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サイドストーリー③皇太子の復讐8
しおりを挟む晴人がすべてを知った時、僕はどんな罵詈雑言でも受け止めて頭を下げると決めていた。
恨まれても憎まれてもいい。僕は晴人を殺した張本人なんだ。
だからすべてを話し終え、僕を責める言葉が晴人の口から出るだろうと思っていた。
それなのに...晴人は恨み言どころか僕に謝罪した。救ってやれなくてごめんと、頭を下げたのだ。
「...初めてカグラと目が合った時に気付いたんだ。カグラも俺と同じ転生者で、俺を虐めたアイツだって。」
「!!!」
「その時に誓ったんだ。どんな犠牲を払おうと、あの男に復讐してやるってね。」
晴人に何も話さなかったのも、復讐も全部自分で選んだ事だ。
だから、晴人が謝る必要なんてない。
「お前...馬鹿だな。」
「馬鹿って...」
「全部捨てれば...前世の事なんて忘れて、この世界で幸せに暮らせばよかったんだ。」
苦しそうに眉を顰める晴人の姿に胸が痛む。
「...捨てれたらよかったよ。でもカグラがアイツだと分かった時、俺の中にあったのはアイツに対する憎しみだった。...アイツは...カグラはどうなった?」
「カグラなら牢屋に入ってる頃だろうよ。」
「そうか...」
カグラは罪を償う事になる。
そして僕も...
「クレノ、大丈夫か?」
レイの心配したような声が部屋に響く。
「レイが心配してる。もう行きなよ。」
(愛してる人を心配させちゃダメだよ。優しい晴人なら分かるよね?)
「...そうだな。」
晴人は立ち上がり、僕に背を向けて歩き出す。
「...真白。」
「何?」
立ち止まった晴人は振り向かない。
「俺はどんなに真白が俺を傷付けて裏切ってもいい。...何をされたとしても真白は、俺にとって唯一無二の大切な親友だから。
...ありがとう。前世でも今世でも、真白に出会えてよかった。」
その震え、涙を堪えてるような声に目尻が熱くなる。
(僕も...)
「...じゃあな。」
部屋を出ようとドアノブに手をかけた晴人の後ろ姿に叫ぶ。
「っ...晴人!ありがとうっ...!俺と出会ってくれて...親友だと言ってくれて、ありがとう!」
ありがとう。晴人は今も、これからもずっと僕にとって唯一無二の親友だ。
「おう!」
振り返り満面の笑顔を向ける晴人の顔を、僕は一生忘れる事はないだろう。
「またな、真白!」
「うん!またね、晴人!」
晴人の姿が扉の奥へと消えた瞬間、晴人の泣き声と僕の名前を叫ぶ声が聞こえてくる。
「っ...晴人っ...!」
楽しかった晴人との日々を思い出しながら、僕は一人涙を流し続けた。
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