24 / 25
秘密がバレた
しおりを挟む
暗転。
なんか、周りが暗い。
俺、どうしたんだっけ?
そもそも事故で呆気なく死んで、転生するのにふざけたクジで人生を勝手に決められて、男ばっかりの世界に転生じゃなくて転移で放り込められて。
【人生の選択】とかいう厄介なスキルのせいで、あちこちの男からの好意? 下心? に気づかされて。
挙句の果てには、刃傷沙汰だよ。
「俺のために争わないで~」って、どこの三文芝居なんだ……。
もう一回、クジを引かせてくんないかな?
もう、女の子にモテモテになりたいとか、チート能力でウハハハになりたいとか言わない。
モブでいい。
平和な世界で、ひっそりと生きるモブでいいので、もう一回やり直させてください。
むむむむ、と呪う勢いで祈っていると、なんだか耳元がガヤガヤとうるさい。
おい、静かにしろよっ! こっちは、神様に必死に祈ってんだから……。
て、あれ?
俺、どうしたんだっけ?
パチリ。
目を開けて飛び込んでくる四つのイケメン……!
視力の暴力!
「ああ……。良かったわ。アオイちゃん、大丈夫?」
「アオイ、しっかりしろ。怪我してないか?」
「アオイさん?」
「…………」
いや、最後。
お前のせいで、俺、めちゃくちゃ走り回ったんだからな! なんか言えっ!
「……ここ、どこ?」
はて?
俺はルイさんを助けるためにアルカサル侯爵家まで爆走し、今まさに襲われるルイさんに声を掛けて……。
チラリ。
黒いローブのフードを肩まで下ろしているから、黒い巻き毛と赤い、ルビーみたいな瞳がよく見える。
「ここは、アルカサル侯爵家の私の部屋ですよ。アオイさんが気を失ってしまったので、ここへ運んで休ませていたのです」
「……ありがとう、ございます。……イリヤさんたちは?」
俺、呼んでないぞ?
なんでいるの?
しかもイリヤさんとジンとふたりで?
「わたしが襲われたのを聞いて、ギルドに来てくれたんでしょ? 受付の子がアオイちゃんの様子がおかしかったって聞いて、心配で……」
「俺たち、アオイの後を追ったんだよ。そうしたらこの屋敷の裏で声が聞こえたから」
なでなで。
状況は説明して欲しいんですが、なぜ二人して俺の頭を撫でくり回すのか……。
「……んで、お前は? 何やってんの?」
少し離れたところで所在なさげに立ち尽くすアイツ。
「…………」
いや、なんか言えよっ!
イラッとした俺の横でイリヤさんがふうっと息を吐くと、奴に向かって。
「いいぞ。許す」
「……はい」
???
「イリヤさん?」
「こいつは、王家の影よ。王家の命で護衛から暗殺まで、裏の仕事を請け負うの。今は陛下か王太子の命で……護衛中よ」
「誰の?」
コテンと首を傾げて尋ねれば、イリヤさんの顔が苦虫を噛み潰したようになった。
「そりゃ、王族の護衛だよ。いや、監視かな? ……なあ、イリヤ?」
「そうですね。やんごとない身分の方が何かしでかさないように、王家からの監視も兼ねた護衛でしょうか?」
「ジン? ルイさん?」
なんだなんだ?
俺だけ、よく分からないのだが?
しかも、気まぐれに餌付けしていた男が王家の影……。
忍者みたいと思った俺の考えも、当たっていると言えば当たっているな。
隠密か……かっこいい。
「……。そこにいる第三王子の監視でカケスの街に滞在していた」
え?
奴の目線を辿ってみると、そこにはイリヤさん……。
「イリヤさんが……王子?」
え? こんな女装趣味の王子でいいの?
いや、別に似合ってないわけじゃないし、男しかいない世界だから、王子でも嫁に行くという選択肢もあるけれども……。
「もう、王位継承権はないわ。今はただの冒険者イリヤよ。アンタもなんで監視対象のわたしに刃を向けたんだが? それも王家の命なのかしら?」
ブルブルブルブルルル。
王家の影は、激しく首を左右に振って強く否定する。
「じゃあ、なんでよ。ジンやアルカサル侯爵家使用人のルイまで狙って。何が目的なのよ」
ヤバイ……。
俺は俯いてダラダラと冷や汗を垂らす。
ヤバイヤバイヤバイ。
言うな! 絶対に言うなよ!
俺は縋る目を奴に向けた。
奴はコクンと大きく頷くと……。
「お前らがこいつに懸想して下心を持っていて、こいつが困っていたからだ!」
胸を張って言うことかーっ!
てか、なんで言うんだーっ!
ザッ、と三人の六つの刺すような視線を感じる。
……逃げよう。
「あ、俺、もう平気なんで。か、か、帰りますね?」
立ち上がろうと片膝付いたところで、ガシッと三人の六本の腕で、腕、足、腰、肩をホールドされた。
「「「ちょっと、待って」」」
ですよねー?
いやーっ! 帰りたーい!
元の世界に戻してくれーっ、ばかやろー!
なんか、周りが暗い。
俺、どうしたんだっけ?
そもそも事故で呆気なく死んで、転生するのにふざけたクジで人生を勝手に決められて、男ばっかりの世界に転生じゃなくて転移で放り込められて。
【人生の選択】とかいう厄介なスキルのせいで、あちこちの男からの好意? 下心? に気づかされて。
挙句の果てには、刃傷沙汰だよ。
「俺のために争わないで~」って、どこの三文芝居なんだ……。
もう一回、クジを引かせてくんないかな?
もう、女の子にモテモテになりたいとか、チート能力でウハハハになりたいとか言わない。
モブでいい。
平和な世界で、ひっそりと生きるモブでいいので、もう一回やり直させてください。
むむむむ、と呪う勢いで祈っていると、なんだか耳元がガヤガヤとうるさい。
おい、静かにしろよっ! こっちは、神様に必死に祈ってんだから……。
て、あれ?
俺、どうしたんだっけ?
パチリ。
目を開けて飛び込んでくる四つのイケメン……!
視力の暴力!
「ああ……。良かったわ。アオイちゃん、大丈夫?」
「アオイ、しっかりしろ。怪我してないか?」
「アオイさん?」
「…………」
いや、最後。
お前のせいで、俺、めちゃくちゃ走り回ったんだからな! なんか言えっ!
「……ここ、どこ?」
はて?
俺はルイさんを助けるためにアルカサル侯爵家まで爆走し、今まさに襲われるルイさんに声を掛けて……。
チラリ。
黒いローブのフードを肩まで下ろしているから、黒い巻き毛と赤い、ルビーみたいな瞳がよく見える。
「ここは、アルカサル侯爵家の私の部屋ですよ。アオイさんが気を失ってしまったので、ここへ運んで休ませていたのです」
「……ありがとう、ございます。……イリヤさんたちは?」
俺、呼んでないぞ?
なんでいるの?
しかもイリヤさんとジンとふたりで?
「わたしが襲われたのを聞いて、ギルドに来てくれたんでしょ? 受付の子がアオイちゃんの様子がおかしかったって聞いて、心配で……」
「俺たち、アオイの後を追ったんだよ。そうしたらこの屋敷の裏で声が聞こえたから」
なでなで。
状況は説明して欲しいんですが、なぜ二人して俺の頭を撫でくり回すのか……。
「……んで、お前は? 何やってんの?」
少し離れたところで所在なさげに立ち尽くすアイツ。
「…………」
いや、なんか言えよっ!
イラッとした俺の横でイリヤさんがふうっと息を吐くと、奴に向かって。
「いいぞ。許す」
「……はい」
???
「イリヤさん?」
「こいつは、王家の影よ。王家の命で護衛から暗殺まで、裏の仕事を請け負うの。今は陛下か王太子の命で……護衛中よ」
「誰の?」
コテンと首を傾げて尋ねれば、イリヤさんの顔が苦虫を噛み潰したようになった。
「そりゃ、王族の護衛だよ。いや、監視かな? ……なあ、イリヤ?」
「そうですね。やんごとない身分の方が何かしでかさないように、王家からの監視も兼ねた護衛でしょうか?」
「ジン? ルイさん?」
なんだなんだ?
俺だけ、よく分からないのだが?
しかも、気まぐれに餌付けしていた男が王家の影……。
忍者みたいと思った俺の考えも、当たっていると言えば当たっているな。
隠密か……かっこいい。
「……。そこにいる第三王子の監視でカケスの街に滞在していた」
え?
奴の目線を辿ってみると、そこにはイリヤさん……。
「イリヤさんが……王子?」
え? こんな女装趣味の王子でいいの?
いや、別に似合ってないわけじゃないし、男しかいない世界だから、王子でも嫁に行くという選択肢もあるけれども……。
「もう、王位継承権はないわ。今はただの冒険者イリヤよ。アンタもなんで監視対象のわたしに刃を向けたんだが? それも王家の命なのかしら?」
ブルブルブルブルルル。
王家の影は、激しく首を左右に振って強く否定する。
「じゃあ、なんでよ。ジンやアルカサル侯爵家使用人のルイまで狙って。何が目的なのよ」
ヤバイ……。
俺は俯いてダラダラと冷や汗を垂らす。
ヤバイヤバイヤバイ。
言うな! 絶対に言うなよ!
俺は縋る目を奴に向けた。
奴はコクンと大きく頷くと……。
「お前らがこいつに懸想して下心を持っていて、こいつが困っていたからだ!」
胸を張って言うことかーっ!
てか、なんで言うんだーっ!
ザッ、と三人の六つの刺すような視線を感じる。
……逃げよう。
「あ、俺、もう平気なんで。か、か、帰りますね?」
立ち上がろうと片膝付いたところで、ガシッと三人の六本の腕で、腕、足、腰、肩をホールドされた。
「「「ちょっと、待って」」」
ですよねー?
いやーっ! 帰りたーい!
元の世界に戻してくれーっ、ばかやろー!
50
あなたにおすすめの小説
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる