包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 次の日、由愛ちゃんにお土産を渡したら、
「ま?」
 で止まった。
「奥さんから、君にって。会社用だけどね。あとこれはお菓子」
「マジですか。ありがとうございます、嬉しい」

 マジですかの『ま』か。よのぎさんがそういうことを発しないから同じ年代でも別の星の生き物みたいだ。由愛ちゃんもかわいい女の子だが、女性として見れない。男には打ち破れない好みが存在する。細身が好きだったり、柔らかい子が好きだったり、譲れない。


「社長、関西のコレクションの依頼がうちに来ています。出ていいですよね」
 巴さんはYOGAの低価格ブランドYOGA7を任せていた。用賀七だから、フルネームまで晒して恥ずかしい。自分一人だったら構わないけど、次からはよのぎさんのことまで考えてやらないと。彼女も同じ名字なのだから。

「巴さんに任せるよ。長身の男の子モデルに一人心当たりがあるから声かけて」
「了解です。社長は最終確認だけお願いします」
 巴さんはYOGAのプレスも兼ねているから激務にさせたくないのだが、駆け足でアトリエを出て行った。由愛ちゃんが入って来てくれたから人員の数は昨年と同じでも経験値がまるで足りない。見学のつもりで先月のコレクションに連れて行ったが、圧倒され普段の10分の1も働けなかった。あそこは空気が違う。今はこのチームで戦うしかない。

 そうなると、気になるのが黒田くんと旗本さんの仲だ。恋仲はいいとしよう。だが急な妊娠は困るし、破局はもっと困る。仕事さえしてくれれば羽切さんも文句は言わないだろうが、今のこの状態を維持したい。

 自分がそういうことを考えずに結婚したわけではないから注意もできやしないし、上司でも社長でも言っていいことと悪いことがあることは承知している。
 なにかと世間様はうるさい。
 腕を上げるために本人が残業を希望しても何時間までと決まっている。
 商品のため、作品のため、会社のため、最終的には自分のために努力していることを、どうして服のことを何も知らん人間にとやかく言われなければならないのだろう。
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