【再々掲】男だけの異世界に転移しちゃった! 異世界人生は2択で進む「抱く」「抱かれる」さあ、どっち?

緒沢利乃

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オネエさんとデート?

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この異世界、俺には厳しいです!

そう心の中で嘆きながら、鏡で改めて自分の今の姿を確認してみる。
10歳若返ったけど、身長はあまり変わらないな。この頃から175センチはあったと思う。
体が細いのは社会人で運動とはほど遠い不健康な生活が続いたからか。営業で接待だと酒ばっかりだったもんな……。

髪はサラサラな黒髪でちょっと長い。暇がなくて切れなかったから整髪剤でセットして誤魔化してたからね。顔は……変わらないなーっ。童顔なんだよな……。

営業やるようになってから伊達メガネで雰囲気変えてたんだけど、メガネは異世界に転移できなかったみたいだ。いや、バスの事故で壊れたのかな?

目が大きくてパッチリ二重。小さい鼻になぜか天然で赤味を帯びた唇。うーん、見慣れた自分の顔だな。目の下の隈もある。

「これから……どうしようかな……」

俺は暗澹たる気持ちで、今日一日を振り返ってみた。




ギルドでイケメンオネエにセクハラされて腰砕けになった俺に、そのオネエさんはギルドに併設された食堂に連れていって、暖かい紅茶とお菓子をだしてくれたっけ。

「大丈夫?」
「……はい。すみません」

チラッと見る。オネエさんの隣にスクリーンが映っている。例の人生の2択だ。「抱く」も「抱かれる」もハードルが高すぎるっ。

「わたしはここカケスの町の冒険者ギルド、サブマスのイリヤよ。よろしくね」
「……アオイです。よろしくお願いします」

ああっ、スクリーンが気になってしょうがないっ。そういう気分になったわけじゃないけどー、オネエさん、イリヤさんの唇とか首筋とか目に悪いよぅ。

「本当に大丈夫? あなた、血が怖くて冒険者できるのかしら? 魔物とか討伐できる?」

俺はふるふると頭を振る。いや、無理でしょ? 俺ってば平和な日本産の草食系男子だよ? 虫も苦手な都会っ子だよ? なに、それ。魔物討伐とか。漫画では読むけど、自分がやるってなったら話は別だよ?

「アオイちゃん。あなたどこから来たの」

ギックーン!! え……異世界人ってバレた? はやくない? ど、どうしょうっ。

「え……。えっと、と……遠い……ところで……す」
「田舎ってこと?」

こくん、こくんと頷きます。田舎です。異世界という名前の田舎です。文明の発達はこの似非中世ヨーロッパの異世界と比じゃねぇけどなっ!

「田舎で……その、村で……じいちゃんばっかりで……。よく……知らなくて」

もう、汗ダラダラだよっ。背中もびっしょり。手汗も凄いよっ。イリヤさんの切れ長な瞳がキラリンと光ってる気がして……怖い。

「そう。なら、案内してあげるわっ。行きましょう」
「へ?」

グイッと腕を掴まれて力任せに立ち上がらせて、そのまま腕を組んでズルズルと俺を引き摺りながら、ギルドを出ていこうとする、オネエさん。

「じゃあ、わたし、この子に町案内してくるから。あとよろしくねー!」

ええーっ、ちょっと待って! 俺、誘拐される。連れ込まれる? ぎゃああっ、助けてーっ!



腕を組まれたまま町の門番の所に行きギルドカードを見せて、その後イリヤさんお勧めの武器屋に行って薬草採取用のナイフや革袋や手袋買って、屋台でいろいろ買い食いして、教会と商業ギルドと役所を案内してもらった。

ずっと腕組んだまま……。
女の子だったらなー、組んだ腕に柔らかい胸がぷにって当たって至福の時なんだけど……、イリヤさんだと逞しい胸筋が当たります。……ちっとも、ときめかない……。

ただ、武器屋はちょっとテンション上がった! 店の主人がドワーフだったんだーっ! あー、異世界だなって思ったよ。

そしてイリヤさんが屋台に買いに行くとき、俺と少し離れたことがあった。そのとき……例のスクリーンが消えたんだよっ! あの「人生の2択」は絶対に選ばなきゃいけないわけじゃないんだ、と安堵しました。

安堵したんだけど……その後の展開で、肝冷えた。


「次はわたしおすすめの宿ね。そこは安いし食事は美味しいし、主人夫婦は優しいから、そこにお世話になりなさーい」

俺に拒否権ないんかーい!

いや、待て待て待て! イリヤさん! 宿って、宿? え、俺を連れ込んでどうするの? やっぱり「人生の2択」しなきゃダメなの? オネエさんだから俺が「抱く」方なの?

嘘だろ……。このときのために綺麗な体だったわけじゃないのにぃ。それよりも、俺の息子は反応しないかも……。微塵もその気にならないけど、このオネエさんは慣れてそうだから、物理的な接触されると……勃っちゃうかも……。

しくしくしく。さようなら、俺の純情。童貞よ……。

「ほら、ここよ」
「……ここ、ですか?」

なんか、普通の宿っぽい。てっきりネオンギラギラのお城っぽい建物だと思ったのに。普通の二階建てのやや大きな建物。緑の屋根に赤い窓枠。プランターには色鮮やかな小花が咲いている。

「お客さん連れてきたわよ」

イリヤさんと一緒に宿屋に入れば……ええっ!

「おうっ。イリヤじゃねえか。また、新人冒険者か?」

マッチョだよ。ボディビルダーばりのマッチョが……二人。日に焼けた褐色の肌に白いタンクトップの金髪マッチョと、裸エプロンかと見紛う白い肌の青髪マッチョ。タンクトップの上にエプロン着けると裸エプロンに見えちゃうんだよっ! 目にミサイル撃ち込まれた衝撃だわっ。
この二人が……夫婦?! やべー、この世界は奥が深いわー。

なんだかんだ、イリヤさんが交渉してくれて、格安で一ヶ月朝夜二食付きで一部屋借りられました。

「あの……。いろいろとありがとうございました」

お辞儀をしてお礼を伝えます。イリヤさんはにっこり麗しく笑って俺の頭をなでなで。

「いいのよ。困ったことがあったら相談してね。それと、明日の朝はギルドに来て、新人冒険者講習を受けること。いいわね」

バチコーンとウィンクもされました。やめてください。貴方の近くに「人生の2択」は表示されっ放しなんです。

「はい。わかりました」
「じゃあ、また明日」

ちゅっ。

……なんで、頬にキスするんですか? この世界の挨拶ですか? んな訳あるかっ! こちとら「知識の宝珠」常識編で知ってんだぞっ!

ひらひらと手を振りながらイリヤさんは、冒険者ギルドへと帰って行きました。そして、スクリーンもプツッと消えました。

あー、よかった。
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