包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 世の中はびっくりすることばかりだ。

『用賀七の妻、斎川よのぎ、建築事務所で密会4時間』

 今は雑誌へ載る前に連絡が来る。会社に秘書がいないから、電話の対応をする由愛ちゃんに睨まれる。

 お正月休み前にとんだ偽情報。
「先生がちゃんと捕まえてないから」
「捕まえてるよ。よのぎさんが浮気するわけないじゃないか」
 と自分で言いながら、はっとした。紹介された建築士は伴藤さんというイケメンで、賞とかもたくさん取っていて、しかも34歳。よのぎさんからしたら彼も結構な年上。

「あはは」
 とよのぎさんは笑ったし、記事の差し替えをお願いする力はないので放置していたらいつの間にか建築士さんのほうが訂正をしてくれていた。

『用賀夫妻からご自宅の設計を依頼されているのは事実です。クライアントの秘密は話せませんが、うちも事務所ですから他の人間もいますし、密会なんてとんでもない。いいご夫婦ですよ。旦那さんからは奥様が寂しくない家を、奥様からは旦那さんがくつろげる家をと頼まれています。相手を思いやる素敵な夫婦ですが、二人ともちょっと抽象的で。まだ打ち合わせ段階なので、会えなくなるのは困りますね。次からは旦那さんに同伴してもらいます』

 悪くない文章だった。不倫を匂わせないし、よのぎさんを悪者にしていない。それが反対に苛立つ。よのぎさんを庇うということはもしかしたら好意があるのかもしれない。

 条件だけ勝てないだろう。お金だって、若い彼のほうが今後稼ぐ可能性がなくもない。

『この度は妻がお騒がせをしてすいません。不倫という事実はありません』
 逆に自分の文章を冷たく感じた。こんなにも愛しているのに。

 よのぎさんはしばらく外出を控えた。ちょうど世間も師走で大忙しだったし、SNSを見なかったから嫌な言葉を目にすることもなかった。

 世の中の人は、やっぱりって思うのだろう。女はお金よりも愛を取るのもセオリー。
 だけれど、僕には愛があって、よのぎさんも僕を愛しているはず。

 よのぎさんに浮気をされたら辛いな。辛くても許すのだろう。それは純愛なのだろうかと疑問が湧く。
 そのあとすぐに女優さんの浮気や俳優の離婚が発覚し、年末に結婚会見をするお笑い芸人さんもいて、すっかりよのぎさんの記事は忘れられたようだった。
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