包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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『着て楽しい服を』
 が巴さんのコンセプトにした。彼女の逞しさというか元気には頭が下がる。気も利くし、病欠もしない。もっと自分を労わってほしいと思う。

 腕の肘から手首に向かってスリット、お尻のちょっと上に楕円を開けてみたり。そこに目が行くというよりも、かわいらしいフォルムになった。

 ショーの評判も悪くない。
『いやらしすぎず、美しい』ただ、『用賀の名前は外せない』とも書かれていた。どういう意味なのだろう。巴さん一人でも世界で戦えると思う。


 ミラノが終わった段階で、ヘアメイクの小石川くんと話し合いをした。
「できればずっと続けてほしい。契約が必要ならお願いしたい」
「こちらこそお願いします。契約は宇崎さんともしてないですよね? 僕も用賀さんとは信頼でつながっていたい」
「わかった」
 と返答しても不安ではある。本当にうちの小曽根くんと付き合ったら安心だが、それは二人の問題。

 オイリーなパスタを食べながら、誰か連れてくるべきだったと後悔。
「用賀さんの探求心がなくならない理由が知りたいです」
 小石川くんが聞いてきた。
「せっかくここまで来たから棒に振ったら勿体ないし、すぐ次はこうしようって考えちゃうんだよね。それが楽しいし、今は妻もいるから。守りに入っているつもりはないよ。むしろ武器は増えた。日本に戻ったらまたコレクションだ」
「はい、心得ております」
 信頼は一緒にいる時間で育むものではない。もうよのぎさんを一番信じている。

 浮気はしていないだろうか。心配ではある。
「先生」
 小曽根くんが迎えに来てくれた。どっちを心配しているのだろう。
 由愛ちゃんは巴さんたちとファッションウィークを楽しんでいるようだった。
「小曽根くんも食べたら?」
「はい」
 小石川くんに勧められるまま白ワインも飲んだ。

「用賀さんが好かれる理由がわかります」
 ほろ酔いの小石川くんは、ニューヨークのときより髪が伸びて、それを高い位置で結んで漫画に出てくるイケメンのよう。

 小曽根くんは日本にいるときよりもお洒落で、はたから見ているときれいな男二人だ。
「先生は誠実なんですよ、人にも服にも」
 だからうちの会社に戻ってきてくれたのだろうか。

「小曽根くんも嫌でなかったらうちのブランドの中で自分の服作ってもいいんだからね」
 と伝える。
「ありがとうございます」
 小曽根くんと巴さんがうちの二本柱となってくれることを祈る。由愛ちゃんはきっと独立するだろう。
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