転生したら悪役令嬢の白豚パパでした!?~うちの子は天使で元恋人は最強騎士です?オーラを見極め幸せを掴め!~

緒沢利乃

文字の大きさ
87 / 234
領地経営編②

領主、大聖堂?へ

しおりを挟む
教会本部でもそれなりに力を持つリベリオ大司教様は、とにかく職場見学したいとのことで、和やかな朝食後にお出かけをすることにしました。

シャーロットちゃんは、自分が教会の担当をするからと珍しく興奮して同行を求めてきたから許可したけど……人見知りなのに大丈夫かな?

今回はディーンではなくベンジャミンに付いてきてもらう。司祭が派遣できなかったことで、激務を長年背負ってきたシスターたちのオールポート伯爵家への嫌悪がどの程度溜まっているかわからないのに、肝心の俺が記憶がなくて対応が不誠実に見えたら大事になってしまう。
領民たちには、奥さんを避けるために太って引きこもりになっていた領主より、執事長のベンジャミンのほうが顔は知られているし信頼度も高いだろう。

ディーンは少し拗ねていたが、そんなに仕事がしたいなら騎士の訓練にでも参加してこい。

各々、準備を整えて屋敷のエントランスに集合したのだか……ええ?

「ベンジャミン」

「はい」

「護衛の騎士としてハリソンたちがいるのは理解した」

「はい」

「……なんで、シャーロットちゃんの隣に騎士の恰好をしたメイがいるの?」

勇ましく髪を結い上げ騎士服を着て、腰には細い長剣を佩いているけども。

「セシル様。すみませんが、シャーロット様の専用護衛騎士、我が娘のメイでお願いします」

ハリソンの軽い調子の宣言に、俺は目を丸くして叫んだ。

「ええーっ!  だ、大丈夫なのか?」

つい、メイのことを心配して出た言葉が、当人には実力不足を心配された言葉だと思ったらしく、ギンッと人を殺せそうな強い視線を向けられてしまった。

「お嬢様は必ずお守りいたします」

「え……いや、そうだけど。メイが怪我することもあるんだぞ?」

この世界で女性は貴重なのだから、別に騎士なんて危ない職業に就かなくても、今まで通りメイドでいいじゃん。

俺がメイの心配をしているとわかったら、彼女は頬を少し赤く染め、それでも凛々しく「大丈夫です」と答えた。
うん……本人がいいならいいけどぉ。俺はチラリと父親であるハリソンの顔を窺い見ると、彼はニッカリと笑って応えた。

「んじゃ、どうか娘をよろしくお願いします」

ぺこっと軽く頭を下げるとリベリオ大司教様と従者のピッポが驚いた顔で俺を見る。ま、伯爵がわざわざ使用人や騎士に頭を下げるなんてしないよね。命令して当たり前。むしろ使ってやって感謝しろっの世界だもんね。

でも、俺は無理です。前の世界の常識が抜けないし、自分の大事な娘を命がけで守ってくれる人に尊大な態度は取れません。取りたくないし。

「ホッホッホッ。やはり、セシル様は面白い御方ですなぁ」

リベリオ大司教様がニッコリ微笑んでいましたが……なんとなく含みがあるセリフに聞こえたのは俺だけかな?


















ガタガタと馬車に揺られること暫し。

相変わらず俺の馬車を牽く馬は、俺が誰かと馬車に乗ろうとすると、ウルウルと悲壮な瞳で訴えてくる。わかっている。俺は一人で乗りますよっ。
そして辿り着いた大聖堂前。既に招集連絡済のクラークもいたけど……、大聖堂? これが? 大聖堂なの?

「普通の教会じゃん」

あ、ヤベぇ。ポロッと口から正直な感想が漏れちゃったよ。

「……おはようございます、セシル様。そうなんです……大聖堂と呼び名は壮大なのですが……佇まいは平凡な教会なのです」

朝から意気消沈しているクラークに、俺はなんとも言えない。す、すまないな。自領の教会なのに、正直に感想を言い過ぎた。

俺とクラークの間に微妙な空気が流れたところ、リベリオ大司教様の「ホッホッホッ」というどこぞの黄門様みたいな笑い声が被さってくる。

「このロンバル大聖堂は建物ではなく、女神様の像に由来があるのですよ。確かに、ちと古くなっていますがね」

リベリオ大司教様はピッポを後ろに従え、スタスタと歩いて教会の中へと入っていってしまった。

「お父様?」

「ああ……俺たちも入ろう。ベンジャミンとハリソンも一緒に頼む」

シャーロットちゃんにはマリーが付いているが、当然のようにメイも一緒に付いてくる。

「女神像って、女神信仰なの?」

こそっとベンジャミンに耳打ちすると、ベンジャミンにはギョッと驚かれたが、俺の記憶喪失設定を思い出し、痛ましそうな視線を寄越してきた。

「そんなこともおわかりにならないとは……」

「いいから、教えろ」

この世界は多神教らしい。上位神である女神フローラを信仰している国が主で、あとは島国だったら海神とか、農作が盛んな場所では農耕神とかを併せてお祈りする。オールポート領では女神様で、南領では農耕神、東領では山神を信仰しているんだって。

しかし……木造の教会はどこを歩いてもギシッギシッと軋む音がして、白豚はちょっと怖いんだが……。

教会の中、祈祷室には左右に長い椅子が並び天井は高かった。その天井に描かれた宗教画も教会同様に古く色褪せている。ちょうど女神像の背面の上部の窓からステンドガラスのような色付きガラス越しに陽光が注ぎ、祈禱室を現実から離れた場所に演出しているみたいだ。

その女神像を挟むように黒いシスター服を着た女性二人が、仁王像の如く立ち、明らかに俺を強く睨んでいる気がする。

ううっ、やっぱり帰ってもいいかな?
しおりを挟む
感想 65

あなたにおすすめの小説

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!

黒木  鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。

【完結】薄幸文官志望は嘘をつく

七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。 忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。 学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。 しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー… 認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。 全17話 2/28 番外編を更新しました

最強賢者のスローライフ 〜転生先は獣人だらけの辺境村でした〜

なの
BL
社畜として働き詰め、過労死した結城智也。次に目覚めたのは、獣人だらけの辺境村だった。 藁葺き屋根、素朴な食事、狼獣人のイケメンに介抱されて、気づけば賢者としてのチート能力まで付与済み!? 「静かに暮らしたいだけなんですけど!?」 ……そんな願いも虚しく、井戸掘り、畑改良、魔法インフラ整備に巻き込まれていく。 スローライフ(のはず)なのに、なぜか労働が止まらない。 それでも、優しい獣人たちとの日々に、心が少しずつほどけていく……。 チート×獣耳×ほの甘BL。 転生先、意外と住み心地いいかもしれない。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~

紫鶴
BL
早く退職させられたい!! 俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない! はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!! なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。 「ベルちゃん、大好き」 「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」 でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。 ーーー ムーンライトノベルズでも連載中。

処理中です...