【完結】呪言《ことほぎ》あなたがそうおっしゃったから。

友坂 悠

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マギアアリア。

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 宝石と装飾、そんなアクセサリーに魔法を封じ込めた魔法具のお店マギアアリア。
 純粋な宝石のアクセサリーだけなら宝飾店がある。
 家庭でふつう使われる魔道具なら魔術具店がある。
 子供でも買えるような魔法雑貨のお店も別にちゃんとある中で、わたくしが立ち上げたこのマギアアリアはそんな魔法雑貨に高級嗜好を混ぜたような品揃えで人気を博してた。

 まあもちろん自前でそれらの魔法具を揃えられるに越したことはなかったけれど、そんなこと一朝一夕にできることでもない。技術者を育てるにしても時間がかかる。
 まずは既存の工房に委託して商品を開発するしかない状況だった。

 もともと、そんなアクセサリー的な魔法具は、大手の魔術具店ではおまけ扱いで種類も少なかったし、力のある貴族たちはそれぞれ専属の技師を雇うかパトロンになり自前の一品物を製作するのが常で、そうそう市場に出る物でもなかったのだ。

 と言うのも、
 ▪️良質な宝石、魔結晶などを材料として使うため単価がとても高くなってしまうこと
 ▪️込められる魔法陣、マギアスコード等を扱える魔法技師は平民には居ない、こと
 ▪️需要と供給、そういった市場が今まで存在しなかった、こと
 などの理由で、商売として成り立つものでもなかったから。

 魔法技師に関して言えば、貴族の三男四男が就くことが多い職業で、魔道士の塔で修行した者が大手の魔術具店に就職し、といったルートが一般的だった。
 それでも中には下町の工房にそういった人が流れてくることもあって。
 わたくしが目をつけたのはそんな工房のうちのいくつかだった。

 それでも、下町の工房ではなかなか質の良い宝石を扱うのは難しい。
 その辺は基本、商品の契約をするときにこちらで石は提供したうえで、加工を任せ買い取るといった形で。
 どんなコードを込めるかまで指定をさせていただいたものだった。

 一品物で高級な商品では無く、少しだけお手軽なお値段で出せる量産品ではあったけれど、
 それでも下級貴族や商家の奥様たちの需要に応えることができたのか、売れ行きは上々だったのだ。
 そう、わたくしが携わっている間は。

 ブランドを買い取ってみて愕然としたのは、とても商売として成り立たないような杜撰な経営状況だったこと。
 在庫となっている商品はわたくしが居た当時の売れ筋のみ。
 デザインも同じ中に込めてあるコードもありきたりな、今では他の魔術具店でも当たり前にあるような機能のものばかり。
 これでは売れ残るのもやむ得ない。そう思わせる現状だった。

 デザインだって一年も経てば魔法雑貨の安価な商品に真似される。
 見た目だけならあれで良いとするお客様も多く、マギアアリアのブランド価値は地に落ちていたのだった。

「ラインハルトさまが持て余すわけだ」

 手に負えなくて手放したのだろう。それはもうしょうがない。

 これを立て直すのはエリカティーナの比ではない。
 根本的に、新しいデザイナーと技師を探すところからやらないと。
 これまで通りのやり方で下町の工房から買い取るだけでは済まなところまで追い込まれている。
 そう感じて。
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