不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ

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第2章 勇者の選択

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「さあ、残りも成敗するとしようか」

 謎の騎士が剣を振り上げた。

 街灯のぼんやりした灯りでは、顔まではよく見えない。
 だけど、この声には聞き覚えがある。

「まさか……」

 俺はカラカラに乾いた声でうめく。

 そんな、まさか──。

「な、なんだ、こいつ?」
「妙な格好しやがって!」

 残りの暴走族が騎士に向かっていく。
 殺到する金属バットを、木刀を、鉄のチェーンを、

 斬っ!

 夜闇に閃く銀光が、すべて両断した。
 すさまじいまでの剣の冴えだ。

「ひ、ひいい……」

 暴走族たちは一瞬で戦意を喪失したらしい。
 その場にへたりこみ、恐怖した様子で騎士を見上げる。

「──軟弱な」

「向こうの世界では、雑兵でも君らの百倍は強いぞ。嘆かわしいね」

 向こうの世界、だと?
 やっぱりこいつは──。

「君らは多数で一人を囲み、暴力を振るおうとする社会の害悪だ。斬り捨てるとしよう」

 騎士が剣を振りかぶった。

 吹きつける、凍りつくような殺気。
 容赦なく殺す気だ。

「やめろ!」

 俺は慌てて割って入った。
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