包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 駅の近くの店で会社の人にお土産を買いたいと言ったら、よのぎさんが選んでくれた。

「笹熊茶? 初めて聞く」
 知らないものばかりだ。
「この粉茶ならあの新卒の女の子も美味しく入れられるわよ」
「由愛ちゃんは、由来の由に愛でユメちゃんなんだけど、すごく礼儀がなくて、年上にも食って掛かるし」
「まだ出る杭は打たれる時代?」
「ううん。あれは出る杭っていうより突き抜けてる。ああいう子が大物になるんだろうな」

 そんな話をしながら家の近くの駅に着いたのはいいけれど、駅の階段が登れないほどの筋肉痛。よのぎさんのおじいさんが持たせてくれた大根のせい。いや、これにはよのぎさんへの愛が含まれているから重くて当たり前。

 その大根でみぞれ鍋をした。
「おいしい。やだ、下のほう使ったの? だから辛いのよ。おじいちゃんの大根は昔からそうなの。お正月はお餅を絡めてね…」

 辛い人生のはずだっただろうにそのことは口にしない。それがおじいさんへの礼儀だと思っている。

「お餅か。毎年、年末年始はなんだかんだで忙しいんだよ。セールもあるし。だからその前に旅行にでも…、その前にコレクションだから、兎に角時間があるときに新婚旅行に行こう。二人きりで海外ウェディングもいいね」
 僕は言った。

 実は再来年まで大まかな予定が決まっている。でも、時間が作れることを最近知った。よのぎさんのおかげで生活パターンが普通の人間に戻ってゆく。仕事ばかりしていたら人生は味気ない。

「私は暇なので七さんにお任せします。海外に行きたいならパスポートの期限が切れているので取り直しますね」
「うん」
 今日は親代わりのおじいさんに会えただけでもよしとしよう。

 眠る前によのぎさんが名前の由来を話してくれた。

「父はそよぎとつけたかったようです。でも母が聞き間違えて…。釣りではなくて梵のほうの意味で…」
 よのぎさんの声を聞いているだけで眠くなる。これはもう習慣だ。一緒に暮らして二ヶ月で、君が浸透して心地いい。お金で買ったつもりはないし、君の役目でもないから僕のメガネを外してくれなくていいよ。おやすみのチューは嬉しいな。
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