99 / 174
98
しおりを挟む
ホテルに朝食がなくて、外で400円程度のワンプレートを食べた。パンとエッグだけ。
席に座っていても注文を取りに来ない。スーパーのレジのようなところで注文をしなくてはいけないらしい。旗本さんが一緒でよかった。
「粗野な味」
と旗本さんは言った。
「懐かしい味がする」
よのぎさんが頷く。たまにこういう味にも安心する。
「去年まではこのシーズンは忙しかったですか?」
旗本さんがよのぎさんに聞いた。
「そうね。肌荒れを化粧で誤魔化して、辛いって誰にも言えなくて、自分が負のスパイラルの中にいることにも気づかなかった。まさか仕事を辞めて、憧れの人と結婚してるなんて去年は考えもしなかったけど」
とよのぎさんが僕を見て微笑む。
朝食を取り、コンビニで野菜ジュースだけ調達。
地下鉄のAの前でよのぎさんと別れた。
「どこででも一人で生きていけそうな人ですね」
と旗本さんは言うけれど、そうではない。よのぎさんは一人だとごはんも作らないし、自分に無頓着。あのまま仕事をしていたら自分を追いつめて自死していたんじゃないだろうか。そう思うとぞっとする。
今では二人でいることが当たり前で、幸せも当然のように感じているが、本当はとっても幸福なことなのだ。
事務所で来れなくなったモデルの代わりを探す。急病は仕方がない。髪がイメージ通りにならないは知ったこっちゃない。
なるべく最新の写真をもらっているはずなのにがらりと顔が変わっていたりする。
「こっちに向かって歩いて」
頭が仕事モードに切り替わらない。時差ボケの頭が地下鉄の階段に吸い込まれるよのぎさんのことしか考えない。
「サンキュー。ネクスト」
キャスティングチームの電話が鳴りっぱなし。彼らのためにも、
「もう決めた」
と言いたい。
よのぎさんの友達の写真を送ってもらう。さすがはよのぎさん。
『9センチのヒールを履いて私とこの身長差です』
よのぎさんより薄い顔。よのぎさんと同じくらいの顔の小ささ。よのぎさんとって比べてしまってごめんなさい。
彼女を使うにしてもあと一人。
席に座っていても注文を取りに来ない。スーパーのレジのようなところで注文をしなくてはいけないらしい。旗本さんが一緒でよかった。
「粗野な味」
と旗本さんは言った。
「懐かしい味がする」
よのぎさんが頷く。たまにこういう味にも安心する。
「去年まではこのシーズンは忙しかったですか?」
旗本さんがよのぎさんに聞いた。
「そうね。肌荒れを化粧で誤魔化して、辛いって誰にも言えなくて、自分が負のスパイラルの中にいることにも気づかなかった。まさか仕事を辞めて、憧れの人と結婚してるなんて去年は考えもしなかったけど」
とよのぎさんが僕を見て微笑む。
朝食を取り、コンビニで野菜ジュースだけ調達。
地下鉄のAの前でよのぎさんと別れた。
「どこででも一人で生きていけそうな人ですね」
と旗本さんは言うけれど、そうではない。よのぎさんは一人だとごはんも作らないし、自分に無頓着。あのまま仕事をしていたら自分を追いつめて自死していたんじゃないだろうか。そう思うとぞっとする。
今では二人でいることが当たり前で、幸せも当然のように感じているが、本当はとっても幸福なことなのだ。
事務所で来れなくなったモデルの代わりを探す。急病は仕方がない。髪がイメージ通りにならないは知ったこっちゃない。
なるべく最新の写真をもらっているはずなのにがらりと顔が変わっていたりする。
「こっちに向かって歩いて」
頭が仕事モードに切り替わらない。時差ボケの頭が地下鉄の階段に吸い込まれるよのぎさんのことしか考えない。
「サンキュー。ネクスト」
キャスティングチームの電話が鳴りっぱなし。彼らのためにも、
「もう決めた」
と言いたい。
よのぎさんの友達の写真を送ってもらう。さすがはよのぎさん。
『9センチのヒールを履いて私とこの身長差です』
よのぎさんより薄い顔。よのぎさんと同じくらいの顔の小ささ。よのぎさんとって比べてしまってごめんなさい。
彼女を使うにしてもあと一人。
11
あなたにおすすめの小説
ホストと女医は診察室で
星野しずく
恋愛
町田慶子は開業したばかりのクリニックで忙しい毎日を送っていた。ある日クリニックに招かれざる客、歌舞伎町のホスト、聖夜が後輩の真也に連れられてやってきた。聖夜の強引な誘いを断れず、慶子は初めてホストクラブを訪れる。しかし、その日の夜、慶子が目覚めたのは…、なぜか聖夜と二人きりのホテルの一室だった…。
雨の日にやさぐれお姉さんを拾ったと思ったら胃袋も心も掴んでくるスーパーお姉さんだった
九戸政景
恋愛
新人小説家の由利美音は、ある日の夜に一人の女性を拾う。太刀川凛莉と名乗る女性との共同生活が始まる中、様々な出会いを果たしながら美音は自身の過去とも向き合っていく。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。
泉野あおい
恋愛
人の気持ちに重い軽いがあるなんて変だと思ってた。
でも今、確かに思ってる。
―――この愛は、重い。
------------------------------------------
羽柴健人(30)
羽柴法律事務所所長 鳳凰グループ法律顧問
座右の銘『危ない橋ほど渡りたい。』
好き:柊みゆ
嫌い:褒められること
×
柊 みゆ(28)
弱小飲料メーカー→鳳凰グループ・ホウオウ総務部
座右の銘『石橋は叩いて渡りたい。』
好き:走ること
苦手:羽柴健人
------------------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる