包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 忙しいのはよのぎさんも同じようだった。

「家っていろんな色を決めるのよ。床の色でしょ? 壁紙にトイレ、屋根の色まで」
 それでまた色見本をあれこれ引っ張り出しているのだろう。床はダークブラウンにしたようだ。

「建築士さんは?」
「今は伴藤さんじゃなくてインテリアコーディネーターさんと話してるの。女性の方にしてくれたわ」
 よのぎさんには本当は伴藤さんのような人が合うのだろう。絵になるというか、世の常。それなのに、
「七さん、どっちが落ち着く?」
 って聞いてくる。君がこうして隣りにいてくれるだけで嬉しい。

 夕飯はエビシュウマイとかにクリームコロッケにスープ。
「おいしい」
「買ってきたものばかりですいません。スープにトライしてみたんですけど、ぱっとしないからレトルトのふかひれスープ入れたらしゃきっとした味になりました」
「うん、うまいよ」

 よのぎさんが幾つかの家のバリエーションを見せてくれるが、紙の上ではわからない。床がどんな色でも暮らしてみたら慣れる気がする。

「ムーディにするなら間接照明がいいって勧めてくれるんですけど、子どもができたら明るいほうがいいでしょうし、七さんもこの辺でお仕事するかもしれないでしょう? カウンターのところだけ明るくしましょうか?」
「悩むね」
 暗すぎたら見づらいかもしれない。もう目はいつでもしょぼしょぼだ。

 よのぎさんの話を聞きながら大あくび。あ、これも女の人の前ではしてはいけないことだった。
「七さんも忙しい時期に突入?」
 よのぎさんはそれでも怒らない。カルシウムを取り過ぎということはないだろう。
「うん」
 そうなのだ。服を決めてモデルを決めて、髪型を決めて、歩く順番と…。宇崎はいないし、肝心なことを忘れていた。

「飛行機のチケット取ったのかな?」
 よのぎさんまで食事の手を止める。
 会社に電話をしたら、
「その前に会社の誰を連れてゆくのか決めてください」
 と言われた。それをまず決めないといけないのだった。
「乗り継ぎとかでも、飛行機はなんとかなりますよ。ホテルは?」
 電話を切ったあとでよのぎさんが聞く。
「そっちは手配済みらしい」
「私、本当に一緒に行っていいの? 迷惑じゃない?」
「ああ、ちっとも」

 前日は緊張して眠れないのだ。失敗もゴシップにも慣れている。『ありきたりの』『特徴のない』『粗末な』と揶揄されても自分のデザインに自信があれば気にならない。

 よのぎさんがいてくれたほうがいい。
 今だって、夕飯を片づける君の後ろ姿を見ながら裸エプロンのようなドレスを思いついてしまった。どうしたら胸が見えずにすむのだろう。数ヶ所を紐で縛ったら、尚いやらしい。背中丸出しのほうがエロくない。隠すから見たくなる。背中の紐を多くしたらコルセットっぽい。
 横から見たらおっぱいの半分くらいが見えるように。ボリュームのある胸のイメージはできない。
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