39 / 66
セール。
しおりを挟む
王都に帰ってきてからもずっとお部屋に閉じこもっていたから、こうして外の景色をながめるのも久しぶりだった。
まあでも、わたくしはもともとそんなに外を歩いたこともなかったなって思い返す。
ブラウド商会の時にも現場に出るのは大概マクギリウスのお仕事で、仕入れの交渉ごとなども基本お手紙で、最終的には侯爵家の執務室に出向いてもらっていたから。
あの部屋はブラウド様がずっとお使いになっていただけあって、重厚な質感となんとも云われぬオーラみたいのをまきちらしている。
だからかな。
わたくしみたいな小娘でも、机にどんと座っているだけでちゃんと大物感を出せたみたい。
そんな演出の助けもなければ流石に一四歳の小娘に大商会の会頭なんて務まらなかったとおもうのだ。
黒のフリフリがいっぱいな日傘をさして、しずしずと街を歩く。
斜め後ろにはマクギリウス。
黒づくめで長身。おまけに超のつくくらいのハンサムな執事とあって、周囲から悪目立ちしちゃってる。
確かにいつものマクギリウスとは印象が違うとはいえ、ここまで目立つのはちょっと……。
知っている人にじろじろ見られたらバレちゃうんじゃないかって、そんな不安がよぎる。
「お嬢様。足がとまってますよ。何かございましたか?」
「もう。やっぱり目立ちすぎよ」
「まあ、それは諦めましょう。どのみち外に出ればそういうデメリットもありますから。それよりも、せっかく外に出たんですからね、ちゃんと楽しんでくださいよ。お嬢様?」
「そ、そうよね」
そうよね。心配してもしょうがない。バレる時にはバレるものだし、それにわたくしたちが王都にいるのがわかったところですぐにアリリウス商会と結びつくわけじゃないもの。もう十分、アリリウス商会はグラブル商会の分家だ、みたいな噂は広まった。だからそこまで神経質にならなくても大丈夫、な気もするし。
今住んでいるのは宝石アクセサリー魔法具のお店、マギアアリア本店の上階。王都のほぼほぼ中心にある商店街。それもほぼど真ん中に位置してた。
そこからエリカティーナのお店までは歩いて少しだけどそれでも大通りを一区画は歩かなきゃいけない。それと、王都の残り二店舗は貴族街と下町にそれぞれあって、そこも今回は見てまわりたいと思っているから。
ずっと歩きは流石に疲れるから途中馬車を使わないと無理。
乗合馬車は敷居が高い。
今回はマクギリウスが貸切の辻馬車を手配してくれていたからそれを使う予定。
まあね、エルグランデ家の家紋入りの馬車を使うわけにはいかないし。
エリカティーナの前までくるとけっこうな人だかりができていた。
この中央店は主に商家の女性がターゲットで、お値段もお高いものからお値打ちなものまで取り揃えている、いわば服飾ブランドエリカティーナのパイロットショップだ。
ほぼ全ての商品を取り揃えていることから、売れ筋の見極め、新しい流行の発信、ブランドとしてのエリカティーナのイメージを決める、大事なお店。
ここで成功すればどこにいっても大丈夫。
そんな感じ。
「セールは順調のようね」
「ええお嬢様。どうします、中もご覧になりますか?」
「ううん、いいわ。人だかりの中に入るのはちょっとね。あ、あそこのお嬢様新作を買ってくださってるわ」
「そうですね。新作用のラッピングがされていますね。あれもお嬢様のアイデアでしたっけ」
「ふふ。買ってくださったお客様がああして新作デザインのラッピングを持ってくだされば、他のお客様の目もひきますからね。もともとエリカティーナは安かろう悪かろうのお店じゃありませんから、流行のデザインをいち早く身につけたいといったお客様の顕示欲をそそる戦略でしたからね。半額セールはあくまでとっかかり。大々的に宣伝することで訪れてくださったお客様にメインの新作に目を向けて貰うのが目的でしたから」
まあでも、わたくしはもともとそんなに外を歩いたこともなかったなって思い返す。
ブラウド商会の時にも現場に出るのは大概マクギリウスのお仕事で、仕入れの交渉ごとなども基本お手紙で、最終的には侯爵家の執務室に出向いてもらっていたから。
あの部屋はブラウド様がずっとお使いになっていただけあって、重厚な質感となんとも云われぬオーラみたいのをまきちらしている。
だからかな。
わたくしみたいな小娘でも、机にどんと座っているだけでちゃんと大物感を出せたみたい。
そんな演出の助けもなければ流石に一四歳の小娘に大商会の会頭なんて務まらなかったとおもうのだ。
黒のフリフリがいっぱいな日傘をさして、しずしずと街を歩く。
斜め後ろにはマクギリウス。
黒づくめで長身。おまけに超のつくくらいのハンサムな執事とあって、周囲から悪目立ちしちゃってる。
確かにいつものマクギリウスとは印象が違うとはいえ、ここまで目立つのはちょっと……。
知っている人にじろじろ見られたらバレちゃうんじゃないかって、そんな不安がよぎる。
「お嬢様。足がとまってますよ。何かございましたか?」
「もう。やっぱり目立ちすぎよ」
「まあ、それは諦めましょう。どのみち外に出ればそういうデメリットもありますから。それよりも、せっかく外に出たんですからね、ちゃんと楽しんでくださいよ。お嬢様?」
「そ、そうよね」
そうよね。心配してもしょうがない。バレる時にはバレるものだし、それにわたくしたちが王都にいるのがわかったところですぐにアリリウス商会と結びつくわけじゃないもの。もう十分、アリリウス商会はグラブル商会の分家だ、みたいな噂は広まった。だからそこまで神経質にならなくても大丈夫、な気もするし。
今住んでいるのは宝石アクセサリー魔法具のお店、マギアアリア本店の上階。王都のほぼほぼ中心にある商店街。それもほぼど真ん中に位置してた。
そこからエリカティーナのお店までは歩いて少しだけどそれでも大通りを一区画は歩かなきゃいけない。それと、王都の残り二店舗は貴族街と下町にそれぞれあって、そこも今回は見てまわりたいと思っているから。
ずっと歩きは流石に疲れるから途中馬車を使わないと無理。
乗合馬車は敷居が高い。
今回はマクギリウスが貸切の辻馬車を手配してくれていたからそれを使う予定。
まあね、エルグランデ家の家紋入りの馬車を使うわけにはいかないし。
エリカティーナの前までくるとけっこうな人だかりができていた。
この中央店は主に商家の女性がターゲットで、お値段もお高いものからお値打ちなものまで取り揃えている、いわば服飾ブランドエリカティーナのパイロットショップだ。
ほぼ全ての商品を取り揃えていることから、売れ筋の見極め、新しい流行の発信、ブランドとしてのエリカティーナのイメージを決める、大事なお店。
ここで成功すればどこにいっても大丈夫。
そんな感じ。
「セールは順調のようね」
「ええお嬢様。どうします、中もご覧になりますか?」
「ううん、いいわ。人だかりの中に入るのはちょっとね。あ、あそこのお嬢様新作を買ってくださってるわ」
「そうですね。新作用のラッピングがされていますね。あれもお嬢様のアイデアでしたっけ」
「ふふ。買ってくださったお客様がああして新作デザインのラッピングを持ってくだされば、他のお客様の目もひきますからね。もともとエリカティーナは安かろう悪かろうのお店じゃありませんから、流行のデザインをいち早く身につけたいといったお客様の顕示欲をそそる戦略でしたからね。半額セールはあくまでとっかかり。大々的に宣伝することで訪れてくださったお客様にメインの新作に目を向けて貰うのが目的でしたから」
60
あなたにおすすめの小説
『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様
恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。
不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、
伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。
感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、
ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。
「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」
足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。
「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」
一度凍りついた心は、二度と溶けない。
後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、
終わりのない贖罪の記録。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
妹ばかり見ている婚約者はもういりません
水谷繭
恋愛
子爵令嬢のジュスティーナは、裕福な伯爵家の令息ルドヴィクの婚約者。しかし、ルドヴィクはいつもジュスティーナではなく、彼女の妹のフェリーチェに会いに来る。
自分に対する態度とは全く違う優しい態度でフェリーチェに接するルドヴィクを見て傷つくジュスティーナだが、自分は妹のように愛らしくないし、魔法の能力も中途半端だからと諦めていた。
そんなある日、ルドヴィクが妹に婚約者の証の契約石に見立てた石を渡し、「君の方が婚約者だったらよかったのに」と言っているのを聞いてしまう。
さらに婚約解消が出来ないのは自分が嫌がっているせいだという嘘まで吐かれ、我慢の限界が来たジュスティーナは、ルドヴィクとの婚約を破棄することを決意するが……。
◇表紙画像はGirly Drop様からお借りしました💐
◆小説家になろうにも投稿しています
あなたには彼女がお似合いです
風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。
妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。
でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。
ずっとあなたが好きでした。
あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。
でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。
公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう?
あなたのために婚約を破棄します。
だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。
たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに――
※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる