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第二章 灰色のもふもふ
~閑話~ シュナがいなくなったその後で(2)
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レイには双子の兄がいた。名前をシュナという。
古の時代、歴史に名を遺すほど偉大な魔法使いを輩出した星読みの一族。族長の嫡男として生まれたシュナだが、レイにとっては、酷い出来損ないに見えた。
僕と同じ顔、同じ容姿だが魔力は極めて弱く、星読みの才能も全くない。ただ…無駄な努力だけは懸命にしていたことだけは憶えている。それでも要領が悪く鈍くさいし、いつもオドオドしていてほんと一族の恥さらしって感じだったよ。
だから…かな。族長である父さんがいつも僕たちにだしていた課題。複雑な理論の魔法の公式。僕はそれがすごく苦手だった。だから兄のシュナが仕上げた課題をいつも自分の手柄にしていた。あいつはお人好しだし弟の僕に全てを譲ってくれた。そして兄さんは課題がまったく出来なかったことにしてくれたんだ。
まあ他にもいろいろと利用させてもらったけど、利用価値があったことだけは良かったよね。まったく頭の悪い兄だったよ。だから冬至の贄なんかに選ばれたんじゃないかな。
それに族長である父さん。それに母さんだって自分たちの子供は僕一人の方が良かったっていつも言ってくれた。それが、僕にとっては当たり前だった。
――けど、目の前の奴らはそうじゃない。
役立たずな兄のシュナを迎え入れるためにここにやってきたと言っているのだ。
「もう一度言う。族長の息子はこの子だけではないはずだ。もう一人いる。その子は今どこにいるのかと、俺たちは聞いている?」
「勇者様。ですから…私たちの子供は、ここにいるレイだけなのです」
「そうですわ。勇者様は…きっとなにか勘違いされているのです。その予言はレイのことを示しているのではないのでしょうか?」
心の動揺を顔にださないように、父さんと母さんは弁解してくれた。
けど、この男は射るような眼差しを二人に向けている。
そして、僕もこの男と目が合った瞬間、心の中を見透かされているような恐怖を感じたのだ。
「残念ながら…その子供ではありません。その子からは光属性の力を感じます。闇属性は希薄です」
鈴の音を転がすような綺麗な声だった。たしか聖女とか呼ばれていた女性だったか?
こんな状況でなければその可憐な姿に見惚れていたけど…今はとにかく腹が立って仕方がなかった。
うるさい女だ! 今はそんな余計なことをどうでもいいだろ!!…シュナが必要なんてほんと訳がわからないよ! レイは心の中で舌打ちする。レイは焦りを感じていた。この状況は明らかに不利だとひしひしと感じていたのだ。
だが、勇者が威圧するこの張りつめて空気の中で…その隣にいた魔法使いの男は空気を読まない素っ頓狂な声を上げたのだ。
「…そういえば、ああ…思い出しました! たしかこの一族は、冬至の日に供物を捧げる習慣がありましたよね。今年は…百年に一度、野蛮にも十歳になる子供を山に住む魔物に供物として捧げるとか? もしかして、一足違いで我々が来るのが間に合わなかったんでしょうか? 族長は今まで出かけていたと聞きましたが、ひょっとして、ちょうど供物を捧げ帰ってきたところですかね?」
その瞬間、族長である父さんの顔がみるみる青白くなる。唇もわなわな震えていた。
「そ、それがどうしたというのだ―!! シュナは一族にいても役に立たず、だから太古の神に供物として捧げたのだ。それのなにが悪い! 勇者一行だがなんだか知らないが、よそ者が偉そうな口を聞くな―!!」
「ほら、叩けばすぐにボロがでる」
魔法使いの男は僅かに口角を上げ面白そうにくつくつと笑っていた。その横で、大剣を持った戦士風の男は呆れたように大きなため息をついている。
「まったくお前は…こいつらを挑発してこれからどうするんだよ?」
「とりあえず、族長の本音が聞けましたよ」
「お前は自信満々にいうことか…。魔法使いは勇者一行の頭脳だろうが!」
「はい。そうですね」
しれっと魔法使いは胡散臭いとても爽やかな笑顔で答えたのだ。
古の時代、歴史に名を遺すほど偉大な魔法使いを輩出した星読みの一族。族長の嫡男として生まれたシュナだが、レイにとっては、酷い出来損ないに見えた。
僕と同じ顔、同じ容姿だが魔力は極めて弱く、星読みの才能も全くない。ただ…無駄な努力だけは懸命にしていたことだけは憶えている。それでも要領が悪く鈍くさいし、いつもオドオドしていてほんと一族の恥さらしって感じだったよ。
だから…かな。族長である父さんがいつも僕たちにだしていた課題。複雑な理論の魔法の公式。僕はそれがすごく苦手だった。だから兄のシュナが仕上げた課題をいつも自分の手柄にしていた。あいつはお人好しだし弟の僕に全てを譲ってくれた。そして兄さんは課題がまったく出来なかったことにしてくれたんだ。
まあ他にもいろいろと利用させてもらったけど、利用価値があったことだけは良かったよね。まったく頭の悪い兄だったよ。だから冬至の贄なんかに選ばれたんじゃないかな。
それに族長である父さん。それに母さんだって自分たちの子供は僕一人の方が良かったっていつも言ってくれた。それが、僕にとっては当たり前だった。
――けど、目の前の奴らはそうじゃない。
役立たずな兄のシュナを迎え入れるためにここにやってきたと言っているのだ。
「もう一度言う。族長の息子はこの子だけではないはずだ。もう一人いる。その子は今どこにいるのかと、俺たちは聞いている?」
「勇者様。ですから…私たちの子供は、ここにいるレイだけなのです」
「そうですわ。勇者様は…きっとなにか勘違いされているのです。その予言はレイのことを示しているのではないのでしょうか?」
心の動揺を顔にださないように、父さんと母さんは弁解してくれた。
けど、この男は射るような眼差しを二人に向けている。
そして、僕もこの男と目が合った瞬間、心の中を見透かされているような恐怖を感じたのだ。
「残念ながら…その子供ではありません。その子からは光属性の力を感じます。闇属性は希薄です」
鈴の音を転がすような綺麗な声だった。たしか聖女とか呼ばれていた女性だったか?
こんな状況でなければその可憐な姿に見惚れていたけど…今はとにかく腹が立って仕方がなかった。
うるさい女だ! 今はそんな余計なことをどうでもいいだろ!!…シュナが必要なんてほんと訳がわからないよ! レイは心の中で舌打ちする。レイは焦りを感じていた。この状況は明らかに不利だとひしひしと感じていたのだ。
だが、勇者が威圧するこの張りつめて空気の中で…その隣にいた魔法使いの男は空気を読まない素っ頓狂な声を上げたのだ。
「…そういえば、ああ…思い出しました! たしかこの一族は、冬至の日に供物を捧げる習慣がありましたよね。今年は…百年に一度、野蛮にも十歳になる子供を山に住む魔物に供物として捧げるとか? もしかして、一足違いで我々が来るのが間に合わなかったんでしょうか? 族長は今まで出かけていたと聞きましたが、ひょっとして、ちょうど供物を捧げ帰ってきたところですかね?」
その瞬間、族長である父さんの顔がみるみる青白くなる。唇もわなわな震えていた。
「そ、それがどうしたというのだ―!! シュナは一族にいても役に立たず、だから太古の神に供物として捧げたのだ。それのなにが悪い! 勇者一行だがなんだか知らないが、よそ者が偉そうな口を聞くな―!!」
「ほら、叩けばすぐにボロがでる」
魔法使いの男は僅かに口角を上げ面白そうにくつくつと笑っていた。その横で、大剣を持った戦士風の男は呆れたように大きなため息をついている。
「まったくお前は…こいつらを挑発してこれからどうするんだよ?」
「とりあえず、族長の本音が聞けましたよ」
「お前は自信満々にいうことか…。魔法使いは勇者一行の頭脳だろうが!」
「はい。そうですね」
しれっと魔法使いは胡散臭いとても爽やかな笑顔で答えたのだ。
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