えて、この時間を大切に、目一杯楽しもうと考え直したのだった。
暫くして注文していた品が届き始め、お互いに好きに食事を楽しみつつもその間の会話も弾む。
緊張もいつの間にか解けているし、唯々有意義な時間を過ごしたのだった。
エルシアside
その一方我々姉様達見守り隊は、同じく二人が入っていったカフェテラスへと来ていた。
どうやら二人は奥の席、特別な方が出入り出来るような席に案内されたらしく、私達が店内へと足を踏み入れた時には既に姿が見られなかった。
反対に私達はと言うと、店員さんに偶然空いていた席へと案内される。
私達がちょうど席に着くとタイミング良く、カフェテラスの店長であるカーラさんが私達に気付きこちらに近づいて来た。
「いらっしゃいませ、エルシア様。ご来店ありがとうございます」
ふんわりとした雰囲気を纏わせ、柔らかい口調で彼女は私達の来店を心から歓迎してくれた。そんな接客の鏡とも言える彼女の笑みに私もつられて頬が緩む。
「カーラさん、こんにちは。お邪魔しています」
「お店に来ていただけるなんて嬉しいわ。それにエルシア様も素敵な殿方をお連れ何て、羨ましいですわ」
「漸く来ることが出来て嬉しいです。どんなメニューがあるのかも楽しみです。
あ、それと彼は私の従者なんです」
そう、私とルカはカフェテラス「メリーナ」に来るのが初めてで、カーラさんともお店以外では何度か会った事があるが、こうしてお店で会うのは初めてなのだ。
彼女がとても嬉しそうなのはそれも相まってなのだろう。
「初めまして。エル様の従者兼護衛を務めております、ルカと申します」
「あらあらご丁寧に。店主のカーラです。以後お見知りおきを」
ルカが自己紹介をすればカーラさんは丁寧に言葉を返す。どことなく母様と雰囲気が似ているななんて、その時密かに思っていたり。
「そう言えばアメリア様が素敵な殿方を連れて先程いらしゃったんですよ。邪魔が入らないようにと思ってあちらの奥の席にご案内したのだけれど」
やっぱり彼女の配慮だったんだ。ここからだと様子は見えないけどきっと大丈夫でしょう。
「その事ですが、私達が来た事は姉様達には内緒にしてください。変に気を使わせたくないですし」
今日私達が二人の様子を見守っているのを姉様が知っていてもいなくとも、私達の事なんて気にせず、二人だけで楽しんでもらいたいと思っているから。
「分かりました。
では私はそろそろ戻りますね。お二人もゆっくりしていって下さいね」
察しが良い彼女はそれ以上詮索する事はなく、そんなカーラさんの気遣いに私達は感謝した。
ありがとうございます、とお礼の言葉を述べると、彼女はスタッフルームの方へと戻って行く。その彼女の姿を私は静かに見送ったのだった。
そこは貴族の令嬢達の間でも話題で、食べ物は美味しくて外観店内共にお洒落で大変な人気店となっている。
「いらっしゃいませ。あらアメリア様。また来てくださったんですね、ありがとうございます」
カフェテラス「メリーナ」。それがこのお店の名前で、いつでも店内は人が多い。
今日も今日とて大盛況みたい。
そんな中お店に来店すれば私に気付いた一人の女性が笑みを浮かべて話しかけてくる。
彼女はこの人気店、カフェテラス「メリーナ」の店主であるカーラさん。
茶髪の髪と瞳、セミロング程の長さの髪はそのままに肩に流していて、いつ来てもニコニコと人当たりの良い微笑みに丁寧な対応をしてくれる接客の鏡のような女性だ。
「もう様は付けなくて良いっていつも言っているのに…。
カーラさんこんにちは。今日もお邪魔させてもらうわね」
「ふふふ。名前はもうくせになってしまっているので気にしないで下さい。
それより今日は素敵な殿方をお連れなのね」
カーラさんは後から入って来た彼、フランに目を向けるとその小顔な頬に手を添えて柔和に笑む。
その視線に私は一気に顔が熱くなった。
「カ、カーラさんッ…。やめて下さいよ。
…彼は学院のクラスメイトのフランよ。今日は私がいつも通っているこのお店に一緒に遊びに来ただけで…」
「あらまあ。素直じゃないんですね。
まあ良いわ。そう言う事にしておいてあげますから。
さあずっと立たせているのも申し訳ないわ。お席にご案内しますね」
「アメリア、顔が赤いけど大丈夫か?」
「だ、大丈夫っ、大丈夫よ!さあ行きましょう」
私達のやり取りを見ていたフランが不意に私の顔を覗いてきて、その不意打ちにも驚いてしまい更に顔の熱が急上昇。
私は誤魔化すように咄嗟に彼から顔を逸らすと、大丈夫大丈夫と手を振り、自分にも落ち着かせるように暗示をかけつつ、こちらにどうぞと促すカーラさんの後に続いて店内を進むのだった。
「こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
「いえいえ。それではごゆっくりどうぞ」
私達は案内された席に向かい合う形で座り、ごゆっくりと言って何やら含みのある笑みを浮かべたカーラさんに、何となく気恥ずかしい気持ちになり、私はまた顔を逸らしてしまう。そんな私の代わりにフランが彼女にお礼の言葉を述べれば、それを聞いたカーラさんはそれ以上の詮索は止めてくれたようで、軽く会釈をしその場を去って行った。
そこで漸く私は一息つき、肩の力を抜いたのだった。
それはそうと――。
「静かな席だな」
「カーラさん気を使ってくれたみたいね」
ポロリとフランが素直な感想を零す。しかし彼の言う通り、案内されたその席周辺はお客さんがあまりいなくて、店内に流れる音楽以外物静かだった。
比較的広いお店だけど、普段から人気で人も多いのにも関わらず、私達の案内された席はいつもはあまり使われていないのだろうか、と思われる場所で。
ここって常連さんとかお得意様とか、そう言った人達に進めている席なのかしら?
そっと見回せば何人かいるお客さんの中には、私にも見覚えのある人がちらほらといるし。
カーラさんってばそんなに気を使わなくても良いのに。
私が初めて男の子を連れて来たから、そういう意味だと思って彼女は気を使ってくれたのだろう。
恥ずかしさもあるけど、折角だから今日はその気遣いに甘えて、この時間を大切に、目一杯楽しもうと考え直したのだった。
暫くして注文していた品が届き始め、お互いに好きに食事を楽しみつつもその間の会話も弾む。
緊張もいつの間にか解けているし、唯々有意義な時間を過ごしたのだった。
エルシアside
その一方我々姉様達見守り隊は、同じく二人が入っていったカフェテラスへと来ていた。
どうやら二人は奥の席、特別な方が出入り出来るような席に案内されたらしく、私達が店内へと足を踏み入れた時には既に姿が見られなかった。
反対に私達はと言うと、店員さんに偶然空いていた席へと案内される。
私達がちょうど席に着くとタイミング良く、カフェテラスの店長であるカーラさんが私達に気付きこちらに近づいて来た。
「いらっしゃいませ、エルシア様。ご来店ありがとうございます」
ふんわりとした雰囲気を纏わせ、柔らかい口調で彼女は私達の来店を心から歓迎してくれた。そんな接客の鏡とも言える彼女の笑みに私もつられて頬が緩む。
「カーラさん、こんにちは。お邪魔しています」
「お店に来ていただけるなんて嬉しいわ。それにエルシア様も素敵な殿方をお連れ何て、羨ましいですわ」
「漸く来ることが出来て嬉しいです。どんなメニューがあるのかも楽しみです。
あ、それと彼は私の従者なんです」
そう、私とルカはカフェテラス「メリーナ」に来るのが初めてで、カーラさんともお店以外では何度か会った事があるが、こうしてお店で会うのは初めてなのだ。
彼女がとても嬉しそうなのはそれも相まってなのだろう。
「初めまして。エル様の従者兼護衛を務めております、ルカと申します」
「あらあらご丁寧に。店主のカーラです。以後お見知りおきを」
ルカが自己紹介をすればカーラさんは丁寧に言葉を返す。どことなく母様と雰囲気が似ているななんて、その時密かに思っていたり。
「そう言えばアメリア様が素敵な殿方を連れて先程いらしゃったんですよ。邪魔が入らないようにと思ってあちらの奥の席にご案内したのだけれど」
やっぱり彼女の配慮だったんだ。ここからだと様子は見えないけどきっと大丈夫でしょう。
「その事ですが、私達が来た事は姉様達には内緒にしてください。変に気を使わせたくないですし」
今日私達が二人の様子を見守っているのを姉様が知っていてもいなくとも、私達の事なんて気にせず、二人だけで楽しんでもらいたいと思っているから。
「分かりました。
では私はそろそろ戻りますね。お二人もゆっくりしていって下さいね」
察しが良い彼女はそれ以上詮索する事はなく、そんなカーラさんの気遣いに私達は感謝した。
ありがとうございます、とお礼の言葉を述べると、彼女はスタッフルームの方へと戻って行く。その彼女の姿を私は静かに見送ったのだった。
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