包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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「七さん、すいません。おじいちゃん、圧強めで」
 帰り道はゆっくり歩く。

「ううん。よのぎさんの家系は目がでかいってことだけはわかったよ」

 坂道を登ってきたから、帰りは当然下り坂。下りのほうが膝の負担が大きいらしい。

「眼球自体の大きさは変わらないって聞いたことあります。モデルの先輩が言ってた気がする。うろ憶え。あの頃の記憶って本当にない」
「がむしゃらだった?」
「うーん、がむしゃらっていうより人嫌いだったかな。誰に会うのも怖くて、初対面のカメラマンさんが怖くて、繊維が合わないと皮膚が荒れちゃうかなって怯えて。早朝の撮影ばかりで低血圧だから顔色悪くて。でも七さんの服を着ると細胞がほっとした。あの感覚、私一生忘れない」

 初めて抱かれたときじゃないんだ? デザイナーだからよのぎさんの誉め言葉のほうが数倍嬉しい。一時期、自然素材にこだわって麻ばかり多用していた時期があった。間違っていなかった。よのぎさんに肯定されて嬉しい。

「こりゃきつい。車で来ればよかった」
 ふくらはぎよりも太腿が悲鳴を上げる。

「車を運転する七さんは見たことがあるから一緒に電車が乗りたかったの」
 枯れた山を背にしても、よのぎさんが緑っぽい理由がわかった。この山に通じていたのだ。
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