【再々掲】男だけの異世界に転移しちゃった! 異世界人生は2択で進む「抱く」「抱かれる」さあ、どっち?

緒沢利乃

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食欲のせいで変わる人生もある

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「な、なんとか、一人で宿に戻ってこれた……」

しつこいっ。
イリヤさんといい、ジンといい……。人の話はちっとも聞かないし、手は握るし肩や腰は抱くし、なにより距離が近いんだよっ!
俺は遠慮してんじゃないの! 嫌がってんの!

くそっ、なんで異世界でモテる女子高生の気持ちと同調シンクロしなきゃならないんだ!

あー、魔法講習を受けなかったからイリヤさんと会うのは気まずいし……、ジンの無邪気な笑顔でグイグイくるのも厄介だし……。

「はぁーっ、俺こっちに来てからこんなんばっかりだな……」

バスに乗って交通事故で呆気なく死んで、異世界転生つーか、転移でこっちに来て、まさか生きるか死ぬかで悩む前に、抱くか抱かれるかで悩む日が来るなんて……。

「ある意味、地獄行きだよな、俺……」

がっくり、落ち込んでると、お腹から「ぐううううっ」と虫が鳴く。
そういえば、腹減った。
宿に逃げるようにして帰ってきてから、ずっと部屋に閉じこもってたしな。
なんか、宿で食べるものを恵んでもらうか……屋台に買いに行くか……。

「……疲れたし、甘い物も食べたい」

ふらふらと立ち上がって、部屋の扉に手をかける俺。

ピロリン♪

【人生の選択】

・タイタンの矢で夕食を食べる
・屋台に夕食を買いに行く

……なぜ?
なぜ、今、このタイミングで【人生の選択】が?
俺がどこでメシを食うかで人生が変わるのか!そんな、バカな!

いや、まてまてまて、俺。
安易に考えちゃーダメだ。
今朝、俺はそれで失敗しジンと巡り会ってしまったのだから……。よぉーく考えて。よーく考えて……。

ん? 宿でメシ食うのと、屋台でメシ買って食うのと、何か違うんだ?

「宿でメシを食う危険性……。やっぱイリヤさんとかジンが訪ねてくるのと鉢合う可能性かな?」

イリヤさんとは、朝会ったきりだし、あの人のことだから宿まで押しかけてきそうだ。
ジンも俺が「タイタンの矢」に泊ってるのは知ってる。図々しく訪ねてくるのもあり得る。

「ヤバいじゃん」

じゃあ、屋台に買いに行くのはどうだろう。
外に出る危険性は否めない。イリヤさんやジンとばったり会ってしまうだろう。

「だけど、あの二人は目立つしな……」

この時間なら、まだ酒飲みの冒険者たちで屋台街は騒がしい。
あの二人なら目立つから、居たら見つかる前に逃げることができる……かな?

よしっ! 念のため宿に近い所の屋台でメシを買おう。
見つかっても、走って宿に戻って部屋の鍵をかけてやり過ごそう。

俺は、ポチっと屋台でメシを買うを選んだ。
これで大丈夫。安心安心。

俺は、鼻歌混じりに部屋から出て階段を降り、裏の扉から外に出た。














両手に戦利品を抱えて宿の裏手の木戸を開けようとしたとき、目の端にキラッと光る物が映る。

「なんだ?」

こっちの世界は街灯なんてものはない。
宿屋の裏にも灯りはない。
まあ、月光や星の瞬きがかなり明るいから、夜道に困ることはないけど……。
さすがに、暗がりはよく見えないなぁ。

俺は両手に持った、焼きそばみたいな麺料理の皿と肉串数本とスープの入った器とドーナツみたいな揚げ菓子の入った袋を器用に積み上げ、片手で裏木戸の横の茂みを掻き分ける。

「なにが、光ったの……か……な……」

何がじゃねぇよ!
人だよっ。人がいたよ!

びっくりして俺が固まってると、茂みに身を縮こませ隠れていた人が顔を上げる。
着ている黒っぽいローブのフードで隠されて顔は見えないが、間違いなく俺と奴は顔を見合わせて困惑している。

「え……。だれ……かな?」

「……」

無言の返答です。
えーっ、見なかったフリで宿に帰っていいかな?
腹も減ってるし……、とやや投げやりな俺の耳に聞こえる「ぐうぐうぐう」という腹の音。

「……」

気配で分かる。
この人……めちゃくちゃ恥ずかしがってる!
そうか、腹減ってんのか。それなのに、俺が大量に食料持って、いい匂いさせてたら……拷問だよな。

なんとなく申し訳なく思って、不審者に向かって言ってしまった。

「あ……食べる?」

いい加減にしろよー、俺の日本人アイデンティティよーっ!
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