【完結】呪言《ことほぎ》あなたがそうおっしゃったから。

友坂 悠

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ことほぎ。

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 わたくしのキュアピュリフィケーションの魔法は発動後わたくし自身のマナを吸い上げるように膨らんで白銀の柱となって天まで届くかというほど空に伸びて。
 そしてその光は徐々に下町全体を覆うまでに広がっていったらしい。

 その範囲にいた魔人と化した人のみならず、魔人になりかけていた人の魂までもを浄化したその光は、小一時間ほど持続しそして消えていった。
 それはまるで白銀の霧のように町中を覆い、しばらくは視界も遮られるほどだった、と、あとから聞いた。

 その霧が晴れたあと。

 騎士団の面々は町で倒れている人間を保護してまわった。

 ほとんどの住人は各所に設けていた避難所に篭っていたため被害はなく、倒れているものは皆服もハダけ皮膚も裂けたあとがみられたため、魔人化した人々であるということであろうと判断された。
 身元確認にはセバスが駆り出され当たった結果、ほぼ全てがブラウド商会の従業員であると判断され、残り数名、セバスにわからない人間も治療され意識を取り戻したトマスによって、魔國大黄粉の製造プラントで働いていた者で間違いないと判別された。

 トマス自身はマギアアリアから下町の工房にあて送られた手紙の対処のため、ここ数日はずっとよろずやに滞在して指示を出していたのだという。
 もうラインハルトさまはそのあたりを自分に丸投げするだけで、報告もまともに聞かない状態になっていたらしい。
 ブラウド商会の支配人として権限を丸投げされ、それでも商会の事を第一に考え動いていた、と、証言していた。

 ラインハルトさまは、というと。

 民家の納屋に潜り込み震えていたところを確保されたらしい。
 口に含んだとされる大黄粉はその大部分を吐き出し、魔人化はさけられていたのだと。
 それでも一時的に上がった力により騎士団から逃げおおせたあとは、目眩しの為に魔人化直前のほぼ廃人化していた従業員を閉じ込めてあった部屋の鍵を開けて、その中に大黄粉を撒いてまわったのだという。

 極刑は免れない。

 そうマクギリウス様はおっしゃった。

 今回の事で多くの人が亡くなった。
 魔人と化して退治されてしまった人も多い。
 もともと、魔人と化してしまった人間は浄化の魔法であっても助けることはまず不可能である、というのが今までの常識だった。
 同じ浄化のお守りで試してもらったけれど、わたくしほどの効果を出せる人は居なかったし。


 トランジッタ侯爵家はお取り潰しにしなければならないだろう。そうおっしゃったのは国王陛下。
 これだけの事をしてしまったのでは他の重臣の手前庇うこともできぬよ。
 と、そう。

 エルグランデ公爵家は、というと。
 マリアーナが、日々荒んでいき暴力を振るうまでになったラインハルトさまから逃げ実家に帰っていたこともあり。
 それにもかかわらず何もあかさず巨額のお金の無心だけするラインハルトさまに呆れて、絶縁状態になっていたらしい。
 問題は、マリアーナのお腹になんとラインハルトさまのお子が宿っていたこと。
 犯罪者の息子として生まれてきてしまうその子のことは不憫には思うけれど……。



 彼らとやり直せるか、と言われればノーだ。
 父や義母、兄や妹がわたくしに向けてくれていたのが「善意」であったのだろうというのは今ならわかる。
 でも、そこには「愛」は無かったのだろう。
 貴族としての常識。そこから外れているわたくしに対する善意は、真綿でクビを絞めるようにじわじわとわたくしの心を蝕んでいた。

 家族だと、そう思わなければ良かったのだと。
 愛を求めなければ孤独にも陥らなかったのだと。
 そうは理解している。
 でも。

 幼いわたくしにはそんな孤独、嫉妬や憎しみ、そんなものをみんな心の奥底に押し潰して隠してしまうしかできなかったのだから。





 ♢ ♢ ♢


 わたくしはこれからも、商会のお仕事に携わっていくのだろう。
 だって働くことが楽しいんだもの。
 この楽しさを、喜びを、手放して生きていくなんてできないから。

「愛してるよアリーシア。俺は君を一生大事に思ってるからね」

 そうおっしゃってくれるマクギリウス。

 わたくしも、愛してるわ。
 だから。

 お願いだからずっとそばにいて。
 もう絶対に離れたくない。

 そう呟くように懇願すると。
 マクギリウスはぎゅっと抱きしめてくれた。

 この幸せがずっと続く事を願ってやまない。

「大好きよマクギリウス」

 そう彼の耳元に口を近づけて、囁いた。


    fin
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感想 74

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みんなの感想(74件)

undecided
2024.10.31 undecided

時々出てくる…
「貴族そうろう」
「お金持ちそうろう」
「~そうろう」ってなんだろうかと疑問でしたが、方言でしょうか
「相当」?「相応」?「~風」?

解除
橄欖石
2024.10.26 橄欖石

完結してるからこそ言える。
ドアマットヒロインな主人公をいびった(自覚なしでも。寧ろ、より主人公に害悪←毒親家族決定)な、敵(家族に非ず)=ラスボスの討伐ならずして、貴方が世に紡いだ、一種のシンデレラストーリー=ヒロイックサーガの完成はならぬのですよ。

貴方自身にその自覚があるかどうかは存じませんし、考慮も致しませんが、言わせて頂きます。
作品内容の展開と、構成内容に目を通して、人間の抱く感情と、そこに生じる、関与した人間達の負の感情に対する考察と、『読者感情』についての考察が甘いなと思いました。
だって、人間、どんなに性善説を信望しても、10人が10人、清らかかつ正しいあれこれを、心から認めて、奉じて殉じれる訳が無いのですのよ。
何故なら、我々の祖先とされてる生き物は、サルですのでね。
その、サルでさえ、物理的な機能が劣った我が子を養育拒否、機能に問題なくても、色や形や気質なんかで、そこに優劣を争い、敗者を群れ全体で排斥して、イジメの対象にして玩具にして、生存競争の上位に君臨してますのに。
その上で。

だって、この話、ラスボス倒されてないねん。
ラスボス倒さな、『ストーリー』完結せんやろ?

この理屈、お分かりなさいますよね?

故に主人公家族の後日談着手をオススメ致します。
あるいは、これを次回作の糧に為さられれば幸いです。

解除
名無しさん。

微ざまぁタグ、微々たるざまぁすらどこにあるんですかってなぐらいに要素を感じない。
自滅した奴はいるけど、クソ家族は別に特に何も無いし。
ガッカリすぎる。

2024.02.06 友坂 悠

ごめんなさい。。

解除

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