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第11章 紅姫と四黎公
5 四黎公
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あれ…?誰だろう?
城下町の探索を終え、王城へと戻った私達は、門をくぐったところでふと足を止める。
視線の先には一目で貴族と分かる服装をした、何人かの見知らぬ男女が集まっていた。私の記憶が正しければ滞在中一度も会った事のない人達。
全員共に見た目は若く見目麗しい外見をしており、少し距離があっても分かる程綺麗な赤い瞳をしていた。
ルリ様と同じく、ヴァンパイア特有の目だ。
もしかして――。
「戻ったのか。我が国の城下町はどうだった?」
私が見知らぬ彼等に目を奪われていると、いつの間にか傍にいたルリ様が興味津々と言った表情で私の顔を覗き込んでいた。そんな彼女の傍らにはクラウスさんもいて、まるで子どもを見守る親のような表情で見られていた。
そんな二人に私は若干引き攣りつつも笑顔を浮かべる。
「た、只今戻りました。えっと、とても楽しかったですよ。
それに皆さんとても明るくて、町も活気に溢れていて素敵な場所でした」
「それは何よりだ。エルが楽しそうで妾も嬉しいぞ。また時間があれば行って来ると良い。
と、戻って来て早々にすまない。だがタイミングが良いからな悪いが紹介だけさせてくれ。
どうせまた顔を合わせる事になるとは思うが」
そう言いルリ様は正体不明の彼等に視線を向ける。
するとそれを合図に彼等の視線が一斉にこちらを向き、空気が張りつめるのを肌で感じた。
「紹介しよう。以前王家直属の配下――吸血鬼の精鋭の話をしただろう。
彼等がその精鋭であり、王家に次ぐ権力と実力を持っている四大貴族、通称――四黎公と呼ばれる者達だ」
やっぱりそうなんだ。
ただ者ではないオーラは凄く感じていたけど…、こうしてみると確かに精鋭としての威厳がある。
その中でも一番大人びた雰囲気を持つ、一人の青年がスッと前に出て来ると徐に片足を後ろに引き、右手を胸に添えた優雅な動作で会釈をした。
一連の所作と見た目が何とも絵になる。
「お初にお目にかかる。私はシグルド・カレンドゥラ。
ルリアーナ様の配下、四黎公の一人であり、カレンドゥラ公爵家の当主だ。
貴殿がエルシア嬢だな?ルリアーナ様から話は聞いている。
以後お見知りおきを」
表情一つ変えず淡々と挨拶をすると、最後にまた会釈で一連の動きを締め括る。
外見は十八歳程だろうか。髪と言い衣装と言い全体的に黒で統一されており、ただ髪の毛先だけが青色の珍しいグラデーションとなっているのが目に付く美青年。
雰囲気や性格が相まってか推測年齢よりも大人びて見える。
更に笑みを一つも浮かべていないにも関わらず、冷たい印象は受けず、寧ろ彼には好印象を抱くのだから不思議な感覚を覚える。
そんな青年にはっと我に返った私は、基本となる挨拶カーテシーの姿勢をとる。
「お初にお目にかかります。
隣国オルデシア王国から参りました。
シェフィールド侯爵家の次女、エルシア・シェフィールドと申します。後ろの二人は私の従者、ルカと侍女、アリンです。
ルリアーナ様から四黎公の皆様のお話は伺っています。こちらこそ以後お見知りおきを」
少し堅苦しいけれどこれが貴族の挨拶と言うもの。ここまで畏まった挨拶は久しいものの、私も一応は教育を受けた令嬢。急にこういった場面に遭遇してもやればできるものね。
「あらあら、二人してお堅い事。いくら姫様の前だからと言って、畏まり過ぎではなくて?」
「姉様の仰る通りですね」
シンとした空間を切り裂くような、心地の良い声が二つ。
声の方を見れば口元に笑みを浮かべ私を見つめる少女と、少女に寄り添うように傍らに立ち同じく笑みを浮かべる少年。
彼女達は髪型や服装は違うものの、顔の造形は同じように見える。双子と言うものだろうか?
少女の方は外見十四歳程だろうか。
腰まである癖のない金髪に赤い瞳の美少女。服装も清楚であり、柔らかい面差しなのだが、何処か作られているような変な違和感を感じる。
そして少年も年齢、髪色共に少女と同じく、髪の長さだけが肩につかないように切り揃えられており、清潔さが見て取れる。一見大人しそうな美少年だ。
「急に口を挟んでしまって申し訳ありませんわね。
私はセフィリア。四黎公の一つ、ガノファーノ侯爵家の当主を務めておりますわ。
この子は私の双子の弟、ラルフ。以後お見知りおきを」
そう言って双子は優雅にカーテシーの姿勢をとる。その際動きが息を吐く様にシンクロしていて、流石双子だななんて呑気な事を思ってしまった。
「セフィリア達の言う通りだ。妾がいるからと言って双方、そう堅くならずとも良い。もっと楽にしてくれ。
――では後は妾が紹介しよう」
ルリ様は双子に同意を示すと、今度は別の二組の男女を指し示した。
「彼女はリタ。四黎公の一つ、カメリア家の当主だ。
そして隣にいるのが彼女の双子の弟、フィル」
ルリ様が簡単に説明すると、紹介された男女二人は応えるように一歩前に躍り出る。そして先に少女の方が口を開いた。
「ふん、姫様のご紹介だから挨拶してあげるわ。
私はリタ。カメリア侯爵家の当主よ。
感謝しなさい。私達みたいな高貴な存在には、言葉を交わせるどころか普通会う事すら叶わないのだから。
人間の令嬢だか何だか知らないけれど、あまり調子に乗らない事ね。
ほら、フィル。あんたも一応挨拶しなさい」
「……カメリア侯爵家のフィルだ」
年齢は先程の双子と同じ年頃だろうか。
少女の方は腰まである、長く波打っている濃い青色の髪をハーフアップに纏めている。
容姿は美しいのだが、態度が些か大きいようだ。腰に手を当て言葉にもある通り、あからさまな人を見下すような視線を向けて来る強気な少女。
双子の弟と言われていた少年も姉同様、波打った濃い青髪と赤の瞳を持った、態度に難ありな性格らしい。
少女の衣装は黒ベースのフリル全快と言った感じで、ゴスロリに近い印象を受ける。外見は二人共とても可愛らしいのに何と言ってもやはり態度だ。態度が悪い……。
セフィリア、ラルフ姉弟とは対照的な双子。
所謂白と黒のような。
……それにしても分かりやすいな。全部態度に出ちゃってるよ。
「相変わらず品がないわねリタ。同じ四黎公として恥ずかしいからやめてちょうだい」
「あら、そっちこそいっつも猫被ってて、気取った顔しちゃって、気持ち悪いったらありゃしないわ。あんたこそやめてくれるかしら」
「…姉様に何て口の利き方を!」
「ラルフ、お前こそ口を挟んでくるなよ、騒がしい」
……なんか喧嘩が始まっちゃった?
居た堪れない…、気まずいよ……。
いつもこんな感じなのかな?火花散ってるよ……。
「お前達場を弁えろ。まだ姫様の話の途中だ」
今にも手が出そうな状況の中、冷静で静かな声がそこに割って入る。最初に自ら挨拶をしてくれた好青年、シグルドさんだった。
「なっ…、何よ!先に口を出してきたのはセフィリアよっ!文句があるのなら――」
「リタ、二度はない。まだ続けるのなら次は実力行使と行くが」
彼の言葉か態度に対してなのか、とにかく気に入らない様子の双子の姉、リタが更に言い募ろうとすると、それを読んでいたかのように、シグルドさんの鋭い言葉と視線が遮った。
それには流石の傍若無人のリタであっても言葉に詰まってしまう。悔しそうに彼を睨みつけるだけしか出来ないようだ。
他の三人もリタ程ではないにしろ、口を閉じて反省している様子。
シグルドさん凄い。一言で彼女達を黙らせてしまうなんて……、これが威厳ってやつ?
「すまないなシグルド。
では最後に四黎公の一つ、ラヴァンダ家当主であるリゼルを紹介する」
さて、と気を取り直し最後に紹介されたのは年齢が十五歳程だろうか。雪のように真っ白な髪が儚い印象を与え、そのコントラストが相まって赤い瞳がとても美しく見える。そんな少女?
「騒がしくて申し訳ないな。
お初にお目にかかる。ルリアーナ様から紹介があったように、僕の名前はリゼル。四黎公の一つ、ラヴァンダ侯爵家の当主を務めている。以後お見知りおきを。
同僚がすまない。こいつらに代わって謝罪しよう」
顔が中世的な為、女の子か男の子か一見見分けがつかなかったが、今の一人称が僕である事と、声からすると男の子でだろう少年、リゼルさんはシグルドさんがしたものと同じ動作で優雅な挨拶をするのであった。
「いえ、お気になさらず。ご丁寧にありがとうございます。
こちらこそお見知りおきを」
咄嗟に私がそう返すと彼は顔を上げにこりと微笑んだ。きっと純粋な乙女が食らったらイチコロであろう表情で。
「彼等が現四黎公であり四大貴族でもある者達だ。
性格に難はあれど、その実力は確かなもので妾も一目を置いている。
まあ今後アインフェルト王国へ訪れれば、何かと関わる事もあるだろうからな。双方仲良くしてくれ。
それと先に言っておくがエルシアは妾の大切な友だ。丁重に扱うように」
以上、そう締めくくるルリ様の口元は笑っているのに、その目は笑っていないような気がする……。
しかも最後の方は何となく双子の姉、リタに向けられているような気もしなくもない。ルリ様も怒っている?
気付かれないよう、そっとリタの方を盗み見れば、彼女は顔を赤くして俯いていた。
……どうやら正解だったようだ。
その後の事は、急だったしただの顔合わせと言う事でこれで解散、とルリ様が宣言した事により、この顔会わせは終了したのだが、私の心の中には少し不安な気持ちが残る。
威厳はあれど個性的な人達――四黎公。
彼等との出会いが果たして吉と出るか凶と出るか、まだこの時の私には想像も付かないのであった――。
城下町の探索を終え、王城へと戻った私達は、門をくぐったところでふと足を止める。
視線の先には一目で貴族と分かる服装をした、何人かの見知らぬ男女が集まっていた。私の記憶が正しければ滞在中一度も会った事のない人達。
全員共に見た目は若く見目麗しい外見をしており、少し距離があっても分かる程綺麗な赤い瞳をしていた。
ルリ様と同じく、ヴァンパイア特有の目だ。
もしかして――。
「戻ったのか。我が国の城下町はどうだった?」
私が見知らぬ彼等に目を奪われていると、いつの間にか傍にいたルリ様が興味津々と言った表情で私の顔を覗き込んでいた。そんな彼女の傍らにはクラウスさんもいて、まるで子どもを見守る親のような表情で見られていた。
そんな二人に私は若干引き攣りつつも笑顔を浮かべる。
「た、只今戻りました。えっと、とても楽しかったですよ。
それに皆さんとても明るくて、町も活気に溢れていて素敵な場所でした」
「それは何よりだ。エルが楽しそうで妾も嬉しいぞ。また時間があれば行って来ると良い。
と、戻って来て早々にすまない。だがタイミングが良いからな悪いが紹介だけさせてくれ。
どうせまた顔を合わせる事になるとは思うが」
そう言いルリ様は正体不明の彼等に視線を向ける。
するとそれを合図に彼等の視線が一斉にこちらを向き、空気が張りつめるのを肌で感じた。
「紹介しよう。以前王家直属の配下――吸血鬼の精鋭の話をしただろう。
彼等がその精鋭であり、王家に次ぐ権力と実力を持っている四大貴族、通称――四黎公と呼ばれる者達だ」
やっぱりそうなんだ。
ただ者ではないオーラは凄く感じていたけど…、こうしてみると確かに精鋭としての威厳がある。
その中でも一番大人びた雰囲気を持つ、一人の青年がスッと前に出て来ると徐に片足を後ろに引き、右手を胸に添えた優雅な動作で会釈をした。
一連の所作と見た目が何とも絵になる。
「お初にお目にかかる。私はシグルド・カレンドゥラ。
ルリアーナ様の配下、四黎公の一人であり、カレンドゥラ公爵家の当主だ。
貴殿がエルシア嬢だな?ルリアーナ様から話は聞いている。
以後お見知りおきを」
表情一つ変えず淡々と挨拶をすると、最後にまた会釈で一連の動きを締め括る。
外見は十八歳程だろうか。髪と言い衣装と言い全体的に黒で統一されており、ただ髪の毛先だけが青色の珍しいグラデーションとなっているのが目に付く美青年。
雰囲気や性格が相まってか推測年齢よりも大人びて見える。
更に笑みを一つも浮かべていないにも関わらず、冷たい印象は受けず、寧ろ彼には好印象を抱くのだから不思議な感覚を覚える。
そんな青年にはっと我に返った私は、基本となる挨拶カーテシーの姿勢をとる。
「お初にお目にかかります。
隣国オルデシア王国から参りました。
シェフィールド侯爵家の次女、エルシア・シェフィールドと申します。後ろの二人は私の従者、ルカと侍女、アリンです。
ルリアーナ様から四黎公の皆様のお話は伺っています。こちらこそ以後お見知りおきを」
少し堅苦しいけれどこれが貴族の挨拶と言うもの。ここまで畏まった挨拶は久しいものの、私も一応は教育を受けた令嬢。急にこういった場面に遭遇してもやればできるものね。
「あらあら、二人してお堅い事。いくら姫様の前だからと言って、畏まり過ぎではなくて?」
「姉様の仰る通りですね」
シンとした空間を切り裂くような、心地の良い声が二つ。
声の方を見れば口元に笑みを浮かべ私を見つめる少女と、少女に寄り添うように傍らに立ち同じく笑みを浮かべる少年。
彼女達は髪型や服装は違うものの、顔の造形は同じように見える。双子と言うものだろうか?
少女の方は外見十四歳程だろうか。
腰まである癖のない金髪に赤い瞳の美少女。服装も清楚であり、柔らかい面差しなのだが、何処か作られているような変な違和感を感じる。
そして少年も年齢、髪色共に少女と同じく、髪の長さだけが肩につかないように切り揃えられており、清潔さが見て取れる。一見大人しそうな美少年だ。
「急に口を挟んでしまって申し訳ありませんわね。
私はセフィリア。四黎公の一つ、ガノファーノ侯爵家の当主を務めておりますわ。
この子は私の双子の弟、ラルフ。以後お見知りおきを」
そう言って双子は優雅にカーテシーの姿勢をとる。その際動きが息を吐く様にシンクロしていて、流石双子だななんて呑気な事を思ってしまった。
「セフィリア達の言う通りだ。妾がいるからと言って双方、そう堅くならずとも良い。もっと楽にしてくれ。
――では後は妾が紹介しよう」
ルリ様は双子に同意を示すと、今度は別の二組の男女を指し示した。
「彼女はリタ。四黎公の一つ、カメリア家の当主だ。
そして隣にいるのが彼女の双子の弟、フィル」
ルリ様が簡単に説明すると、紹介された男女二人は応えるように一歩前に躍り出る。そして先に少女の方が口を開いた。
「ふん、姫様のご紹介だから挨拶してあげるわ。
私はリタ。カメリア侯爵家の当主よ。
感謝しなさい。私達みたいな高貴な存在には、言葉を交わせるどころか普通会う事すら叶わないのだから。
人間の令嬢だか何だか知らないけれど、あまり調子に乗らない事ね。
ほら、フィル。あんたも一応挨拶しなさい」
「……カメリア侯爵家のフィルだ」
年齢は先程の双子と同じ年頃だろうか。
少女の方は腰まである、長く波打っている濃い青色の髪をハーフアップに纏めている。
容姿は美しいのだが、態度が些か大きいようだ。腰に手を当て言葉にもある通り、あからさまな人を見下すような視線を向けて来る強気な少女。
双子の弟と言われていた少年も姉同様、波打った濃い青髪と赤の瞳を持った、態度に難ありな性格らしい。
少女の衣装は黒ベースのフリル全快と言った感じで、ゴスロリに近い印象を受ける。外見は二人共とても可愛らしいのに何と言ってもやはり態度だ。態度が悪い……。
セフィリア、ラルフ姉弟とは対照的な双子。
所謂白と黒のような。
……それにしても分かりやすいな。全部態度に出ちゃってるよ。
「相変わらず品がないわねリタ。同じ四黎公として恥ずかしいからやめてちょうだい」
「あら、そっちこそいっつも猫被ってて、気取った顔しちゃって、気持ち悪いったらありゃしないわ。あんたこそやめてくれるかしら」
「…姉様に何て口の利き方を!」
「ラルフ、お前こそ口を挟んでくるなよ、騒がしい」
……なんか喧嘩が始まっちゃった?
居た堪れない…、気まずいよ……。
いつもこんな感じなのかな?火花散ってるよ……。
「お前達場を弁えろ。まだ姫様の話の途中だ」
今にも手が出そうな状況の中、冷静で静かな声がそこに割って入る。最初に自ら挨拶をしてくれた好青年、シグルドさんだった。
「なっ…、何よ!先に口を出してきたのはセフィリアよっ!文句があるのなら――」
「リタ、二度はない。まだ続けるのなら次は実力行使と行くが」
彼の言葉か態度に対してなのか、とにかく気に入らない様子の双子の姉、リタが更に言い募ろうとすると、それを読んでいたかのように、シグルドさんの鋭い言葉と視線が遮った。
それには流石の傍若無人のリタであっても言葉に詰まってしまう。悔しそうに彼を睨みつけるだけしか出来ないようだ。
他の三人もリタ程ではないにしろ、口を閉じて反省している様子。
シグルドさん凄い。一言で彼女達を黙らせてしまうなんて……、これが威厳ってやつ?
「すまないなシグルド。
では最後に四黎公の一つ、ラヴァンダ家当主であるリゼルを紹介する」
さて、と気を取り直し最後に紹介されたのは年齢が十五歳程だろうか。雪のように真っ白な髪が儚い印象を与え、そのコントラストが相まって赤い瞳がとても美しく見える。そんな少女?
「騒がしくて申し訳ないな。
お初にお目にかかる。ルリアーナ様から紹介があったように、僕の名前はリゼル。四黎公の一つ、ラヴァンダ侯爵家の当主を務めている。以後お見知りおきを。
同僚がすまない。こいつらに代わって謝罪しよう」
顔が中世的な為、女の子か男の子か一見見分けがつかなかったが、今の一人称が僕である事と、声からすると男の子でだろう少年、リゼルさんはシグルドさんがしたものと同じ動作で優雅な挨拶をするのであった。
「いえ、お気になさらず。ご丁寧にありがとうございます。
こちらこそお見知りおきを」
咄嗟に私がそう返すと彼は顔を上げにこりと微笑んだ。きっと純粋な乙女が食らったらイチコロであろう表情で。
「彼等が現四黎公であり四大貴族でもある者達だ。
性格に難はあれど、その実力は確かなもので妾も一目を置いている。
まあ今後アインフェルト王国へ訪れれば、何かと関わる事もあるだろうからな。双方仲良くしてくれ。
それと先に言っておくがエルシアは妾の大切な友だ。丁重に扱うように」
以上、そう締めくくるルリ様の口元は笑っているのに、その目は笑っていないような気がする……。
しかも最後の方は何となく双子の姉、リタに向けられているような気もしなくもない。ルリ様も怒っている?
気付かれないよう、そっとリタの方を盗み見れば、彼女は顔を赤くして俯いていた。
……どうやら正解だったようだ。
その後の事は、急だったしただの顔合わせと言う事でこれで解散、とルリ様が宣言した事により、この顔会わせは終了したのだが、私の心の中には少し不安な気持ちが残る。
威厳はあれど個性的な人達――四黎公。
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