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光が弾けた。
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領地で彫金の練習をしながらまったりと魔法具を作る。
わたくしの魔力は他の貴族に比べたらけっこう高めだから、魔法具に魔力を込めるのはけっこう簡単にできる。
たまに失敗して壁を焼いちゃったり天井に穴をあけちゃったりすることがあるから、お屋敷で作業をするのはやめておけってマクギリウスに言われたのが、こうして山小屋を使おうと思うきっかけだった。
そんな感じで秋が来て冬が終わり。
春の花が満開になった頃。王都でラインハルト様とマリアーナの結婚披露宴がおこなわれたと聞いた。
ラインハルト様とマリアーナの連名で招待状が届いていたけどもちろん無視して。
お父様からも「流石に妹の結婚式なのだから顔を出しなさい」と手紙が届いたけれど、だれが行くものか。
そう思って無視をし続けた。
そして。
初夏の香りが漂よう季節になった頃の事だった。
♢ ♢ ♢
「アリーシア。お願いだ、私の元に帰ってきてくれないか」
いきなりわたくしの小屋に現れた彼は、挨拶もそこそこにそうおっしゃった。
「君が再婚するそぶりもなく田舎に篭って出て来なくなってしまったとお義父さんに聞いた。悲しがっていたと。私の事が忘れられないのだと」
感情を押し殺したようなお顔のラインハルト様は早口で言葉を紡いでいく。
「そんなのは私の本意ではなかった。君を悲しませるつもりなんて毛頭もなかったのに。あの時王国祭に誘ったのも、君の為を思えばこそだったのに」
「あなたはもうマリアーナと結婚したのでしょう? 何を今更おっしゃっているのですか?」
呆れてそう言い返す。
「君が望むなら、もう一度よりを戻そう。なに、姉妹を二人とも妻に娶った者がいなかったわけではないし、マリアーナはそれでも構わないと言ってくれている。だから」
「ふざけないで! あなたは、あなたたちは、わたくしのためわたくしのためと言いながら一度もわたくしの気持ちを考えてくださったことなんか無かった。今更帰ってこいですって? そんな事できるわけないでしょう?」
「なぜだ!? 君はあんなにも私に尽くしてくれていたじゃないか」
ここまできて、やっと感情をあらわした彼。まさか、本気でわたくしがそんな簡単に帰るだなんて思っていたのだろうか?
「そのわたくしの気持ちを踏みにじってくださったあなたに言われたくはありませんわ」
「では、どうしたら戻ってきてくれるんだ?」
「だから、戻りませんと言っていますのに」
「これほど頼んでもか?」
「それが頼んでいる人の態度ですか? というか、どうして今更わたくしを連れ戻そうなどと思ったのですか? わたくしのため、だなんて嘘だってことくらいわかりますよ?」
「それは……」
言い淀むラインハルト様。
「はっ。おおかた事業に行き詰まったんだろうよ。たったの一年でお嬢の稼いだ貯金を使い果たしたってところか?」
「っく、キサマ、従業員のくせにその言葉遣いはなんだ!」
「はん! お前みたいなボンクラにはこれで充分だろ」
って、マクギリウス?
いつのまにかわたくしの隣に立っていたマクギリウスが、ラインハルト様を睨みつけている。
って、ちょっと、言いすぎよマクギリウスったら。
でも、少しだけスッキリした。
反論になってないって事は、マクギリウスの言っている事は概ね間違っちゃいないんだろう。
「この! 平民風情が!」
激昂したラインハルト様が腰のサーベルを抜く。
いや!
ダメ!
振り下ろされるサーベルの前に、滑り込むように立った。
時間がゆっくりに感じて。
両手を広げてマクギリウスの前に立ったわたくしの正面に、鈍く光る剣先が振り下ろされ。
光が弾けた。
わたくしの魔力は他の貴族に比べたらけっこう高めだから、魔法具に魔力を込めるのはけっこう簡単にできる。
たまに失敗して壁を焼いちゃったり天井に穴をあけちゃったりすることがあるから、お屋敷で作業をするのはやめておけってマクギリウスに言われたのが、こうして山小屋を使おうと思うきっかけだった。
そんな感じで秋が来て冬が終わり。
春の花が満開になった頃。王都でラインハルト様とマリアーナの結婚披露宴がおこなわれたと聞いた。
ラインハルト様とマリアーナの連名で招待状が届いていたけどもちろん無視して。
お父様からも「流石に妹の結婚式なのだから顔を出しなさい」と手紙が届いたけれど、だれが行くものか。
そう思って無視をし続けた。
そして。
初夏の香りが漂よう季節になった頃の事だった。
♢ ♢ ♢
「アリーシア。お願いだ、私の元に帰ってきてくれないか」
いきなりわたくしの小屋に現れた彼は、挨拶もそこそこにそうおっしゃった。
「君が再婚するそぶりもなく田舎に篭って出て来なくなってしまったとお義父さんに聞いた。悲しがっていたと。私の事が忘れられないのだと」
感情を押し殺したようなお顔のラインハルト様は早口で言葉を紡いでいく。
「そんなのは私の本意ではなかった。君を悲しませるつもりなんて毛頭もなかったのに。あの時王国祭に誘ったのも、君の為を思えばこそだったのに」
「あなたはもうマリアーナと結婚したのでしょう? 何を今更おっしゃっているのですか?」
呆れてそう言い返す。
「君が望むなら、もう一度よりを戻そう。なに、姉妹を二人とも妻に娶った者がいなかったわけではないし、マリアーナはそれでも構わないと言ってくれている。だから」
「ふざけないで! あなたは、あなたたちは、わたくしのためわたくしのためと言いながら一度もわたくしの気持ちを考えてくださったことなんか無かった。今更帰ってこいですって? そんな事できるわけないでしょう?」
「なぜだ!? 君はあんなにも私に尽くしてくれていたじゃないか」
ここまできて、やっと感情をあらわした彼。まさか、本気でわたくしがそんな簡単に帰るだなんて思っていたのだろうか?
「そのわたくしの気持ちを踏みにじってくださったあなたに言われたくはありませんわ」
「では、どうしたら戻ってきてくれるんだ?」
「だから、戻りませんと言っていますのに」
「これほど頼んでもか?」
「それが頼んでいる人の態度ですか? というか、どうして今更わたくしを連れ戻そうなどと思ったのですか? わたくしのため、だなんて嘘だってことくらいわかりますよ?」
「それは……」
言い淀むラインハルト様。
「はっ。おおかた事業に行き詰まったんだろうよ。たったの一年でお嬢の稼いだ貯金を使い果たしたってところか?」
「っく、キサマ、従業員のくせにその言葉遣いはなんだ!」
「はん! お前みたいなボンクラにはこれで充分だろ」
って、マクギリウス?
いつのまにかわたくしの隣に立っていたマクギリウスが、ラインハルト様を睨みつけている。
って、ちょっと、言いすぎよマクギリウスったら。
でも、少しだけスッキリした。
反論になってないって事は、マクギリウスの言っている事は概ね間違っちゃいないんだろう。
「この! 平民風情が!」
激昂したラインハルト様が腰のサーベルを抜く。
いや!
ダメ!
振り下ろされるサーベルの前に、滑り込むように立った。
時間がゆっくりに感じて。
両手を広げてマクギリウスの前に立ったわたくしの正面に、鈍く光る剣先が振り下ろされ。
光が弾けた。
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