包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 家に着いてデザイン画を描いている間によのぎさんが夕食の準備をしてくれる。

 そばが伸びても怒らないのは君くらいだよ。食べずに待っていてくれるのも、呆れないのも。

 先にそばを食べればいいのに僕の左手で遊び出す。
「なあに?」
「七さんのここに結婚線がある。私はこれ。ちゃんとつながってる」
 確か、生命線よりかなり上だと晩婚。僕のはそこにくっきり。
 よのぎさんのは薄くて老眼には見えない。

 そんなことにほっとしないで。
 今のこの時間に安堵して。

「食べよう」
「はい。このベーコン冷めてもおいしい。お芋もとろとろ」
 よのぎさんの笑顔にほっとする。二人で家に落ち着く。新しい家もそうだといいな。


 妻のせいでふしだらな夢を見て真夜中に目が覚めた。よのぎさんが脇の下で眠っている。触りたいけれど起こしたくはないから我慢。
 人を好きな気持ちはこんなにもきれいなのだ。君を見てしまう。穏やかで、二度寝よりも心地いい。


「七さん、なにやってるの?」
 出勤前の僕の手元をよのぎさんがのぞき込む。

「会社の子が結婚するんだよ。だからお祝いの水引」
 新札を入れて、かわいい水引に四苦八苦。裏側は幸せを包み込むように。

「へえ、私なにも知らなくて。友達も少ないし」
「これから知っていったらいい。香典は逆ね。新札じゃなくていいんだよ。僕のお葬式はよのぎさんが喪主なんだろうな。スピーチ言えるかな」
「やだ、そんな縁起でもない」
「僕は想像つくよ。きっと笑って死んでると思うね。よのぎさんは泣くんだろうな。僕の死顔見たら笑うんだよ、約束ね」
 朝から号泣させるつもりなんてなかった。髪を撫でても泣き止まない。

 死んでしまったら抱擁もできない。抱擁と法要は全く別のこと。

 よのぎさんが言ってほしいだろう言葉を発せない。本当に愛しているとその言葉は重く、しかし足りない。
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