包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 よのぎさんの姿を見たとき、目の奥の緊張が一気にほぐれた。脳が欲していた。

「よのぎさんを迎えに来ました」
「ああ。すまなかったね」
 おじいさんは買ったばかりのソファに座っていた。

「連れて帰って大丈夫ですか?」
「ええ。あの子は、遠足で500円使ってもいいって言われても自分の欲しいものが200円だったらそれしか買わないような子で、それなのに早くあなたのところに帰りたいから治してくれって。やっとそういうわがままを言えるような子になってよかった」
 洗濯物を取り込むよのぎさんをおじいさんと一緒に眺めた。

 やっぱり実物はいいな。おじいさんは僕と同じでよのぎさんが生きていることだけで嬉しい人なのだ。幸せだったら尚のこと嬉しい。

「おじいちゃん、これだけまだ乾いてないからここにかけておくね。じゃあ七さん、帰りましょう」
 車に乗ってから一度じっくり抱き締めた。疲れているのかよのぎさんは帰りの車中でずっと寝ていた。独り立ちして実家へ戻ると妙に他人の家に思えて緊張したことを思い出した。うちの実家は兄の奥さんが家に入ってくれたから余計にそう感じたのかもしれない。


「ふう、やっと帰って来れた」
 マンションに入るなり、よのぎさんが大きく息を吸う。

「おかえり、よのぎさん」
 抱き締めたら頭から他の家の匂いがした。くんくんとよのぎさんの匂いを摂取して、犬みたいだなと自分でも思った。

「ただいま、七さん」
 君の声に耳が喜んでいる。耳の奥がくすくすする。手が勝手によのぎさんに触れたがる。

「七さん、ごめんなさい。今日はだめな日で」
 お預けだ、ワン。

「ううん」
「すいません」
「お腹痛くない?」
 よのぎさんは生理だとお腹をくだす。腰をさすりながらよのぎさんが手をつないでくる。

「大丈夫。おじいちゃんとまむし酒飲んだの」
「いつもみたいに酒乱にならなかった?」
「酒乱じゃないもん」
 君に触れて、手まで喜ぶ。

「キスだけ」
 と口づけをしたことを後悔。だって、もっと触れたいし、結局抱きたい。

「七さん、だめですよ」
「はい、すいません」
 待てもできない。わんこ以下だ。

「私も会いたかった。本当よ」
 と頬にキスをしてくれた。

 よのぎさんと眠って、やっと体も休まる。一緒に暮らせない家族を見守る方法は沢山ある。お金を使えば簡単なこと。でも実際にそばにいるのといないのでは安心感が違う。新しい家におじいさんを呼んでもいいけれど、彼は頑固そうだから少し先の話になるだろう。
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