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イケメン冒険者は滅びればいいと思う
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ジンはニコニコと上機嫌で俺にいろいろと話しかけてくるけど、俺はチラチラと目の端に映る【人生の選択】で頭が痛いので、適当に相槌をうって誤魔化している。
こいつ、俺を姫抱っこしたまま、町まで戻りやがった。重くないのか? 成人男子の体だぞ?
しかしそんな俺の疑問も知らずに、スタスタと軽い足取りで門を通りすぎ進んでいく。
「アオイも冒険者ギルド行くだろう? 採取した薬草を換金してもらわないとな」
「……そーですね」
このまま冒険者ギルドまで姫抱っこかよっ、どんな羞恥プレイだ、それ。
昼も過ぎた時間では広場も市場通りも人は少ないが、めちゃくちゃ好奇の目で見られてんぞっ、オイ!
「あ!」
あ、冒険者ギルドで思い出した。
俺ってば魔法講習をサボってしまったんじゃ……。ヤバい。怒られる……、イリヤさんに。
えー、どうしよう……。改めて講習受けられるのかな?
「どうしたの?」
ちっ、イケメンな面をこっちに向けんなっ。
事情をポツリポツリと話したら、ジンは「なんだ、そんなこと?」と笑った。
「ちゃんと、俺のせいで参加できなかったって説明するよ。アオイに迷惑かけらんないし。次の講習が受けられなかったら、俺が魔法の使い方を教えてあげるから、安心して」
「……教えられんの?」
お前、俺より年下だろう?
いや、俺の今の年齢じゃなくて、前の人生の年齢だけど……。
そんなに、冒険者としてランク高いのか? あー、でも、あのデカイ猪を一撃で倒したしな……、強いのか?
「大丈夫。俺、Aランク冒険者だから、たまにギルドの講習を受け持ってるよ。まあ、剣術講習が多いけど」
「ふーん」
そうですか……イケメンで剣術が凄くて、高ランク冒険者で稼ぎが良くて、身長が高くて足が長くて、爽やかイケメンで……。イケメンで……。ムカつく。
ぶすっと膨れてると、冒険者ギルドまで着いてしまった。
扉の前で奴の腕の中から下りたかったが、奴はそのまま無情にも扉を開けてしまう。
やーめーれー、俺の黒歴史がふーえーるー。
「大丈夫ですか、アオイさん?」
いつもの冒険者ギルドの受付の兄ちゃんに薬草の換金をお願いして、グデッとカウンターに突っ伏した。
もうもう、俺はどうしたらいいの?
楽しみしてた魔法講習はサボることになるし、変なイケメン冒険者として知り合うし、そいつがエッチの相手候補だし、姫抱っこをみんなに見られるし……。
「それで、俺は魔法講習を受けることはできますか?」
「はい。今日は無理ですけど……。次は三日後の午前に行いますので、参加してください。……あっ」
「えっ? なに?」
受付のスマイル兄ちゃんの眉が八の字に下がる。なになに? なにか問題でも?
「次の講師……イリヤさんじゃないんですけど……、どうします?」
「かまいません」
なんでイリヤさん限定で講習を受けなきゃいけないんだ。
講習中、ずっと【人生の選択】が表示されるんだぞ? イヤだろう、そんなの。
俺ってば、結構魔法が使えるようになるの楽しみにしてんだーっ。そのために、まだ知識の宝珠の魔法編を使ってないんだから。
「じゃあ、次の講習に予約入れておきますね」
「よろしくお願いします」
さあ、薬草のお金ももらったし。まあまあの収入になったし。もう、帰ろう。帰ってメシ食って寝よう。嫌なことは忘れよう。
ジンは、王都で活動しているって言ってたから、そんなに頻繁に会うこともないだろう。このまま、会えずにいれば、いずれフェイドアウトできる! いや、してみせる!
「アオイ!」
ぎゃあああ、来るな!
「薬草の換金は終わった? 講習は受けられそう?」
と言いつつ、さりげなく俺の腰を抱き寄せるのをやめろっ!
ぐぐぅーっと両手でジンの体を押しのけようとするが、ちっとも動かないっ! なんだ、お前は? 何がしたいんだ?
やめろ、手をわきわきと動かすな! くすぐったいだろうが!
「アオイさんと……ジンさんは、随分と仲がいいんですね?」
違う! 今日が初めて会った相手だっ! 誤解すんなっ、受付の兄ちゃん。目を好奇心で輝かせるな! ぐふぐふと嫌な笑い方すーんーなー!
「ええ。今日会ったばかりなんですけど、とっても、気が合ってね。そうそう、今日はアオイの仕事を邪魔してしまったから、俺の倒したビックボアの変異種のお金、半分をアオイの口座に入れておいてよ」
「いいんですか?」
「ああ。倒すのに、アオイも協力してくれたからね」
……。腰が抜けて逃げられずに蹲っていただけです。ぐしゃぐしゃに泣いて鼻水垂らしてただけです。
でも、お金をくれるなら貰います。くれるものは貰うぜ! そうか、迷惑料だなっ!
「じゃあ、よろしく。アオイ、帰ろうか?」
「へ?」
「宿まで送っていくよ。……それとも、俺の泊る宿に一緒に来る?」
は?
なに? お前、どこまで付いてくんの?
おい、おいおいおいっ! 手を放せっ。グイグイと体を押すなっ。お前と密着しちゃうだろうが!
えっ、本当に宿まで連れ込むつもり?
やめろやめろやめろーっ。帰るから、俺の宿に帰るから、放せよ。
いい顔で笑ってんな!
やーだー、おうちにかーえーるー!
ひーっ、誰か、助けてーっ。
こいつ、俺を姫抱っこしたまま、町まで戻りやがった。重くないのか? 成人男子の体だぞ?
しかしそんな俺の疑問も知らずに、スタスタと軽い足取りで門を通りすぎ進んでいく。
「アオイも冒険者ギルド行くだろう? 採取した薬草を換金してもらわないとな」
「……そーですね」
このまま冒険者ギルドまで姫抱っこかよっ、どんな羞恥プレイだ、それ。
昼も過ぎた時間では広場も市場通りも人は少ないが、めちゃくちゃ好奇の目で見られてんぞっ、オイ!
「あ!」
あ、冒険者ギルドで思い出した。
俺ってば魔法講習をサボってしまったんじゃ……。ヤバい。怒られる……、イリヤさんに。
えー、どうしよう……。改めて講習受けられるのかな?
「どうしたの?」
ちっ、イケメンな面をこっちに向けんなっ。
事情をポツリポツリと話したら、ジンは「なんだ、そんなこと?」と笑った。
「ちゃんと、俺のせいで参加できなかったって説明するよ。アオイに迷惑かけらんないし。次の講習が受けられなかったら、俺が魔法の使い方を教えてあげるから、安心して」
「……教えられんの?」
お前、俺より年下だろう?
いや、俺の今の年齢じゃなくて、前の人生の年齢だけど……。
そんなに、冒険者としてランク高いのか? あー、でも、あのデカイ猪を一撃で倒したしな……、強いのか?
「大丈夫。俺、Aランク冒険者だから、たまにギルドの講習を受け持ってるよ。まあ、剣術講習が多いけど」
「ふーん」
そうですか……イケメンで剣術が凄くて、高ランク冒険者で稼ぎが良くて、身長が高くて足が長くて、爽やかイケメンで……。イケメンで……。ムカつく。
ぶすっと膨れてると、冒険者ギルドまで着いてしまった。
扉の前で奴の腕の中から下りたかったが、奴はそのまま無情にも扉を開けてしまう。
やーめーれー、俺の黒歴史がふーえーるー。
「大丈夫ですか、アオイさん?」
いつもの冒険者ギルドの受付の兄ちゃんに薬草の換金をお願いして、グデッとカウンターに突っ伏した。
もうもう、俺はどうしたらいいの?
楽しみしてた魔法講習はサボることになるし、変なイケメン冒険者として知り合うし、そいつがエッチの相手候補だし、姫抱っこをみんなに見られるし……。
「それで、俺は魔法講習を受けることはできますか?」
「はい。今日は無理ですけど……。次は三日後の午前に行いますので、参加してください。……あっ」
「えっ? なに?」
受付のスマイル兄ちゃんの眉が八の字に下がる。なになに? なにか問題でも?
「次の講師……イリヤさんじゃないんですけど……、どうします?」
「かまいません」
なんでイリヤさん限定で講習を受けなきゃいけないんだ。
講習中、ずっと【人生の選択】が表示されるんだぞ? イヤだろう、そんなの。
俺ってば、結構魔法が使えるようになるの楽しみにしてんだーっ。そのために、まだ知識の宝珠の魔法編を使ってないんだから。
「じゃあ、次の講習に予約入れておきますね」
「よろしくお願いします」
さあ、薬草のお金ももらったし。まあまあの収入になったし。もう、帰ろう。帰ってメシ食って寝よう。嫌なことは忘れよう。
ジンは、王都で活動しているって言ってたから、そんなに頻繁に会うこともないだろう。このまま、会えずにいれば、いずれフェイドアウトできる! いや、してみせる!
「アオイ!」
ぎゃあああ、来るな!
「薬草の換金は終わった? 講習は受けられそう?」
と言いつつ、さりげなく俺の腰を抱き寄せるのをやめろっ!
ぐぐぅーっと両手でジンの体を押しのけようとするが、ちっとも動かないっ! なんだ、お前は? 何がしたいんだ?
やめろ、手をわきわきと動かすな! くすぐったいだろうが!
「アオイさんと……ジンさんは、随分と仲がいいんですね?」
違う! 今日が初めて会った相手だっ! 誤解すんなっ、受付の兄ちゃん。目を好奇心で輝かせるな! ぐふぐふと嫌な笑い方すーんーなー!
「ええ。今日会ったばかりなんですけど、とっても、気が合ってね。そうそう、今日はアオイの仕事を邪魔してしまったから、俺の倒したビックボアの変異種のお金、半分をアオイの口座に入れておいてよ」
「いいんですか?」
「ああ。倒すのに、アオイも協力してくれたからね」
……。腰が抜けて逃げられずに蹲っていただけです。ぐしゃぐしゃに泣いて鼻水垂らしてただけです。
でも、お金をくれるなら貰います。くれるものは貰うぜ! そうか、迷惑料だなっ!
「じゃあ、よろしく。アオイ、帰ろうか?」
「へ?」
「宿まで送っていくよ。……それとも、俺の泊る宿に一緒に来る?」
は?
なに? お前、どこまで付いてくんの?
おい、おいおいおいっ! 手を放せっ。グイグイと体を押すなっ。お前と密着しちゃうだろうが!
えっ、本当に宿まで連れ込むつもり?
やめろやめろやめろーっ。帰るから、俺の宿に帰るから、放せよ。
いい顔で笑ってんな!
やーだー、おうちにかーえーるー!
ひーっ、誰か、助けてーっ。
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