包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 4月になって新入社員が2名会社に加わった。
 大卒の女の子と専門卒の男の子。女の子はすぐに縫製に飽きて事務に鞍替え。男の子は女性陣に好まれながら働いているらしかった。

「悪い子じゃないけど、ふわふわしてる」
 リーダーとして戻ってくれた巴さんも気にかけてくれている。

 入社してすぐに長期休みでは彼らのやる気を削いでしまうだろうか。それも試練のようなものだ。来年になれば彼にもその理由がわかるだろう。疲れたら休まなければ体が弱る。早く即戦力になってほしい。

 本来なら由愛ちゃんに新人教育をして欲しいところだが、彼女は社長組でじりじり頭角を現す。うちのメンズ部門を強化したいが、由愛ちゃんは縛られたくないタイプだろう。


 休みに入っても社長はいろいろ考えることがあるのだ。引っ越しなんてまだ先なのによのぎさんが荷造りを開始する。

「もう冬物まとめてもいいでしょう?」
「あとで自分でやるよ」
 そう言ってもデザイン画ばかり描いてしまう。

 よのぎさんは怒らない人だった。僕の苦手な、『××してよ』とか『何々だって言ったのに』という口調にもならない。
「〇〇しましょう」
 って優しい言葉で言う。
「夕飯にしましょう? それどかせる? あっちでテレビ見ながら食べる?」
 仕事ばかりしていることを咎めない。

 だってよのぎさんの衣類が冬物から春物に代わって、その薄さにびっくりする。シャツから背中が透ける。パジャマだって、ほぼ裸。

「七さん、4月中にお出かけしませんか? ん? このピクルスすっぱい」
 よのぎさんのすっぱいの顔はびっくりの顔に近い。
「本当だ、すっぱい」
 古いとかではなく酢が強い。

「デパートの物産展で買ったのよ」
 よのぎさんの咀嚼音は嫌じゃない。シャキシャキが伝わる。

「よのぎさん、どこに行きたいの?」
「そんなに遠くなくて旅行っぽいところ」
「日帰り? 泊る?」
「家のことで連絡があるかもしれないし」
「そうか」
 家になるところから土器のようなものが出土して、工事が中断。

「そういうことってあるのね。すごいわよね、ずっと昔の陶器が残ってるなんて」
「うん。うちのほうは人が亡くなるとお茶碗を庭に埋めるからそういう風習がずっと昔から残っていたのかもね」
「初耳。私が知らないだけかな? 今度、おじいちゃんに聞いてみる」
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