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第11章 紅姫と四黎公
2 即位
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「既に妾の言いたい事に勘付いている者もいるだろうが――。
率直に言わせてもらう。先日起きたシェルバート伯爵家で起きた騒動について、詳しく聞かせてもらいたい」
「騒動についてやはり知っていたのですね」
予想が的中した瞬間だった。やっぱりその件はルリ様も気になっていたんだ。
「その件には魔族が絡んでいるという話だからな。魔族とくれば我々ヴァンパイアの一族も看過できない」
現在最強種族と名高いヴァンパイアのルリ様にそう言わせる程、魔族は脅威なんだ。
そんな存在と数回対峙したと言うのに、今こうして五体満足で自分がいる事が奇跡のように感じられる。
弱気になる気はないけれど、以前魔族と対峙した時、本能的な恐怖を感じたのを今でも鮮明に覚えているし、あの時魔族の力の一端を見た。それだけでも彼らの強大な力は脅威と言える。
「その事は構わない。だが俺達も情報が欲しい。
――持っているんだろう?魔族に関する情報を」
取引とでも言わんばかりに、確信を持っているらしいレヴィ君は臆する事なくルリ様にそう提案する。
そんな彼の態度を彼女は咎める事無く、それどころか口元にフッと笑みをつくって言った。
「勿論だ。妾が知っている事を全て話そう。
妾は一国の主と言う立場からだけではなく、お前達の友人として、今話をしたい」
表情は柔らかいが彼女の目は真剣そのもの。そんな彼女に私達は頷く事で応えた。
「では、まず私達が遭遇した騒動について詳しくお話します」
私はあの時の事を思い返しながら、詳細な内容を彼女に話した――。
「なるほど。魔族の影はあれど、魔族自身は公の場に姿は見せなかったと言う訳か。
全く奴ららしい。影から人を操り、好機を伺い隙を狙う――昔から変わらず卑怯な連中だ」
私の話を聞き終えたルリ様は何か思い出したのか、眉を顰め怒気の籠った口調で吐き捨てた。
「昔から知っているような口ぶりね。それでは聞かせてもらえるかしら?貴方の知っている魔族に関する事を」
成り行きを見守っていたユキが口を開く。ルリ様に先を促すように問いかけた。
「そうだな。では約束通り、今度は妾が話す番だな」
そう前置きをして彼女は静かに語り出した――。
「これは千年以上前の話だ――」
語られたのは想像も出来ないような遥か昔の出来事――。
千年以上前――まだ魔族が日常の中に当たり前に存在していた頃。
この時代は現在と比べてしまうと、殺伐としており、小さなきっかけで簡単に戦争を勃発させていた。
種族としては人間も存在はしていたものの、中でも圧倒的力を誇っていのは魔族とヴァンパイアであって。
この二大勢力の前では、人間達など為す術はなく、唯々自分達に矛先が向かぬよう息を顰め、いつ襲われその命が儚く散るかもしれないと言う恐怖と日々戦っていたのだった。
そんな人間の気持ちに等気にも留めず、魔族とヴァンパイアは自分本位の戦いを日々繰り広げる。
戦争の理由は様々。領土支配、物資略奪、種族の違い、力比べ等々。言い出したらキリがないが、ほとんどがくだらない理由であり、その争いに巻き込まれる他種族はたまったものではない。
ただでさえ規格外な力を有した種族達だ。彼等にとっては可愛い喧嘩かもしれないが、人々にとっては脅威でしかない。
そしてその二つの勢力の内、魔族は彼らを束ねる王と言う存在がいないが、ヴァンパイアにはその王が存在していた。
若き王と妃。二人の支配者。
若いと言っても長寿のヴァンパイアの中での話であり、二人は既に数百年は生きている。
そんな二人はとても聡明であり、身体能力も特に優れていた。王族の中でも稀に見る奇才であった。
王族であり優れた能力を併せ持つ二人は、力が指針であり、自分よりも弱い者には絶対に従わない信念を持つヴァンパイア達を纏め、当たり前のように従わせていた。
ただしそれは二人の力を認めている者達に限った話であり、二人の主義に意義を成す者達は確かに存在した。彼らは派閥を作り、好き勝手力を振るっていた。そのヴァンパイア達が主にこのくだらない戦争を引き起こしていたのだった。
考えは人それぞれと言うが、力を持っていようと、国を治め同族を従わせる資質があろうとも、全てのヴァンパイアの考えを変える事は出来ない。
戦争も絶えず起こり、王族の二人も困り果てていた。力があろうとなかろうと無駄な血を流す事を二人は好まない。
だからこそどうにかして魔族との争いを終わらせたいと日々思っていたのだ。
そんな時だ。
二人の間に一人の子供が生まれたのは――。
紅のような真っ赤な髪をした娘であった。
争いの真っただ中にも関わらず、戦争の苦しみを癒してくれる存在として、彼女――幼き王女は両親、そして配下の者達にとても大切にされた。
だが王女の誕生は、一時の平穏をもたらすと共に、邪な者共の格好の標的となってしまう。
いかに王の子と言えど、王女はまだ小さな赤子。
その尊き血筋、能力を求める者、妬みから害そうと、亡きものにしようとする輩と様々な思惑によって、幼き王女は生まれた瞬間からその命を狙われる事となってしまった。
そして魔族も同様に王女が生まれた事を知った奴等は王女を狙い大胆にも、ヴァンパイアの王国――その中心である王城を攻め入ったのだ。
不運はそれだけでなく更に続いた。
この時、王城に攻め入って来た輩の中には、強大な能力を持った魔族がおり、王女を守る王と妃にその猛威を振るった。
魔族一体であれば防戦一方となる事もなかっただろうに、惜しくも攻め入って来た魔族は多数。それも前触れもなく突然に。
当時、王女達三人の他に城には多数のヴァンパイアが警備に当たっていたが、ヴァンパイア側にも多少の油断があったのもあり、数いる魔族に手間取り、気づいた時には王女達は完全に孤立してしまっていた。
こうなってしまっては行動も限られてくる。王と妃の取った行動はただ一つ。
王女を守る為に戦った。
しかし、相手はそこらにいる雑魚ではない。
長きにわたる攻防の末、その果てに二人は魔族を瀕死の状態まで追い込んだものの自分達も同じく深手を負ってしまう。
このままでは王女の身が危険と判断し、二人は最後の力を振り絞りその場にいた魔族をどうにか退けると、漸く三人の元へ駆けつけていた配下のヴァンパイアへ王女とその後の事を託した。
――そして王と妃は長い長い眠りへとついた。
こうして一人残された王女は、王族の次位に力を持つ四人のヴァンパイアに見守られながら、自身と両親の身に起きた出来事を何も知らぬまま成長していき、新たな女王として王国を治める事となったのだった――。
率直に言わせてもらう。先日起きたシェルバート伯爵家で起きた騒動について、詳しく聞かせてもらいたい」
「騒動についてやはり知っていたのですね」
予想が的中した瞬間だった。やっぱりその件はルリ様も気になっていたんだ。
「その件には魔族が絡んでいるという話だからな。魔族とくれば我々ヴァンパイアの一族も看過できない」
現在最強種族と名高いヴァンパイアのルリ様にそう言わせる程、魔族は脅威なんだ。
そんな存在と数回対峙したと言うのに、今こうして五体満足で自分がいる事が奇跡のように感じられる。
弱気になる気はないけれど、以前魔族と対峙した時、本能的な恐怖を感じたのを今でも鮮明に覚えているし、あの時魔族の力の一端を見た。それだけでも彼らの強大な力は脅威と言える。
「その事は構わない。だが俺達も情報が欲しい。
――持っているんだろう?魔族に関する情報を」
取引とでも言わんばかりに、確信を持っているらしいレヴィ君は臆する事なくルリ様にそう提案する。
そんな彼の態度を彼女は咎める事無く、それどころか口元にフッと笑みをつくって言った。
「勿論だ。妾が知っている事を全て話そう。
妾は一国の主と言う立場からだけではなく、お前達の友人として、今話をしたい」
表情は柔らかいが彼女の目は真剣そのもの。そんな彼女に私達は頷く事で応えた。
「では、まず私達が遭遇した騒動について詳しくお話します」
私はあの時の事を思い返しながら、詳細な内容を彼女に話した――。
「なるほど。魔族の影はあれど、魔族自身は公の場に姿は見せなかったと言う訳か。
全く奴ららしい。影から人を操り、好機を伺い隙を狙う――昔から変わらず卑怯な連中だ」
私の話を聞き終えたルリ様は何か思い出したのか、眉を顰め怒気の籠った口調で吐き捨てた。
「昔から知っているような口ぶりね。それでは聞かせてもらえるかしら?貴方の知っている魔族に関する事を」
成り行きを見守っていたユキが口を開く。ルリ様に先を促すように問いかけた。
「そうだな。では約束通り、今度は妾が話す番だな」
そう前置きをして彼女は静かに語り出した――。
「これは千年以上前の話だ――」
語られたのは想像も出来ないような遥か昔の出来事――。
千年以上前――まだ魔族が日常の中に当たり前に存在していた頃。
この時代は現在と比べてしまうと、殺伐としており、小さなきっかけで簡単に戦争を勃発させていた。
種族としては人間も存在はしていたものの、中でも圧倒的力を誇っていのは魔族とヴァンパイアであって。
この二大勢力の前では、人間達など為す術はなく、唯々自分達に矛先が向かぬよう息を顰め、いつ襲われその命が儚く散るかもしれないと言う恐怖と日々戦っていたのだった。
そんな人間の気持ちに等気にも留めず、魔族とヴァンパイアは自分本位の戦いを日々繰り広げる。
戦争の理由は様々。領土支配、物資略奪、種族の違い、力比べ等々。言い出したらキリがないが、ほとんどがくだらない理由であり、その争いに巻き込まれる他種族はたまったものではない。
ただでさえ規格外な力を有した種族達だ。彼等にとっては可愛い喧嘩かもしれないが、人々にとっては脅威でしかない。
そしてその二つの勢力の内、魔族は彼らを束ねる王と言う存在がいないが、ヴァンパイアにはその王が存在していた。
若き王と妃。二人の支配者。
若いと言っても長寿のヴァンパイアの中での話であり、二人は既に数百年は生きている。
そんな二人はとても聡明であり、身体能力も特に優れていた。王族の中でも稀に見る奇才であった。
王族であり優れた能力を併せ持つ二人は、力が指針であり、自分よりも弱い者には絶対に従わない信念を持つヴァンパイア達を纏め、当たり前のように従わせていた。
ただしそれは二人の力を認めている者達に限った話であり、二人の主義に意義を成す者達は確かに存在した。彼らは派閥を作り、好き勝手力を振るっていた。そのヴァンパイア達が主にこのくだらない戦争を引き起こしていたのだった。
考えは人それぞれと言うが、力を持っていようと、国を治め同族を従わせる資質があろうとも、全てのヴァンパイアの考えを変える事は出来ない。
戦争も絶えず起こり、王族の二人も困り果てていた。力があろうとなかろうと無駄な血を流す事を二人は好まない。
だからこそどうにかして魔族との争いを終わらせたいと日々思っていたのだ。
そんな時だ。
二人の間に一人の子供が生まれたのは――。
紅のような真っ赤な髪をした娘であった。
争いの真っただ中にも関わらず、戦争の苦しみを癒してくれる存在として、彼女――幼き王女は両親、そして配下の者達にとても大切にされた。
だが王女の誕生は、一時の平穏をもたらすと共に、邪な者共の格好の標的となってしまう。
いかに王の子と言えど、王女はまだ小さな赤子。
その尊き血筋、能力を求める者、妬みから害そうと、亡きものにしようとする輩と様々な思惑によって、幼き王女は生まれた瞬間からその命を狙われる事となってしまった。
そして魔族も同様に王女が生まれた事を知った奴等は王女を狙い大胆にも、ヴァンパイアの王国――その中心である王城を攻め入ったのだ。
不運はそれだけでなく更に続いた。
この時、王城に攻め入って来た輩の中には、強大な能力を持った魔族がおり、王女を守る王と妃にその猛威を振るった。
魔族一体であれば防戦一方となる事もなかっただろうに、惜しくも攻め入って来た魔族は多数。それも前触れもなく突然に。
当時、王女達三人の他に城には多数のヴァンパイアが警備に当たっていたが、ヴァンパイア側にも多少の油断があったのもあり、数いる魔族に手間取り、気づいた時には王女達は完全に孤立してしまっていた。
こうなってしまっては行動も限られてくる。王と妃の取った行動はただ一つ。
王女を守る為に戦った。
しかし、相手はそこらにいる雑魚ではない。
長きにわたる攻防の末、その果てに二人は魔族を瀕死の状態まで追い込んだものの自分達も同じく深手を負ってしまう。
このままでは王女の身が危険と判断し、二人は最後の力を振り絞りその場にいた魔族をどうにか退けると、漸く三人の元へ駆けつけていた配下のヴァンパイアへ王女とその後の事を託した。
――そして王と妃は長い長い眠りへとついた。
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