包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見

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 コレクションの滞在は5日間。

 ショーやら他の仕事を終えて、最終日にやっとデート。よのぎさんと川沿いをひたすら歩く。
「よのぎさん、美術館行きたいって言ってたのにいいの?」
「七さんが川沿いを歩きたそうだったから」
「若いときにこうしてプラプラしていた。こっちって昼間から飲んでいる人いるでしょ? 日本にもいるけど、あの後ろめたさがないよね」
「ああ、わかる。人生を謳歌しているように見えるわ」

 他の社員たちは観光すらしない。日本へのパッキング、他のショーを見る、買い物すら由愛ちゃんにとっては学びだ。


 よのぎさんとお茶を飲んだ。

「テラスに案内されたの初めて。よのぎさんがきれいだから?」
「七さんが有名だからでしょ?」
「どうかな? ただのアジア人だけど」
「私もよ」
 お金があろうと肌の色がなんだろうと、きっと想い合う愛に大差はない。どこにいても目が君を追う。瞳が君を捉えておきたいと願う。

「よのぎさんコーヒーでいい?」
「ううん、お水にします。赤ちゃんができたみたいなの」
「え? そんなさらりと」
 ドキドキを上回って血の気が引いた。

「コレクションが終わってから言おうと思って。まだ胎嚢っていうの? 豆みたいな。あれが人間になるんだから不思議よね」
「それでモデルの仕事を断ったの?」
 よのぎさんが首を振る。インタビューだけでなくモデルの仕事も来ているようだった。

「あなたの奥さんだけで一杯一杯なのにお母さんまでやって、無理ですよ。器用じゃない」
 子どもは顔も体型もよのぎさんに似るといいな。

「子どもが生まれる頃には家の引っ越しが終わっているかな」
「うん。楽しみ」
 家族を得たい人の気持ちなんてずっとわからなかった。どうして自分の稼いだ金で他の人を生かさなければならないのか。ストレスを与えたり与えられたりしてまで養わなければならないのか理解に苦しむとまで考えていた。よのぎさんは全身で愛を教えてくれる。もう君がいない生活が想像できない。

 人生において愛だけが足りていなかったのだ。だから仕事は順調で、それでバランスを取っていたはずなのに。この気持ちが怖くて寄進したりするのだろう。よのぎさんと一緒にいたいから罪は犯さないと思う。

 コーヒーより断然温かくないよのぎさんの手を掴んで安堵する。

 君と残りの人生を生きることが楽しみでなりません。たぶん、そのうち誰かに裏切られたり、社員のみならず知り合いに厄介事を持ち込まれるのだろう。僕らの子どもがへそ曲がりかもしれない。よのぎさんのスタイルで僕の顔だったら申し訳ないな。

 よのぎさんはパイ生地が重なったケーキを食べる。
 愛も知らぬ間に重ねていたね。僕の毎日はいつからか君に包まれているよ。

 よのぎさんみたいに僕の服を着てほっとする人が増えたらいい。
 この歳になってもまだまだ嬉しいことや望みがある。全部が今から楽しみだ。どうか、僕の近くで君がずっと笑っていますように。これからも日々、愛を重ねてゆこう。
   おわり
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